CHAPTER 10


 「アンジェ!?」
 アリオスは、アンジェリークが車に乗せられ連れ去られるのを目の当たりにする。

 くそっ! アンジェ!!

 彼はすぐさま車に乗り込み、後を追う。

 もうこんな思いはごめんだ・・・!

 アリオスは銃を片手にハンドルを握りながら、まっすぐと前を見つめる。

 このスピードで車を止めれば、恐らくアンジェリークもただではすまない・・・。それだけは避けたい!

 車の中に捕らえられたアンジェリークは、呆然と手を見つめた。

 この力さえなければ・・・! 私はどうしたら・・・!?

 不意に、バックミラーを見つめてみる。そこには、アリオスがすぐに追いかけて来ているのが見える。

 アリオス・・・!

 アンジェリークは僅かに明るさを取り戻した。
 アリオスは、アンジェリークだけを見つめる彼には、もはや、”彼女を守り抜く”という文字しかなかった。
 二台の車は、見通しの良い道に差し掛かろうとしていた。
 対抗車線には、一台も車はない。

 アンジェ、俺はおまえを信じる。

 アリオスは前方に走る車に、ゆっくりと銃口を向けた。

 アリオスっ・・・!

 アンジェリークは、咄嗟にバックミラーを見つめる。
 彼が賭に出たことが判る。

 信じてくれているから、きっと・・・!

 アンジェリークは咄嗟に身を伏せた。
 頭をしっかりと固定し、歯をぐっと食いしばって。
 その瞬間だった。
 アリオスは冷酷にも車のタイヤに向かってトリガーを引いた----
 車が行方が定まらず急激にスピンする。
 激しい衝撃をアンジェリークは必死になって耐え抜く。
 タイヤが道路に擦り付ける音が派手に聞こえる。
 その後、車は勢い余って看板に激突した。
 アンジェリークの身体にも、看板がある程度の衝撃を吸収しているとはいえ、アンジェリークの身体は激しく揺れた。

 アリオス!!

 彼の名を心の中で呼び、アンジェリークはその衝撃に耐え抜いた。
「アンジェ!」
 アリオスはすぐさま車から降り、アンジェリークが乗せられていた車に向かう。
 彼女がいた側のドアを開ける。
  車内は車の衝撃に耐え切ることが出来なかった男たちが、血まみれになって気を失っていた。
 アリオスに不安がよぎる。
 だが-----
「アンジェ!?」
「んっ・・・」
 ぴくりと彼女が動き、体をゆっくりと起こした。
「アリオスっ・・・!」
 泣きそうな潤んだ瞳を向ける彼女に、彼が手を延ばし、その腕に抱きしめる。
「もう大丈夫だ」
「ごめんなさ〜い!」
 腕の中の温かさ。
 それは、彼の心を柔らかに癒してくれる。
「ほら、判っただろう。もう単独で行動するんじゃねえぞ!?」
「うん。うん、うん!」
 彼女は彼にしがみついたまま、離れない。
 それに苦笑しながら、アリオスアンジェリークの背中を叩いて促した。
「ほら、とっとと出るぞ」
「はい…」
 何とかアンジェリークはアリオスに支えられて、外へと出、彼の車へと戻ろうとした、まさにその時。
 ピクリとアリオスのこめかみが動く。
「伏せろ!」
 アリオスはそのままアンジェリークを抱いたまま、道路の横に飛び込んだ。
 同時に、トリガーが引かれる。
 二発の銃声がこだまし、二人の体が地に着き、滑り落ちる。
 ばたりと鈍い音がした後、乾いた拍手が響いた。
「さすがは見事だ」
 足元に転がる二人を狙ったスナイパーの死体を乗り越えるようにして、一人の青年が、不気味な笑いを浮かべて姿をあらわした。
「…因果とはこのことですね…。本当に…、この少女はエリスに似ている…。
 あなたが一生懸命彼女を守るのは、なくなった妻と子供への供養ですか?
 -----アリオス」

 なくなった妻と子供…!?
 アリオスは…!!

 その一言は、アンジェリークの心を奈落に突き落とした。

TO BE CONTINUED・・・


コメント

エージェントアリオスです
一体どれほど更新していなかったのでしょうか…。
本地うに私は困ったチャンです(笑)
これから物語りは徐々に核心に迫っていきます。