御機嫌如何(ごきげんいかが)


2000年1〜3月にやっていたドラマ『イマジン』。
正反対の恋愛観を持つ母娘の愛と葛藤を描いたドラマで、けっこう好きだった。
娘:有羽(ゆう)と母:美津子を、深田恭子・黒木 瞳が好演していた。
 …深田恭子よりも、黒木 瞳の方がずっと魅力的だったね(;^_^A

 有羽  「好きだっていうわたしの心は、絶対に変わらないよ」
 美津子 「ううん。残念だけど、心は変わるものなの」
 有羽  「変わらない!」
 美津子 「変・わ・る・の」

娘の恋愛観を大人の余裕でたしなめる母。
その相手が、本当の魂の片われでなかった時は、やっぱり「心は変わる」ものらしい。

心が変わると、人はまず、心が変わったことを相手に知られないように、繕おうとする。
でも、いくら繕っても、いくら隠そうとしても、わかってしまうもの。
一時期でも心がつながっていたふたりなら、なおさらだ。
そんな時に聞くことばほど、なぜか冷ややかに聞こえてしまうから不思議だね。

やがて、糸がほつれ、だんだん細くなっていき、すう〜っと音もなく切れてしまうのを感じる。
胸の奥に、ぽっかりと空洞ができてしまったのがわかる。
だけど、その空洞は、決してつぶしてはいけない空間。未来につながる大切な空間。
つぶしてしまわない限り、そこには、いつか新しい大切な人の心が入ることが出来るから。

ある程度の時間がたてば、距離をおいて、客観的に自分を眺められる日が、きっと来る。
長い夢から醒め、現実世界に戻ってきたウラシマのような感覚がするかもしれない。
でも、そんな日があるから、人は新しい一歩を踏み出すことができるのだ。


【『中島みゆき』ほかに収録】

(初稿 2000.04.29)



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