蒼い時代(あおいじだい)

以前の職場で一緒だったMさんは、みんなからお母さんと呼ばれていた。
やさしく聡明で、場の雰囲気を暖かくしてくれる人だった。
ある時、Mさんと話をしているうちに、実はMさんは、うちの親戚の叔父と
昔、恋人同士だったということを知った。 w(゚o゚)w オオー!

誰よりも音楽が好きだった二人。一緒に歌を歌ったり、曲を作ったりと、
公私を越えて親しくなり、二人は愛を育てていった。
二人を知る誰もが、「いつ結婚するんだろうね」と、うわさしていたという。
でも、家が個よりも力を持っていた昔のこと。
二人の愛は、ついに許されることがなかったという。

  (これで良かったのよね?)

時の流れの中で、二人はそれぞれの新しい愛を選び、心をつなぐ糸も、
いつか、その手を離した。

人生の道のりを伸ばしていけばいくほど、お互いの心だけでは、どうにも
ならないことが生まれてきてしまうようだ。
今、Mさんも叔父も、それぞれの人生を、有意義に過ごしている。
山を乗り越えた人にしかわからない、人生の輝きがあることを知った。

誰にでも覚えがある、遠い昔に交わした約束。
そして、その時の約束は、今どうなっているのだろうかと想う自分がいる。



【『パラダイス・カフェ』ほかに収録】

(初稿 2000.05.07)



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