黄砂に吹かれて

好きでよく聴く歌がある。その歌をうれしい・楽しい気分の時に聴くのと、
つらい・悲しい気分の時に聴くのでは、同じ歌でも、心が受け取る印象は違う。
それは、歌が直接心の深いところに作用するものだから。
基本的に、歌は、自分の心が素直に受け取るように、聴けばいいと思う。

でも、心が弱くなっている時に聴いた歌は、いつまでも頭の中を流れていることがある。
砂上の楼閣ということばがあるが、不安定な心が受け取った歌は、
やはり不安定なまま、心の中をぐるぐる回るのだ。

眠りに落ちた夢の中では、人の心は解放される。
眠りの世界では、うそをつくことができない。
夢は、楽しい夢を見ることが多いが、時にはつらい夢をみることがある。
誰だって、つらい夢をみるのはいやなものだ。


【『回帰熱』 ほかに収録】

(初稿 2000.03.30)



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