
顔色を無くしたアンジェリークをアリオスは横目で見ながら、男に銃を突きつける。 「-----うせろ…」 その声はとても低く、魂の奥から揺さぶられるような低く冷たい声だった。 異色の眼差しには、今まで彼が見せたことのないような殺気が漲り、アンジェリークは息を呑んでしまう。 緊張感が空気を切り裂く。 アリオスは銃を男に向けると、微動だにしない。 「オッケ。今日のところはね?」 フッと男は笑うと、強張ったアンジェリークの表情を覗き込む。 「またね。お嬢さん」 それだけを言い残すと、男は軽やかにどこかに行ってしまった。 アンジェリークはただそこに立ち尽くし呆然としている。 「本部に帰るぞ」 「・・・はい」 見ればまたいつもの冷静沈着なアリオスに戻っていた。 アンジェリークが知っている”大佐”としてのアリオスに。 「0016アリオスだ。エンジェルレーン西234で射殺体が二体ある。始末をしてくれ」 完結にそれだけを言い無線を切る。 ダブルオー-----殺人許可証を持つ者の日常的な連絡の姿に、アンジェリークは少し震え上がった。 非常なエージェントの世界---- そこに私はいつまで身をおいておくことが出来るのだろうか… 「早くしろ」 「はい」 何も訊けぬまま、アンジェリークはその後ろを追うことしか出来なかった。 車に乗り込み、一路本部へと向かう。 アリオスは何も語らず、ただ煙草を銜えながら冷静に運転をしている。 その精悍で整った横顔を見つめながら、アンジェリークは酷く胸が苦しくなるのを感じていた。 アリオスには妻子がいたんだ… それも当然よね…。 こんなにカッコいいんだもの…。 省内の資料には独身と書いてあったけど、あれはきっとそうするのが一番だから…。 でも…。 でも…。 私…。 「-----着いたぞ」 「あ、はい」 低い感情のない声で言われて、アンジェリークは慌てて車から降りようとした。 だが慌てる余りに、彼女は車のふちで躓いてしまう。 「きゃあっ!」 「こら、気をつけろ?」 咄嗟にアリオスが身体を支えてくれて、彼女は事なきを得た。だが、アリオスの腕が一瞬、アンジェリークの胸元をかすり、彼女は真っ赤になってしまう 「あ、有難うございます…」 「ああ」 はにかむ彼女にも、アリオスはあっさりとした挨拶をすると、MI6本部の中に入っていく。 アンジェリークもその後に着いていき、何度かのセキュリティチェックを受け、ようやくいつも見慣れた場所にやってきた。 「おまえは今日はロザリアのところでゆっくりしろ。帰りは俺が迎えに行く」 「はい」 「俺はMに用事があるからな」 「はい」 M-----それは謎に包まれた、MI6の長官。 アンジェリークは名前を訊いたことはあっても、逢ったことはない。 セキュリティカードキーでドアを開けると、そこにはロザリアが待っていてくれた。 「アンジェリーク! お久しぶり!!」 「ロザリアさん」 艶やかな巻き毛が印象的な長官秘書であり、アンジェリークがアリオスの下で働くまで世話になっていた女性である。 なつかしさが込み上げていて、アンジェリークの表情は一気に明るくなった 「元気だった?」 「はい! ロザリアさんも!」 明るくなったアンジェリークに安心をしたのか、アリオスは僅かに口角を上げて笑う。 「ロザリア、後は頼んだぜ?」 「ええ」 それだけを言うと、アリオスは足早に部屋を出てしまった。 アリオスさん… アンジェリークの表情は、急にしょんぼりとしたものになり、先ほどよりも輪をかけて暗くなってしまう。 それを見て、ロザリアは微笑ましく思う。 恋する少女のその表情に。 「-----夕方には戻ってこられるわよ?」 「ロザリアさん…」 「さあ、椅子に座って? とっておきのロイヤルミルクティーを入れるわ」 「はい」 まるで幼子のように頷くと、アンジェリークは進められたように椅子に腰を落ち着けた。 暫くして、ロザリアが温かなミルクティーを運んできてくれた。 「美味しそう」 「これで心を落ち着けるといいわ?」 コクリと頷いて、アンジェリークは一口口にする。 温かさが染み渡り心を落ち着けてくれるようだ。 温かいな…。 温かさが、アンジェリークに冷静な思考回路を与えてくれる。 ひょっとして、ロザリアさんはアリオスの過去をご存知なんじゃ… 急に思い立ち、アンジェリークは彼女に訊いてみることにした。 「ねえ、ロザリアさん…」 「何?」 「-----アリオスに妻子がいて、 ・・・その殺されたって・・・ホント?」 最後の声は消え入るようだったが、アンジェリークは勇気を振り絞って訊く。 「-----アンジェちゃん…」 一瞬ロザリアは驚きの余り身体を揺らしてしまう。 彼女は逡巡の色ウィ見せ、僅かに目を閉じる。 「-----そうね…。あなたはいずれ知ってしまうことだし、知らなければならないことだわ…」 そこまで言ってから、ロザリアは深呼吸をした。 「-----アリオスに妻子はいたわ。だけど、子供が四ヶ月のとき、奥さんと一緒に事故に見せかけられて殺されてしまった…。 -----犯人は、あなたの両親を殺し、弟をあんな目に合わせた人物よ…」 そんな・・・!!!!!! アンジェリークは身体を震わせ、衝撃に耐えていた----- |
TO BE CONTINUED・・・
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コメント
エージェントアリオスです
一体どれほど更新していなかったのでしょうか…。
もう誰も更新することはないと思っていたでしょうが(笑)
お久しぶりです。
そして一気に更新していきます〜
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