愛から遠く離れて

自分が自分の夢に向かって歩き出そうとする時、何か大切なものを犠牲に
しなければならない時があるという。
 あなたにとって、それは、今の仕事や地位かも知れない。
 あなたにとって、それは、妻や夫かも知れない。
 あなたにとって、それは、親や子どもかも知れない。
 あなたにとって、それは、恋人なのかも知れない。

(愛なんていらないよ。
 わたしは一人で歩いていけるから。一人で夢を叶えてやるんだから)

でも、本当にそうなのかな。
大切なものを犠牲にしなければ夢はかなわないなんて、
そんなことばかりではないはず。
夢は、大切な人と共に歩む中で、叶えていくことができるものだと、
私は思うよ。

愛はわたしから離れてしまったという前に、もう一度、自分の足元を振り返って
ごらんよ。あなたを心配そうに見つめている瞳に気がつきませんか?

「ひとりで生きていくよ」 と言ったあなた。
ひとりで生きているように見えるあなた。
だけど、だけどあなたは、一人ぼっちじゃない。
あなたの周りに確かにある愛に、あなたが気がつかないだけ。
別の何かに、目を奪われているだけ。

気づくといいね。



【『月-WINGS』ほかに収録】

(初稿 2000.09.17)



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