蕎麦屋

昔、誰かが言っていたっけ。
 「ひとりで飲むならともかく、二人で飲むコーヒーとか紅茶ってね、
  別に喉を潤すためのものじゃないのよ。ふたりの会話と関係を
  滑らかにする、潤滑剤なのよ」

二人で愉しむコーヒー&ケーキ、二人で食べる、お蕎麦。
どちらも、ふたりのための潤滑剤。

時間に追われて走る高速道路。渋滞の中で入ったサービスエリアで
注文した山菜蕎麦。たったそれだけのことだけど、不思議に記憶に残っている。

(このふたりは、ソウルメイト?)
と言っていた人がいた。そうかも知れないね。
心が通じている人と飲むお茶、心が通じている人と食べるお蕎麦。
どちらも、心の絆を、もっと深くしてくれるもの。




【『生きていてもいいですか』ほかに収録】

(初稿 2000.08.12)



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