第5章 ・4部 アルノルト城塞都市
きっと昔は門の所に衛兵が居たんだろうなって思う。
マリーナさんとスカーフで耳先を隠しているカーラとアルノルトの街を歩く。
カーラに大丈夫って聞けばにっこりと笑みを返してくれる。
他のエルフが心配で歩きたいんだって。
無事助けられて、もう二度とこんなことがなくなればって思う。
なくなることは難しいことなのかも知れないけれど。
『ワール・ワーズ、アルノルト公演』
ポスターを発見!!!
こういうポスターってなかなか見たことないんだけど、コレが良い宣伝になる。
今回の作戦はシークレットライブのようなものだからファンは嬉しいだろうな。
なんてポスターを見つつ街を歩く。
「ミラノ、もしもの時はラテスの呪文よろしくね。「助けてー」って言えば、助けてくれるから。マレイグはねぇ、格好付けるんだよ」
とカーラは突然言う。
実はあたし昨日ラテスから魔法を貰ったのだ。
精霊を召喚できる魔法。
火のセティ、水のロフ、土のゼブ、風のメキオス。
呼べば来てくれる魔法。
正確には裁きと戦いの神ニスク様からのプレゼントだそうだ。
どんな方なんだろ、ニスク様って。
「っていうか、マレイグも持ってたの?」
「だって、マレイグはニスク様の神官だもん」
あぁ、成程ね。
「あそこがアルノルト城塞都市の中心絶対神シーアンの神殿です。神々がおられる所ではありませんから簡素ですよ。すぐ隣がアルノルト城本体です。元々はマティアス・ヴルピウスが持ち主だったらしいですが、現在はこの地を治めているマルセル・フェルンバッハの居城です」
とマリーナさんが説明してくれた。
お腹もすいてきたので食堂に入る。
「ワール・ワーズが…」
とそこかしこから声が聞こえてくる。
その内容のほとんどはワール・ワーズの事。
老若男女という言葉が相応しいほどたくさんの人の会話に上る。
ワール・ワーズの人気が世界的だって言うのがすごく分る。
ソレより、ワール・ワーズがラテスの名代っていうのは普通の人は知らないんだよね
「そうですね、一般人は皆無といえるでしょう。ラプテフでしたら一部という言い方も出来るでしょうが……他国となるとごくわずかな政府関係者のみとなりますね」
成程。
でも、こうやって宣伝してるとアルノルト城内に居る人にはばれるよねぇ。
「公演日に設定されているのは明後日ですので問題はないですよ」
じゃあ、油断してるかもって感じだね。
『チリン』
とかすかな鈴みたいな音がする。
「連絡来たよ。外に行こう、準備完了だって」
なったのはカーラが耳から下げているピアス。
小さな鈴のよう。
「チェスとの連絡用なんだよ。チェスの魔法が伝わるとコレがなるの」
とカーラが嬉しそうに言う。
「では参りましょう。ルカが待ちくたびれてるでしょうし」
マリーナさんの言葉に頷き食堂を出る。
若者が街を歩き、中年の女性は立ち話をしている。
それはこの街のいつもの風景なんだろう。
城塞都市を示すようにあたりは入り組んでいる。
通りは突き抜けないで壁が見える。
広い道路でもウィランの街のように車は通らず、馬車が通る。
道路はアスファルトではなく石畳。
穏やかな風景。
「ミラノ様、急ぎましょう」
「じゃあ、あたしは、チェスの所に行くね」
カーラは小さく呪文を唱えチェスの所へ魔法で移動する。
あたしはマリーナさんにせかされフェルとラテスが居るところへと向かう。
「5、4、3、2、1突入」
号令と共にトーニックは内部に侵入する。
要人警護、救出、ラプテフの侍の表の顔をさらしながら暗殺という裏の実行部隊の顔を持つ彼らに進入出来ないところはない。
もっとも、ライナスが居ることでソレを可能とするわけだが。
代々、トーニックには『道』が使えたアースガルドの人間が入ることが決められていた。
ライナスの入隊の意味はそう言う理由も存在していたのだ。
「道、完成」
「ショウ、ウォンで先行侵入」
「了解」
センターの言葉にショウとウォンの二人が先に侵入する。
「センター、分岐用札、なくさないで」
ライナスの言葉にセンターはムスッとした表情を見せる。
「分ってるよ。ソレより、ライナスお前一人で大丈夫か?」
お返しと言わんばかりにセンターはライナスに聞く。
「あのさぁ、道造れるのオレしか居ないし。それに一応次期アースガルドの頭領なんだけど」
「まぁまぁ、作戦の確認」
一触即発な雰囲気になりそうな所をリランが押さえる。
「ポイントに着いたら連絡。同時にその場へ追い詰める」
「了解」
「了解。開始」
リランとセンターが内部に侵入したのを見計らいライナスは道を閉じ新たな道を造り合図をあげた。
「全員の侵入を確認しました」
マリーナさんがトーニックの合図を確認する。
「制限時間は?」
「まぁ、限度1時間って所かな?。ワール・ワーズの誘導は早いだろうけど、制圧にどのくらいかかるかって所でしょう。アルノルト城内での行動が早ければ早いほど早く終わるだろうね」
「妥当ですね」
ラテスの言葉にフェルは頷く。
時間気にしてるけど、問題なの?
「一般市民に被害が及ぶ可能性があるからですよ、ミラノさん。本来ならばリグリアの正規部隊を動かすべき何でしょうが、…内部制圧に時間がかかりすぎるのです。ラプテフのトーニックの力を借りなければ不可能なことでした」
今回の件を発見してから解決までに時間がかかったのは…そう言うことだったんだ……。
ラプテフの一件が片付かない限り、こっちの一件も片付かなかったんだ。
「そう言うことになるね」
そんな事になるなんて思わなかった……。
「良いんだよ。言ったよね。ミラノの思いが周囲を動かす。だからラプテフも平和になった。リグリアもソレがなかったら正規軍を直接…いや、ソレすらも行われなかったかも知れない。君は気にせずに一つ一つ君が出来ることを繰り返していけばいい」
あたしが出来ること……。
「分ったラテス。頑張るよ。有り難うラテス」
今は、目の前のこと頑張ろう。
「ミラノさん」
フェルがあたしの手を取り。
「ミラノさんの思いをが皆に届くよう、このフェルディナンド・ルカ・アレグリーニ・マグヌス三世も微力ではありますがお手伝いいたします」
そう言う。
「ミラノ様、このバカの言動は気にせずに、共に頑張りましょう」
ありがとう、マリーナさん。
有り難う……フェル。
昨日、フェルがあたしの言葉で勇気を貰ったって言うけど、あたしの方がいっぱい貰ってる気がする。
「あ、えっと、スコット・バーンズ伯爵、スティーブン・フォード伯爵」
ウォンとショウは二人の伯爵の前にいる。
「オズバルド・カルディナス子爵、そしてマルセル・フェルンバッハ侯。オレたちはラプテフ国特別部隊トーニックと言います。カバネル聖上庁及びリグリア連合王国より依頼を受け参りました。同行をお願いしたいのですが」
リランとセンターの前にいるオズバルド・カルディナス子爵とフェルンバッハ侯爵。
奇しくも同じ部屋に追い込まれた4人はリランのどこかやる気のなさそうな口調に怯える様子も見せずあたりをしきりに伺う。
「トーニックも大したことないな」
バーンズ伯爵がそう言うとあたりは霧が立ちこめ視界を消す。
「うわ、きりだ〜」
「えんまくじゃねぇの〜」
そんなあわてているトーニックの4人に
「呪文を唱える隙を与えるようでは……」
バーンズ伯爵がそう捨て台詞の様に吐いて追い詰められていた4人は部屋から脱出する。
「吹き荒れ、青嵐」
ショウの声で霧が晴れる。
逃げた4人はトーニックにわざと逃がされていることを知らない……。
「さて、次はライナスの出番と」
「ついでに、連絡」
「2回目の合図」
城の方から見える合図を機にチェスターはピアノを奏で始める。
その音色は空気を伝い周囲に広がる。
「お、来た来た」
クロンメルはチェスターの奏でるピアノに合わせてギターを弾く。
その音色は重なり合い色を作りアルノルトの街を覆っていく。
「なんの騒ぎだ?」
音を聞きつけた4人は城の裏口で戸惑い、騒ぎ出す。
「あの4人の包囲を簡単に抜け出すなんて」
騒いでいる4人をライナスは呆然と見つめる。
「ん?ラプテフ最強部隊といえど、リグリアの魔法力にはかなわないのだぞ?ヒューイ・リク・レスト・タクラ ファイアーインパクト!!」
オズバルドが唱えた呪文が火の玉が衝撃となってライナスをおそいかかる。
「うわぁあああ」
叫ぶライナスを尻目に
「今の内に参りましょう」
4人は扉を開けて出て行った。
「ん〜〜〜、叫んだのは大げさだったかな?
別の所から現われたライナスはただ何もない黒こげの場に目を向けて呟く。
「この曲かぁ」
あたりを染めていくメロディにマレイグは苦笑いを浮かべる。
「では、仕上げと行きますか」
ピアノとギターの音色。
ソレが耳聡い者はチェスターが作り出すメロディだと気づき窓の外を探す。
マレイグは歌を流す。
そのメロディにマレイグが声を乗せると状況は変化する。
人々が部屋から出て彼らが居るところを探し出す。
そして見つけ、目を向ける。
空であり、建物の上であり、はたまたすぐ隣であったり。
あちらこちらにワール・ワーズの3人の姿を見つけた。
「ど、どういうこと?」
状況が分らなくなってあたしはラテスに聞く。
なんでみんな好き勝手な方向見ているの?
ワール・ワーズはそこにいるのに……。
あたしは目の前に目線を向ける。
ワール・ワーズの三人が演奏している。
とても気持ちよさそうに。
「ソレもハズレ。ワール・ワーズはココにいないよ」
え???ココに来たんじゃないの?
「彼らはこの街の外で別れて曲を演奏しているよ。街全体を包囲するには二つ方法がある。一つは内部から。中央から外に向けて包囲する。中央から外の基点に向けて行えばこの地は完全に包囲される。だが、それは3人という人数から考えると不可能だ。一人が中央にいても二人しかいないのだから面で覆えない。もう一つの方法は外部から包囲すると言うこと、コレならば基点が3人だから面で覆える」
何となく分ったような分らないような。
で、いろんな人がいろんな所を見ている理由は?
「コレこそ、ソングマスターの力だよ。3人の歌が周囲に響き渡ると言うことは彼らの影響が広い範囲に与えることが出来ると言うことだよ。今回の場合は奴らの誘導」
ラテスが言葉を切ったと同時に周囲から歓声があがる。
曲が終わったのだ。
そして、新たな曲が始まりもう一度歓声があがる。
「市民に取ってはラッキーなミニライブ?になったね。奴らにとって恐怖の音楽でしかないかも知れないけれど」
あ…。
人が動いて、空間が出来る。
「……歌で、人の場所を変えているの?」
「そう……」
たくさんの人が密集している場所、いない場所、それが刻々と変わっていく。
「そろそろ、来るよ」
そう言ってカーラがやってきた。
「カーラ、良いの?」
ラテスがカーラに問い掛ける。
「うん。あたしは大丈夫。マレイグも、クロンも……チェスも大丈夫」
「なら良いけどね。で、どのくらい?」
「この歌が終わるぐらいで来るよ」
そう、カーラが教えてくれる。
「ルカ……」
「心配ない……私は……」
マリーナさんの声にフェルはうつむく。
「どうしたの?」
「いや、何でもありませんご心配なさらずに。今は彼らを捕らえることを考えましょう」
そう言って、フェルは微笑む。
何があるのか知らないけれど、ともかく今は捕まえることが重要。
「来たよ」
カーラはそう言って頭にかぶっていたスカーフを外す。
「エルフ!!!!!」
中年のおじさん二人と若者一人、それからおじいさんな感じの人が一人。
その4人がカーラを見てそう叫ぶ。
「カプリ公のご息女とあろう方が、何故エルフとおられるのですかな?
「スコット・バーンズ伯爵、そしてスティーブン・フォード伯爵」
こっそりラテスが教えてくれる。
今回のメンバーでエルフ保護政策に反対している二人!!!
「政府の決定を無視して、エルフを迫害及び虐待しているあなた方に言われる筋合いは御座いません。両名を国際条約に基づき中央に連行いたします」
「何をおっしゃる、マリーナ嬢。エルフ迫害など前時代的なことを」
「もう、すでに他のエルフの方々は発見しております。神殿北東、元々はアルノルトの貯蔵庫でしたね。今は公民館として使われている場所、その地下に彼らはいるはずです。そして、オズバルド・カルディナス子爵及びマルセル・フェルンバッハ候。両名を中央政府反逆の罪で連行します」
「何を、小娘ごときに言われる筋合いはない」
フェルンバッハ侯爵と思われる老人がマリーナさんの言葉に憤慨する。
マリーナさんが彼より年下で、しかも嫌いなカプリ公爵の娘だからだろうか。
「ならば、私ではいかがですか?候からすれば小僧でしょうが」
マリーナさんより一歩ほど下がっていたフェルが彼女より前に出てそう言う。
「……中央の決定は守られてしかるべきだ……。以前、条約違反を犯した者にそう言ったのは卿だったな……。オズバルド卿。私は買っていたのだ、その卿の心意気を……。残念でならない、オズバルド・カルディナス子爵。そして、侯爵、貴殿は私の良い相談相手の一人だと思っていたのだが……思い違いだったか……」
静かにけれど寂しそうにフェルは語っていく。
「あ、あっ……あ……」
4人はぱくぱくと魚みたいに口を開けてフェルをみている。
「卿等は、中央が行ったことがそれほど不満か?カプリ公爵がそれほど不満であったか?」
「め、滅相も御座いません」
我に返ったのか4人はフェルに対してその場で跪いた。
一体……これは……。
「殿下、お許しを」
で、でんか?
電化?殿下?
って…………?!
「残念だが中央からの通達を何度無視した?フォード伯」
フォード伯爵は黙り込む。
「三年前の条約締結。それに見せかけだけの賛成だったと父王が知ればさぞ残念がるであろうな」
父王?
王様の息子?
え?
「王子様!!!??」
どこの?
「ミラノ様?」
「あ……忘れてた。話すの」
一瞬の隙だった。
「フェル。それは甘い認識だったのだと。オレは思ったのだ」
あたしは、カルディナス子爵が突然羽交い締めにされてしまった。
「ミラノさん」
他の3人はカーラがとっさに呪文を唱えたのかすでに身動きがとれなくなっている。
「オズバルド!!!」
「夢を語ったのは遠い昔のことだ。だが夢は夢でしかない。お前の理想は単なる夢でしかない。夢は叶わない」
「違うっ」
「何が違う。違わないんだよ。夢を語った。この国から汚職や賄賂を取り除こうと。だが中央は腐敗し、地方は汚職にまみれている。いくらお前や陛下が望んでもそれは叶わない」
「それは違う。一掃する前に中央からはじき出されしまったお前が知らないだけだ。だから、こうやって反乱が起きる。中央の政府に対して」
「っっっ汚職、賄賂は止まらない」
「オレは止める。フェルディナンド・ルカ・アレグリーニ・マグヌス三世の名にかけて!!!オズバルド、彼女を離せ」
「断る」
「何故」
「それは決まっている!!!彼女には死んで貰う」
ちょ、ちょっと待って何であたしが死ぬこと決まってるのよ!!!
「ミラノちゃん、呪文」
ラテス、呪文?
あ、そうだ。
「助けてー〜メキオス!!!」
とっさに唱えた風のメキオスの名前。
風だったら移動出来るだろうっていう単純な事。
こんなんで平気?
と思った瞬間に風が巻き起こりあたしはオズバルド・カルディナス子爵の腕から離れラテスの側に降ろされた。
風が降ろしてくれた。
「な、何が起こったんだ」
突然の事にオズバルド・カルディナス子爵は呆然としている。
「有り難う、メキオス」
居るのか分らないけれど言ってみたら一陣の風が吹く。
「卿等には追って父王より沙汰が下るであろう……」
身動きできないようにカーラの呪文を掛けられた4人に対しフェルは悲しそうに言った。
「………フェルディナンド・ルカ・アレグリーニ・マグヌス三世。彼は、リグリア連合王国次期王位継承者だよ」
一段落してあたし達はヴォレイン城に戻ってきた。
そこで、さっきのことを聞いてるんだけど……。
「レグダル公というのは、次期王位継承者の事を指す言葉でね。まぁ、実際にレグダルの地を治めてはいるんだよ」
……イギリスの、プリンス・オブ・ウェールズみたいなもん?
アレって王位継承者の事を指す言葉なんだよね。
「申し訳ない、ミラノさん。結果的には貴女を騙すようなことをしてしまった。本当に申し訳ない」
と、フェルディナンド王子は申し訳なさそうに言う。
「いえ、私が気付かなかったのも悪いんですから。そう恐縮なさらないでください。フェルディナンド王子」
レグダル公について調べてたときすぐに確認すれば良かったのよね。
「そのような他人行儀な言い方はやめてくださいと申したはずです。どうぞ、私のことはフェルとお呼びください」
む、無理だってばぁ〜〜〜〜。
次期王位継承者にため口なんてたたけません!!!!
「オレにだってため口なんだから良いんじゃない?」
ラテスと王子様じゃ話が別!!!
「同じだと思うんだけどなぁ??」
王子様だなんて。
これで芝居がかってるのも仰々しいのもなんか分った気がする。
それって一般的王子様に対する偏見?
「気にしなくても良いですよ?ルカがそうして欲しいと言うんですから。ミラノ様だってそうでしょう?あまり畏まられるのは好きではないでしょう?」
マリーナさんに言われ頷く。
「それと同じなんです」
そうだよね……小さい頃から王子王子って畏まられてたんだから、まぁ、フェルって呼ぶぐらいはいいか。
ちょっと申し訳ないような気がするけれど。
「有り難う御座います。やはり貴女は私の女神に相応しい。ミラノさん、いつか私の妃になって欲しい」
え、えぇ〜〜〜〜。
何、いきなり言ってるのよぉ〜〜。
「うわぁ〜〜マジかよ」
「止めないと不味いと思うけど」
「それは言えてる」
「オレ、黙って見てたのかって殺されるのやだよ」
「ああ、オレもやだ」
トーニックが後ろの方でなんか言ってるけど。
「ごめんなさい!!!あたしにはやることがあって」
あるんだよね、一応勇者だもん。
「心に思う方は?慕っている方は。好きな方はいらっしゃるのですか?」
ちょっと同じ事、違う言葉でたたみ掛けるように言わないで〜〜。
「おられないのですか?」
あたしが返事に戸惑っているとそんな風に聞いてくる。
「ちょ、ちょっと」
好きな人〜〜〜。
「………いなくは、ないよね?」
ラテスに同意を求める。
「何で、オレの方見るの」
「ら、ラテス様なのですか?ミラノ様」
しまった、マリーナさんに飛び火した!!
「違うわよ、あたしが好きなのはラテスじゃないわ」
ただ、聞きたかったのよ。
あたしが好きなのって……。
「殿下、最強のファラスナイトである上司に切られたくはないと思うのですが」
なんて答えてたらいいか迷っているあたしを横にライナスはフェルにそう言う。
「…………分った」
「そうですわよね。ミラノ様申し訳ありませんでした」
その事を聞いたフェルとマリーナさんはとたんに落ち着く。
さ、最強のファラスナイトって?
「レグダル公は一応ファラスナイトだから、サガの部下に当たるのかな?」
とリランが教えてくれる。
フェルはファラスナイトなんだ。
ホント、カバネルの称号が各国の要人が持ってるって言うの今実感した。
フェルは王子様だもんね。
って、サガが最強のファラスナイト?
「まぁ、とりあえず、納得は出来たかな?」
まぁ、そうだね。
うん、解決、解決?