「…え?」
幼いながらも将来を嘱望されて、忙しい毎日を送ってる未来の旦那様が。
今、目の前で頭を下げていた。
「本当にゴメン」
「…えと。くさってた…の?」
頑張って作った弁当。味の感想を貰えると思いきや、告げられたのは「食べられなかった」の一言。まずかったとか、一通りの苦情は覚悟していたのに、これは予想外過ぎて。
大きい瞳が更に大きく見開かれる。
「違う。食べようとした時にはなかったの」
「ふぇ?」
「…先生にね、食べられちゃったんだ」
「あ」
「だから…。ゴメンね。凄く食べたかったんだけど」
苦笑気味に、それでも残念そうに頭を下げる。そんな相手にほっとする。
食べたくなかった訳じゃない。
だったら、今回の事は事故で済ませられる。
「…じゃ、じゃあね」
「うん」
「またつくるからたべてくれる?」
「勿論!」
優しい笑顔に自分も嬉しくなった。
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