終結の銃撃終結の記憶終結の傷跡終結の願い終結の銃声終結への銃声あとがき
 何があっても共にある事。
 それは二人で決めた事だった。

 何があっても二人で生きていく事。
 それは永遠と等しい物だった。
終結の銃撃 〜 Can't help falling in love 〜
「嫌っ」
 香の声が撩の耳に響く。
「香」
「絶対にいやっ」
 今の香は撩の言葉に耳を貸そうとしない。
 それは痛い程撩にもわかって、そして同じ気持ちでいた。
「嫌っ、あたしはあんたがいなくちゃ意味がないの」
 強い視線を香は撩に向ける。
 それに負けないぐらいの強い視線を撩も向ける。
「頼むよ…香」
「いや、絶対に嫌」
 譲らない香に撩は懇願するようにつぶやく。
 状況は最悪だった。
 二人そろっての逃げ道を模索していた。
 が…それが無理だと『撩』が判断したのだ。
 一人ならそれが可能だと、判断する。
 それがどういう意味なのか、香には充分過ぎるほど分かっていた。
「……お願い、一人にしないで。あたしは、撩が生きていなくちゃ意味ないよ。あたし一人生きていたって、意味ないよ」
 撩の胸にすがって泣き出した香を撩は静かにだが強く抱きしめる。
「一人じゃないだろう」
「………っ」
 その耳元でささやかれた言葉に香は瞬間的に撩から離れようとする。
 が、それを許す撩ではなく。
「………あんた、知ってたの?」
「あのなぁ、何年一緒にいると思ってんだよ」
「だって…、だって、絶対、気付かないって思ってたのに」
「ば〜か、お前の事は何だってお見通しなんだよ」
「……ごめん」
 謝る香に撩は苦笑する。
「なにを謝るんだ?何に謝ってるんだ。おれ、確信犯だし」
「あ、あんたねぇっ」
「だから、頼むよ。香、生きてくれ」
「………。そんな事言われたら、生きなくちゃならなくなっちゃうじゃないのよ。全部捨てようって思ってたのに」
「おれも捨てる気だったわけ?」
「違うわよっ。……もう、なんで今、こんな事言わなくちゃならないのよっ」
 ふざけた口調の撩に思わず釣られて香は悪態をつく。
「言えよ。聞いてやるから」
 優しい声音に香はあふれ出る涙を抑えられない。
「…あんたさえいれば、いらないって思ってた。やっぱりどうあがいたって大変なのは充分理解してる。だから、諦めるって思ってた。それ言おうって思ってたのに…」
「宝物みたいな女におれの遺伝子残すのって良いって思ってたから。別に諦める必要なかったのに」
「…た、宝物って」
「だろ?香ちゃん」
「あんたねぇっもう、バカっ」
「最後まで、悪態つくなよ」
 そう言って苦笑しながら撩は香を抱きしめ直す。
「最後だなんて言わないで……」
「香」
「最後だなんて言わないでよ。やっぱり嫌よ…どうしても」
「…香」
 また強く泣き出した香の頭を撩はゆっくりとなでる。
「お願いがあるの」
「ん?」
「……帰ってくるからって言って」
「香…」
 顔を上げて撩の顔を見つめる。
 それは今にも泣き出しそうな撩の顔を自分の目に焼き付けるような行動でもあって。
「お願いだから、帰ってくるって言って。こんなの言うのあたしのキャラじゃないって分かってる。だけど、言って欲しい。それさえ言ってくれれば、あたし、ちゃんと、生きていくから」
「………」
「撩……ごめん、困らせちゃったね。あたしホントあんたに迷惑かけっぱなし……っ」
 香の頭を抱え撩は無理やり口付けする。
 自分のすべての思いを香に伝えるかのような、荒々しい、口付け。
「お前が生きていてくれるのならいくらでも言ってやる」
「約束もして」
「あぁ、約束する。必ず帰る。ちゃんとお前の所に」
「うん……ありがとう、撩」
 そう言った香のコルトローマンをとり出し、撩はその場から香を残す。
「香、生きろよ。必ず、帰るから」
 そう、言い残して………。
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