夜 曲

深夜、真っ暗にした部屋で、ベッドの中でラジオを聴いたことがあるだろうか?
中学生の頃、多くの仲間がそうだったように、わたしもラジオの深夜放送を
よく聴いた。一番人気があったのは、やはり全国区の『オールナイトニッポン』
だったが、わたしは、地元名古屋の『ミッドナイト東海』をよく聴いていた。
決してメジャーではなくても、番組パーソナリティが語りかけるメッセージは、
自分の心の奥深い所に、確実に響いたような感じがした。

そして、『コッキーポップ』は、まさにバイブルだった。中島みゆきは言うまでもなく、
チャゲ&飛鳥・長渕 剛をはじめ、ポプコン出身のミュージシャンたちの初期の
作品群には、誰にも止められないエネルギーとインパクトがあった。
そんな曲との出逢いは、人と人との出逢いに似ているかも知れないね。

その歌を聴くと、思い出してしまう想い出ってないだろうか。
たとえそれがよい想い出も、また、そうでない想い出だったとしても。
ものすごく淋しさを感じた夜に、深夜ラジオで聴いた『木曽は山の中』(葛城ユキ)。
わたしにとって、忘れられない曲のひとつだ。

忘れられない歌を、受け取るのもいい。
でも、『誰かのために歌を贈る』
…これができる人は、もっとすてきだと思う。
いつか、そんな歌を作ってみたい。


【『臨月』 ほかに収録】

(初稿 2000.04.16)
(最終改稿 2000.05.03)



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