最 愛

(メッセージを お願いします 今 出て行く あの船に)

  ふたりが乗っています
  誇らしそうな あなたと
  愛されても ふさわしい と
  思える きれいな人が

  ペンを持って 泣いています
  わたしは港


自分が好きな人が、自分ではない別の人と仲よさそうにいる姿を見た時、
そんな時の自分がどんな顔しているか、鏡を見たことありますか?

不思議なことに、そういう状況に置かれた人の顔って、みんな同じ表情を
しているんだよね。雨に濡れた子猫みたいな、惨めで、なさけない表情。

  (わたしは ほかに好きな相手が たくさんいます
     だから その方を 幸せにしてあげてください)

  二番目に好きな人
  三番目に好きな人
  その人なりに 愛せるでしょう
  でも 一番に好きだったのは
  わたし 誰にも言わないけど
  死ぬまで あなた…


心にもないことを、言うのってつらい。
けれど、そうしなければ、自分自身がもっと惨めになるから。
だから、みんな、無理をしているんだね。



【『御色なおし』ほかに収録】

(初稿 2000.05.27)



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