僕は青い鳥

小学校1年生の時、同級生にTちゃんという女の子がいた。
Tちゃんは、ちっちゃくて、くりっとした目が印象的な女の子だった。
今思うと、別に家が近かったというわけではないと思うのだが、毎日のように、
二人で遊んでいたような記憶が残っている。

1年生だから、ほとんど午前中に授業は終わり、給食を食べたら家に帰る。
そして、学校で待ち合わせて、夕方まで遊んだ。主な遊び場は学校だった。
何をして遊んでいたんだろう? おそらく、一緒に遊具で遊んだり、学校の
池のコイにエサをやったりしていたんだろうか。

ある時、いつものようにTちゃんと池の周りで遊んでいたら、6年生の男子の
3人組がやってきた。
 「おい、この1年生、仲良く手をつないでやがる ( ̄ー ̄)ニヤリッ」
 「ホントだ。恥ずかしくないのかぁ?」
 「おい、お前たち、恋人どうしなのか?~(^◇^)/ぎゃはは」
言葉でからかわれただけだったが、わたしたちは、怖くてドキドキしていた。
その時、Tちゃんが、ぎゅ…っと握ってきた手の感触は、今も覚えているような
気がする。

まもなく、Tちゃんは引っ越してしまった。さよならを言った記憶もない。
どこに行ってしまったのか、まったく手がかりもない。写真もない。
今頃、どうしているんだろう。幸せになっているのだろうか。
もう一度逢える機会があったとしたら、わたしはどんな話ができるのだろうか。



【『はじめまして』ほかに収録】

(初稿 2000.07.04)



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