家族旅行


「お邪魔しましたー」
「三人共、気をつけて」
「…あ。明日は一日自主トレな。変化の練習しておけよ」
 あまり遅くなってもマズいと、慌しく出て行く子供達に続いて戸を潜りながらカカシが告げる。
「カカシ先生、また任務かってばよ?」
「…明後日は大門に八時だったな」
 多忙に過ぎるカカシの不在にいい加減慣れてはいても、表情に少し不満が出る。それでも、一応文句は我慢したらしい。
「そう。…で、ナルトとサスケは大門を一歩出たら俺とイルカ先生の呼び方、変えろよ」
「へ」
「…親を『先生』って呼ぶ子供はいないだろ」
 さらりと爆弾を投下すると、ナルトとサスケが真っ赤になって硬直する。
 親を知らずに育ったナルトに、親を断ち切られたサスケ。どちらも『それ』と慕う相手はいても、演技とはいえ口にするとなると話は別なのだろう。動かなくなった二人ににんまりと笑う。
「どう呼ぶかは任せるけど、ちゃんと呼ばないと俺もイルカ先生も返事しないか〜らね。イルカ先生も良いですね?」
「はい。…二人共。楽しみにしてるから」
 楽しげな大人二人の宣告にサクラが小さく笑ったが、件の二人はショックが強過ぎたのか、暫くの間、固まっていた。


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