「ん!…んん!…ぅん…!」
カカシが動く度、躯の内側に感じる刺激に、知らず声が漏れる。
手頚を噛んで堪えようとしても、緩やかな動きに合わせて後から後から零れてしまう声に怯えてしまう。
先刻までの、訳も判らず混乱し、翻弄されるままあげてしまった悲鳴とは全く違い、認識した後も甘さを含む声音をあげてしまう自分に戸惑う。
「…こら。手が傷付くよ」
きり、と強く手頚を噛もうとした瞬間、内側への刺激がぴたりと止み、やんわりと手を捕らえられてしまう。
「もう噛んじゃダメだよ」
「…ぁ…ん!」
ぺろりと歯型の残る手に舌を這わされた刹那、ぞくりとした痺れが躯を走り、無意識に下腹部に力が入った。同時に、胎内に感じるリアルな質感。それにたまらなく羞恥を感じる。
「綺麗な手なんだから」
「んん」
再度舐められ、身動ぎする。そのまま、きゅ、と指を一本ずつ絡ませる形で握られる。
「しがみつくのも噛むのも俺にして。傷つけちゃダメ」
言い聞かせながらのキスにうっとりする。言葉が届く度、脳髄が痺れる。
「…ふ…ぁ。あ!ん!んっ!」
ゆるゆると再開された動きを身体が勝手に追っていく。
呼吸が乱れる。
全神経が集中していく。
沸き上がる甘い疼きに支配される。
「あっ。ああっ!あんん!」
手を押さえられている所為で堪える事も出来ず、あられもない声を上げてしまう。握る手に無意識に爪を立て、感覚をやりすごそうとする。
「…ぁ!あ!ァん!」
呼吸を整えようと息を吐き出そうとした瞬間、更に追い詰められる。
「…や。も、や!へんになる…!」
恐慌。未知の感覚から逃れたくて助けを請う。
「なっていいよ。怖くないから」
「や…」
握った手を解放され、縋るものを失った腕を必死に伸ばす。首にしがみつくと背に腰に腕を回され、強く抱き締められる。
「…ひゃ…あ!はふっ…!」
より深く穿つ質感に悲鳴をあげる。
怖い。
本当に変になりそうで怖いのだ。
カカシの甘い言葉と行為に乗せられて、そこに攫われそうな自分も、それを望む自分も。
怖くて怖くて仕方がない。
でも、攫うのも救うのも同じ、たった一人。カカシでしか有り得ない。
「…か…かしさ…。カカシさ…」
喘ぐように名を呼ぶ度、強く抱き込まれる。
「…イルカ。好き。好きだよ。好き。好き」
浸透していく甘い囁き。いつもと違う、余裕のないかすれた吐息混じりの声に心が煽られる。今までの混乱や恐怖が一つの感情に凌駕される。
いつか、頭が真っ白に染まった。
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