「カカシさん、自分で食べられますって」
「だぁめ。仕方ないとはいえ、十日も絶食なんてしたんだからね。オシオキ。ほら、あーんして」
「あー…」
柔らかく煮た粥を手ずから食べさせようとするカカシから逃げようとするが、あっさり捕まって口を開けさせられる。帰里から三日、未だお怒りは解けないらしい。
「…もう、大丈夫なのにー」
「帰里途中で熱出したのは誰?ちゃんと治さないと、ナルト達にだって会わせてあげないよ」
「アカデミーは」
「完治するまで、パワフルなお子様の中には行かせられない」
「やだぁ」
「やだじゃないよ。今年は式年祭なんだから、一年間神事尽くめなんだぁよ。ちゃんと体力回復しないと」
「もう、留守番は嫌ですー」
カカシは、家にいる間は片時も離れずイルカを甘やかすのだが、別に休暇中な訳ではない。イルカの面倒を見ている合間にもひっきりなしに任務が入っているのだ。
甘やかされている分、留守の時間が長く感じてしまうのだ。通常の仕事くらいしていないと、淋しくて仕方がない。
「…だからオシオキなんでしょおが」
「意地悪」
「意地悪はどっち?イルカも媛も無茶ばかりするから、こっちは気が気じゃないんだよ」
「そんな無茶してません〜っ」
「とにかく、暫くはオシオキに付き合ってもらうからね」
「い、いつまで」
「…俺と土地神様が満足するまで」
「…やぁ〜っ」
「…あの、テンゾウ先輩」
「…何だ」
「…何であの、その、お二人をずっと見てないといけないんでしょう?」
「…如何に『神事の為の潔斎』と理由付けされたとはいえ、絶食を容認したお前にもオシオキなんだそうだ」
「…これ、オシオキなんですか。結構楽しいんですけど」
「…なら良いんじゃないか?」
「う〜ん…」
「カカシさん、もう、許してくださいってばぁ」
「だめって言ってるでしょ。暴れないの」
「だって、元気ですもん。証明」
「《愛してるから、大人しくしてなさい》」
「…っ」
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