おもいで河

「おれは、いやなことを忘れたいから、酒を飲むんだよ」
と、彼は言った。
確かに飲んで騒いでいれば、頭の中からはいやなことが消えて
しまうかも知れない。
でも、酒が切れて、冷静になったときには、かえって、その反動
がくるのではないだろうか。
そんなお酒は、ごめんだ…。
    
何かを忘れたくてお酒を飲むのではなく、逆に、何か・誰かを
思い出したくて飲むお酒は、よいものだと思う。
そんな時に飲むお酒は、ほどよく冷やした、純米の吟醸酒がいい。
すてきに思い出せる想い出と、泣けるほど合うから。

そんな時に思い出したいもの…あなたにとっては、何ですか?
そんな時に思い出したい人…あなたにとっては、誰ですか?



【『Singles』ほかに収録】

(初稿 2000.05.20)



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