エレミア美術館決行までの間も、アリオスは足げに”えんじぇる・はうす”に通い詰めた。 お互いに少しの猜疑心は持ってはいるものの、お互いへの愛情が、それをカバーして余りある。 ふたりは空いた時間にはデートをしたりして、更に愛情は膨らませていった。 「エレミア美術館に行かねえか?」 アリオスは、あえてアンジェリークを誘い、彼女もそれを受ける。 アリオスからの挑戦状だと感じながら。 「美術館は落ち着く感じがいいわね」 「ああ」 アリオスはアンジェリークの手をしっかりと握りながら、美術館の絵ではなく、警備の様子を眺めてたが、アンジェリークは細かいところを見ている。 警備装置は絵、そして廊下に張り巡らされている。 侵入するには、警備装置を壊すか、細工をするかどちらかだな・・・。 アリオスが細かく警備チェックをしているのに関わらず、アンジェリークもただ絵を見ているふりをして、絵から天井までを目測で計っていた。 飛び下りれば、警報装置が作動するから、上手く金具に引っ掛けと引き上げないと・・・。 「この絵な」 「えっ?」 考えごとをしていた時に、アリオスに声を掛けられて、アンジェリークはほんの少しドキリとした。 「おまえに似てねえか?」 「そうかな?」 アンジェリークは少し照れくさそうにして、絵をじっと見る。 彼が気付いてくれて嬉しかった。 この絵は、実はアンジェリークが幼い頃がモデルになっている。 それゆえにどうしても手にいれたい逸品だった。 「すげえ神々しくて、可愛い絵だな」 「本当に・・・」 愛している人にそう言われると、彼女としては最高に嬉しかった。 お互いのある意味で腹の探り合いであったが、アリオスとアンジェリークは、そんな中でも、お互いに温かな気持ちになりえた。 「今日はいいものを見せてもらったわ」 絵を見たことによって、彼女はさらにハンターとしての意欲が高まる。 アリオスとの思い出の詰まったもののせいか、余計に欲しくなってしまう。 アリオスもまた、アンジェリークとの思いでが詰まったこの絵を何がなんでも守り抜くと誓った。 美術館を出て、駐車場まで出たときのことである。 ふたりは同時に、蛇行運転の車の存在に気がついた。 「アリオス!」 アリオスは、ふたりに突っ込んで来るのを察し、車に当たらない程度に軽く除けようとした。 だが、アンジェリークは、大きく除けようとして、アリオスが重いにも関わらず、彼女は華奢な身体で、飛んだ。 アンジェ!? その動きの素早さは、やはり”天使の涙”としか思わざるをえない。 横に上手く飛ぶように除けれるが、着地の時に軽い衝撃を、アンジェリークは感じた。 「いたっ!」 ぴりりと激痛が走り、彼女は顔をしかめる。 「おい、アンジェ?」 アリオスは心配になり、アンジェリークに問い掛けた。 「大丈夫だから・・・」 少し力なくアンジェリークが笑うせいか、アリオスは心配になり、先に立ち上がると、彼女に手を差し延べた。 「ほら」 「うん」 アンジェリークは立ち上がろうとしたが、上手く立ち上がることが出来ない。 右足首が踏ん張ることが出来ないのだ。 「痛いのか? 見せてみろ?」 アリオスは屈みこんで、アンジェリークの右足を診る。 「ここか?」 慎重に触診しながら、痛みの部分を探った。 「そこっ、痛いわ」 「捻挫だな。少し腫れてる。すぐに手当てをしなくちゃな」 アリオスは、アンジェリークを突然抱き上げると、そのまま涼しい顔をして駐車場へと連れていく。 「あっ、アリオス、恥ずかしいから・・・」 「歩けねえんだろ!? 気にすんな?」 「肩貸してくれたら大丈夫よ? それに私重いし・・・」 消え入るような声で言う彼女に笑いながら、アリオスは抱く腕に力を込めた。 「確かに重いな?」 この言葉に、アンジェリークは頬を膨らませて拗ねる。 「もう意地悪!」 アリオスはクッと喉を鳴らしながら、アンジェリークを連れて行く。 「なあ、アンジェ?」 「何、アリオス」 急に立ち止まり声を掛けてきたアリオスに、アンジェリークは大きな瞳を彼に向けた。 「ずっと出来たらこんな風にしていたいな?」 「うん…」 彼の声は艶やかだった。 どこか憂いがあり、アンジェリークの胸を締め付ける。 出来るなら私だって、あなたの傍にいたいって思うわ… 切なくもアンジェリークは思いながら、アリオスの首に縋りつく。 2人は、道の真ん中であるにもかかわらず、一瞬キスをした。 夕陽が目にしみるぐらい赤い夕方のことであった------- 「アンジェ、どうしたの!!」 アリオスに抱えられて帰ってきたアンジェリークに、レイチェルは驚かずにはいられなかった 「うん、捻挫しちゃって…」 少しばつが悪そうにアンジェリークは言うと、俯いてしまった。 「とにかく部屋に連れて行きます。どうも有り難うアリオス」 「いや…」 アンジェリークは、アリオスの腕から離れると、レイチェル似捕まって部屋の中に入っていく 「今日はごめんね、有難う…」 部屋に入り際、アンジェリークはアリオスに丁重に礼を言った。 「ああ、明日また様子を見に来るからな?」 「うん・・・」 アンジェリークはレイチェルに連れられて部屋にはいるなり、レイチェルに険しい顔で見つめられた。 「で、この足はどうしたの? こんなへまするなんてアナタらしくない」 「アリオス助けようとしてつい…」 隠しても直ぐばれるのは判っていたので、アンジェリークは素直に言った。 「恋がアナタの勘を狂わせているのだとしたら、これは重大問題だよ。 悪いこといわない、今は、この仕事休んだほうがいいよ!! こんな足なんだし…」 次の瞬間、アンジェリークは意思がかたげに頭を強く振った。 「ううん! この仕事はやり遂げるわ!! ここまで来たんだもの、後には引けないもの」 「アンジェ…」 一度言い出せば聞かないことぐらいは、レイチェルが一番よく知っている。 彼女は逡巡の表情を浮かべた後、仕方ないとばかりに溜息を吐いた。 「しょうがないわね、だったら任せるわ! アナタのやりたいようにね!」 「うん! 有難う!!」 明るく笑顔で答えながら、アンジェリークは決意する。 アリオスを愛する気持ちは変わらないわ…。 だけどこの山は如何してもやりたいもの! 決着は自分でつける! だって私は全てを手に入れる女なんだから! |
コメント 100001番のキリ番を踏まれたDAI様のリクエストです。 アリオスはICPOの刑事。 今回は繋ぎの章。 次でラスト!!!…と言いながら、後一回書かせてください。 ごめんなさいでス〜 |