他にすがるものがないかのようしがみついてくる腕に笑みが零れる。
　乱れた息遣いを間近に感じ、気が逸る。
　無茶をする気はないが、最初から余裕なんかない。何より大切なイルカが相手だから、必死になって自分を抑えているだけだ。
　出来るなら、今すぐ滅茶苦茶にしたいのに。
「…馴染んできた…かな」
　増やした指で繊細に内を探ると、くちゃくちゃといやらしい音がした。
　誰も受け入れた事のないそこは、気を抜くとカカシの指を押し返そうとしてくる。それでも忍耐強く触れていると、今度は包み込むように吸い着いてくる。
「…は…あ…」
　感覚を逃がそうとするかの吐息にあてられ、身震いする。
　未成熟な躯は快楽を認識しないのに、見せる表情は随分と淫らに映って。
　それを引き出したのが自分だと思う程に、内に入りたくてたまらなくなる。
　指に感じる甘くてきつい締めつけを、自身で味わいたくて眩暈がする。
　抗い難い、強烈な誘惑。
「…ごめ…。俺が限界かも」
「…え…な…に？」
　ぼそりと呟くとイルカを抱き締めていた方の手を枕元に伸ばし、隠していた小瓶を握る。器用に栓を抜くと、内部を漁っていた指を引き抜いた。
「…あ…」
　突然圧迫感がなくなり、イルカの躯から力が抜ける。それを見ながら瓶の中身を濡れた指先に垂らし、自身の中心に塗り付ける。
「効きゃいーけど」
　苦笑気味にごちると、再度イルカの脚を持ち上げる。
　イルカの華は充分に蜜をたたえていたけれど、念の為に潤滑剤も利用する。
　少し強めの鎮痛成分の入った潤滑剤が、少しでも役に立つ事を願う。
「…ごめん。かなり痛いかも」
　言いながらゆっくりと華に自身を沈めていく。指でかなり解したつもりだったが、やはりきつい。
「ひっ…！」
「…ごめ…。力、抜いて」
「ん〜っ！」
　躯を引き裂くような痛みにイルカが悲鳴を上げる。
　硬直しかける躯を抱き締めて宥めながら、腕を首に、口を肩に、改めて導く。
「爪。立てていーよ。噛んでも良い」
　優しく背を擦り、甘く囁くが、行為そのものを止める気はなかった。
　痛みですら、己れが与えるモノだと、身勝手に思う。
「…ふ…っ！…んん！」
　背に爪を立てられる。唇を噛んで痛みに耐えようとするイルカの口元に、肩口を押しつける。不自然にこじ開けられた唇からちろりと舌が動き、目の前の肩に思いきり噛みついた。