歌 姫


中島みゆきのアルバム『寒水魚』。学生時代にこのアルバムに出逢って、その完成度の高さに
驚いた。歌姫は、そのラストナンバーである。
夜、部屋の明かりを落とし、ベッドの中でヘッドフォンから流れるこの曲を聴いた。涙が出た。
別に歌詞が悲しいわけではない。別にメロディが暗いわけでもない。
「やさしい」のだ。耳に心地よい波動。人によって感じ方は違うと思うが、この曲は自分の
感性に合っている。ずいぶん長い間(15年ぐらい?)、この曲が、わたしの中島みゆきの
マイ・ベストだった。

最初にこの曲を聴いたのは、FMラジオである。当時はCDを買うお金がなく、好きな曲はFM
からエアチェック(→もう死語?)することが多かった。中島みゆきの新しいアルバムをやるという
ので、テープを用意してエアチェックを始めた。
しかし、ラストナンバーの歌姫になった時点で、あまりの長さ(8分以上)にテープに入りきらな
かった。途中で、ぶっつん。それがくやしくて、FM情報を集め、中島みゆき特集の番組は必ず
チェックした。しかし、なぜか、この曲が流れる時は無かった。

「どうしてもこの曲が欲しい!」
結局、この曲聴きたさに、友人NOBU(→彼もみゆきマニア)に頼んでアルバムを録音して
もらった。(→なら最初からそうしろだって?その通りですね)
…というような、思い出の曲なのである。

この間、お気に曲を集めて、『マイベストオブ中島みゆき』をCD-Rで焼いた。
わたしが選んだ、そのラストナンバーがこの『歌姫』なのである。


【『寒水魚』 ほかに収録】

(初稿 2000.02.15)


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