邂逅


「食い意地張ってたんだよな…。」
 某ポッチャリ系忍者一族に引けを取らない…否、比較したら、秋道一族に申し訳ないだろうとすら思える食い意地に苦労したのを思い出す。
 しかし、あの悪癖のお蔭で、カカシ自身の自己管理能力とサバイバリティが飛躍的に向上したのは紛れもない事実。
 彼の食欲を見越して、どれ程多めに食料を持って行っていても、必ず数日でなくなる為、自力調達は必然だったのだから。
「…あー…。後、あの方向音痴の所為で時空間忍術開発したんだったっけ…」
 更に、目も当てられない程の方向音痴。その忍者らしからぬ欠点の所為で、単独で任務に就くのは不可能だったのだ。
 その為、カカシの地形把握能力は見事に発達した。何せ、師匠に任せておくとどこに連れて行かれるか判らないのだ。
 …それはそれとして、本人も問題だと思っていたのか、一部改善の打開策として、時空間移動の忍術を完成させたのを思い出す。
 蛇足ながら、座標軸に使う特殊なクナイ。アレを渡されるのは、必ず方向感覚の確かな者────── …つまりはカカシや三忍等────── に限られていたという事も思い出してしまう。
 実際、そのどちらもが計算だったのだとしたら、大したもの、だとは思う。
 元々の素質云々と言う以上に、目の放せない師匠の尻拭いをするべく、なし崩し的にカカシの忍者としてのスキルは日々向上したのだから。


 …まぁ、十中八九、素の、天然だろうとは思っているが。


「先生?」
 渋面を作って考え込んでしまったカカシの裾を、子供達が不安そうに引っ張る。
 それを安心させようと無意識に三人の頭を撫でつつ、思考はまたもや過去に飛んだ。



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