母の日



「先生、また任務?」
「いや。野暮用」
「二週間もどこ行くんだってば!」
「カカシ?」
 いつものDランク任務後。
 しばらくの不在を告げると、子供達から不服の声が上がる。任務での不在なら、したくもない我慢もするが、他の理由は認めたくない、と言う所か。
「…まぁ、ちょっとな。代わりにいない間の訓練メニュー組んでおいたから」
 ぎっしりと書き込まれた数枚の紙をサクラに渡す。
 反射的に紙を覗き込んだ三人の表情が、ひきつるのがまた、楽しい。
「…お、俺達の任務はどうするってばよ!」
 訓練メニューから目を逸らし、ナルトが噛みついてくる。
「ちゃんと三日に一度は上忍用意したでしょ。八班や十班との合同の時か、代理の上忍が来た時は任務になるから」
 八班、十班の担当二人は勿論、それ以外の代理も、ナルトやサスケに偏見のない者を選んである。任務を受けるのに支障はないだろう。
 …もっとも、子供達に下手な事をすれば、カカシの子飼の者達から詳細にカカシに伝えられ、尚且つ、里黙認の手酷い報復が見込める為、各人の内心の事情は関係ないと言えば、関係ないのだが。
「…そんなの言い訳だってば」
 拗ねた顔を隠しもしないナルトに苦笑しつつ、頷く。
 くしゃりと頭を一撫ですると、口を尖らせたまま上目に軽く睨んでくる。
「外せない用なんだよ。ごめんな」
「…もう、いいってばよ」
「絶対二週間後だな?」
「遅刻なしですよ!」
 愚図った表情のナルトを援護するように確認してくるサスケとサクラに柔らかい笑みを零し、二人の頭もかき混ぜた。
「土産、買って来るよ」


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