人にとって愛は最大のテーマのひとつ。だから、愛を歌う歌は星の数ほどある。 『たかが愛』というタイトルを見て驚いた。「たかが」と言い切る中島みゆき、 やはりただ者ではない。 一人ひとり、ものの考え方は違うのだから、それを相手に押しつけてはいけない。 それはわかっていても、つい言葉や態度に出してしまうことがある。 　「わかった！もう、いいよ！」　　　　　 　　　　プツ… とぎれる糸。そして、静寂の中にいる自分。 （何？この感じ…） そんな時、冷静になって考えると、お互いの心が少しだけずれていたことに気がつく。 些細なことが原因で、いや、原因なんか無いのかも知れない。 でも、こんな静寂ほど、逃げ出したくなるものはない。 「たかが愛じゃないか…」といいながら、そこから離れられない自分に気がついたとき、 たかが愛は、されど愛、やはり愛、そして、かけがえのない愛　に変わる。

【『パラダイス・カフェ』　ほかに収録】

（初稿　２０００．０２．１７）


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