夢だったんだね

まるで、あらかじめレールが轢かれている物語のように、遠いエンディングに
向かって、日々の生活が流れていた日。
いつもの風景。いつもの生活。いつもの会話。いつもの人々。
(もう夢をみることなんて、ないだろう…)と思っていたそんな時、あなたは、
新しい心に出逢った。新しい光が見えた。
そして、その出逢いを、まるで予定されていたものと勘違いしてしまったね。
いつの間にか、もっと大切にしなければいけないものまで、見えなくなって
しまっていた。
やがて間違いに気がついても、もう後に戻れなくなって、無理に戻ろうと
すればするほど、深い迷い道に入り込んでしまう。
その迷いを振り払おうとして、再び新しい迷宮に足を踏み込んでしまった…。

自分が誰かに必要とされていることを感じることって、確かにすてきなこと。
自分を必要としてくれる人のためなら、たとえおかしいなと感じたことでさえ、
つい無理をしてしまおうとする。それが自分の喜びだから。
でも、無理したことは、いつか自分に返ってくるんだよね。

夢が夢であるうちはいい。夢が現実に飲まれたら、とても悲しい。


【『LOVE OR NOTHING』ほかに収録】

(初稿 2000.05.02)



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