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一通りの執務も済み、アンジェリークはようやく自室に戻った。 ここからはリラックスした時間だ。シャワーを浴びて部屋着に着替えるとほっとする。 「アンジェ、俺だ」 アリオスも同時に執務を終えたので、同じぐらいの時間に着替え終わるのだ。アンジェリークはいそいそとドアを開けに行く。 「アリオス〜っ!」 姿を見るなり、アンジェリークはすぐに抱き着いた。 「ゆっくりしようぜ。今日もご苦労さん」 「うん」 そのままソファに座り、リラックス。アリオスはストレートでウォッカを飲み、アンジェリークはジュースだ。 「ねぇアリオス」 「何だよ」 憎らしいほど素敵な笑顔を送られて、アンジェリークは少しどぎまぎとした。 「今日のデータなんだけれどね、気になることがあって…んっ」 ここまで言いかけて横にいるアリオスに唇を塞がれる。アルコールの味がほんのりとするキス。だが甘いのには間違いなくて。 舌で口腔内を巧みに愛撫される痺れるようなキス。息をつかせてもらえない、熱い愛撫にとろけそうになる。 唾液の淫らな音も演出のようにすら思えた。 ようやく唇を離して貰えたが、今度は繊細で大きな手で頬を捕らえられる。 「俺とレイチェルが付いているんだから、心配することなんかねえ。おまえは心配性なところがいけねえよ。もっと女王らしくどんと構えていればいいんだ。何か問題があるんなら、俺やレイチェルはこうしたリラックスした時間を持てやしねえだろ? だから心配すんな」 「うん、そうね」 アリオスの言葉を聞くだけで安心する。 アリオスに笑って見せると、不意に膝の上に躯を乗せられた。 「きゃっ!」 「それよりだ、今日はレイチェルとふたりで何ナイショ話をしてたんだよ?」 「そ、それは…」 隠し事の出来ないアンジェリークは、真っ赤になりながら何とか否定している。 「ふたりで何を企んでいるんだよ」 耳たぶを甘く噛みながら、持ち前の美声で囁いてくる恋人に、肌を甘く震わせた。驚いてほしいから、何も言いたくはない。だが体が正直に反応してしまう。 「…ヒミツ…」 「身体は何か言いたくてうずうずしちまってるみてえだぜ?」 「…アリオスのえっち…」 正直過ぎるほど素直に反応する身体を少し恨めしく思いながら、アンジェリークは真っ赤になって俯く。 「俺が敏感になるように教えこんだんだもんな」 意味深な言葉を投げ掛けられて、アンジェリークは益々真っ赤になる。 「まあ、いずれは解るんだろうしな」 「うん」 素直に頷いたアンジェリークを、アリオスは苦笑する。 「返事をしたら秘密の意味がなくなるだろうが」 「あ…」 苦笑するアリオスに、アンジェリークは更に真っ赤になった。 「素直はいいことだぜ? おまえの身体も素直過ぎるぐらい感度がいいしな…」 「あっ!」 ネグリジェの胸元からゆっくりと手が入れられる。その官能な動きに、アンジェリークは甘い吐息を吐き始める。 指先がすっかり尖ったアンジェリークの乳首を挟み込む。 「あっ…!!」 子宮の奥がずんとした甘い疼きに支配されていく。肌はいつもに増して敏感になり、アリオスに触れられたくてうずうずしていた。 「もっと触って欲しいか?」 意地悪にアリオスは囁くと、ネグリジェの裾から手を突っ込んで来た。ふとももを軽く撫でられた後は、ゆっくりと下着の上に伸びてくる。 「あっ、やんっ!」 「随分感じてるみてえだな。感度は最高だな、おまえ…」 「あっ!」 下着の上から敏感な場所を弄られて、アンジェリークは息を詰める。下着が濡れて張り付いているのが解る。襞の形に下着の上から縁取られ、その刺激に涙が滲んだ。 「アリオスっ…!」 触れてもらえないじれったさに、アンジェリークは腰を振って恋人に懇願する。「アリオス…っ!」 「しょうがねえ女王様だな。ほらベッドに行くぜ?」 「アリオス」 アリオスに抱き上げられて、アンジェリークはいやがおうでもときめきを感じずにはいられない。 「お望みのままに女王様」 ベッドに寝かされると、栗色の髪が白いシーツにふわりとひろがった。 「アンジェ」 女王で無いときは名前で呼んでくれるのが嬉しい。 ふたりは幸せな笑みを浮かべ合うと、しっかりと抱きしめあった。 誰も知らない、ふたりだけの甘い時間が今幕を開けた。 いつも私だけがいっぱい愛してもらって、喜ばせてもらっているような気がするの。 アリオスを私もいっぱい喜ばせてあげたいの…。 「アンジェ、ナイティとランジェリーが来たよ!!」 「ホント!!」 レイチェルが可愛いらしいピンクの箱を持ってきてくれ、アンジェリークは飛び上がってしまうぐらいに嬉しかった。 「嬉しい〜!」 「じゃあこれで今夜はアリオスを悩殺ね」 「レ、レイチェルっ!!」 真っ赤になりながらアンジェリークは俯くことしか出来ない。それがレイチェルには可愛くてたまらない。 「アリオスには、少し性欲を抑えてもらわないとダメだけれどね」 「や、やだ…」 余りにもの親友がストレートに言うものだから、アンジェリークは本当に恥ずかしくてしょうがなかった。 「アナタの執務のことも考えて貰ってエッチしてもらいたいくらいよ」 「レイチェル〜」 アリオスの視線が首筋にあるキスマーク移行していく。そこにはアリオスが着けたしっかりとしたキスマークが刻まれていた。 「今夜はこれで恋人を悩殺よ。ほらばれないように支度して!」 「うんっ!」 「ほら、噂をすればなんとやらよ」 アリオスのブーツの足音が部屋に響きわたり、慌てて箱を隠した。 「陛下、決済印を頂きにあがりました」 「あ、はいっ、決済ね」 慌てて書類に目を通して、決済印を押す。 アンジェリークの慌てぶりにアリオスは苦笑した。 「有り難うございます。女王陛下」 いたずらっぽいアリオスのその瞳をアンジェリークはまともに見られない。 まあ、今夜のお楽しみかな。 俺の女王陛下? よ、夜のお楽しみだから…。 アンジェリークははにかみながらも、アリオスがどんな反応をするのか見たくてしょうがなかった。 |
コメント この間のONLYで非常に素敵なスケブを頂きました。 そのスケブを見て、思いついたお話です。 阪神日本シリーズようやく買って嬉しい一日です。 ムーア、吉野、よくがんばりました! |