やさしい女

「ひとりでも私は生きられるけど…」という歌があったけど、
やっぱりひとりで生きるのはさびしいものだよ。
 自分が問いかけた言葉に応えてくれる人がいる。
 自分のつらい気持ちを聴いてくれた人がいる。
 自分と同じ道を歩いてくれる人がいる。
それだけで、力がわいてくるもの。

本当は、その人が、自分にとっての一番のパートナーなら最高だけど、
たとえ、それがどんな相手でも、いないよりはいい。

ひとりでいることがさびしくて、つい、誰かに声をかけてしまう。
誰かが声をかけてくるのを、つい、待ってしまう。
そんな話を聴くたびに、つくづく、人って弱いものなんだなあ…って思う。

「やさしい」という言葉は魔法のようなもの。
やさしいからというだけで、人は心を許す。
やさしさの裏には、オブラートに包まれたナイフがあるんだよ。
誰にでも優しくできる人って、確かにいるかもしれないけど、
それは本当のやさしさなんだろうかと、ふと考えることがある。

嫌いなやつは嫌いだ、と言える勇気が欲しいよ。

【『Singles』ほかに収録】

(初稿 2000.11.27)



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