プロローグ
持ち込まれた依頼内容は戦況の好転。出来得るならば勝ち戦。
…最悪でも、総大将を連れた退却戦。しかも必ず生還させる事。
任務ランクは一応S。
その所為か、提示された期間は最高2週間、最悪1ヵ月。
おまけに、現状において明らかな劣勢にも係わらず、こちらの策を受け入れない本陣側からも大した策も出されないままに膠着する現場。
それでも、同盟国側からの依頼に、背く訳にも行かず。
打開策はなく、対処は常に後手に回り、目立つ進展も見込めず、無為に消耗を強いられた1週間。
「…面倒臭ぇな」
人手不足を最大の理由に、部隊長を押し付けられた男から、紫煙と共に苦々しい呟きが洩れた。
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