「…もうこんな時間だ」 「そうだね。帰らないといけないね…」 時間というものは、無情に冷たく流れるもの。 (もう少し、もう少しだけ)と思えば思うほど、同じ1秒でも 早く流れていく気がしてしまう。 車の中って、ひとつの閉ざされた空間。 涙も、ため息も、そこから外には出ることができない気がしてしまう。 その中にいる限り、誰も二人のじゃまをすることはできない気がしてしまう。 その中にいる限り、時間が永遠に続くような気がしてしまう。 …でも、残念だけど、それは錯覚なんじゃないかな。 その空間は、いつまでも、そのまま閉ざされていることはない。 いつか、他人が入り込んでくることだって、あるかもしれない。 いつか、自分から出ていくことだって、あるかもしれない。 いつか、自分だけが残されてしまうことだって、あるかもしれない。 長い夢から、錯覚だと気がついた時、あなたはどうするのかな。 それとも、がんばって、その夢を見続けることができますか。 |