C'est Toi


 アリオスの艶やかな異色のまなざしが肌に突き刺さって痛い。
 アンジェリークはその痛みに顔をしかめた。

 お願いそんな瞳で見ないで!!!
 目で犯される・・・!

 アンジェリークは、涙が出そうな思いで身体をぎゅっと抱き締め、潤んだ瞳でアリオスを見た。
「私・・・、やっぱり・・・!」
 潤んだ瞳をアリオスに向け、アンジェリークは頬を恥ずかしそうに染める。
 彼はじっと彼女を見つめたまま、動かない。

 やっぱり私なんか、いらないんだ・・・。

 すっと屈んで、アンジェリークは、脱ぎ捨てたローウ゛を拾おうとした。
「待て」
 凛としたアリオスの声が響き渡り、アンジェリークはびくりとする。
「あの・・・、私、やっぱり・・・」
 ためらいと恥じらいが嵐のように訪れ、同時に、自分がどうあがいてもエンペラーに釣り合わないという失望感が、彼女を覆い尽くした。
「アンジェリーク」
 アリオスは立ち上がると、彼女のところまで歩いていく。
「アリオス・・・」
 顔を上げると、アリオスが手を差し延べてくれていた。
「あっ・・・」
「ほら、立て」
 誘われるままアンジェリークは手を取り、立ち上がらせてもらう。
「一次審査は合格だ・・・。二次審査は奥の部屋だ」
 アリオスは耳元で囁くと、ぎゅっと裸のままのアンジェリークを抱きすくめた。
「あっ、合格?」
「ああ。ここからは誰にも邪魔されない、二次審査だ」
 まるでご褒美かのように甘いキスを彼女に与える。
 しっとりと彼女を包み込むかのように唇を吸い、甘い愛撫を繰り返す。
「ああっ!」
 アリオスの巧みなキスに彼女は溺れ、彼に縋りついた。
 唇を離した後も、アンジェリークの息は乱れて、その余韻で頭がくらくらする。
「ここからは誰もこない二人っきりだ」
 アリオスはアンジェリークを軽々と抱き上げると、部屋の隅にあるドアを開ける。
 部屋のドアをアリオスが開けると、アンジェリークは息を飲んだ。
 彼女が夢見ていたと同じ部屋だったから。
 飾り窓には白いカーテンがしてあり、青空が見える。
 ベッドは天蓋付だが、さほど豪華と言うのではなく、程よくロマンティックである。
 ベッドカバーもとてもシンプルな感じだ。
「おまえこういうの好きだろ? 予め用意させた」
 彼女の表情は、嬉しさに輝いたが、すぐに暗くなる。
「あの人のも?」

 原因はそれか・・・。

 アリオスはふっと笑うと、彼女の頬にキスをした。
「いや、おまえのためだけだ」
 その瞬間、アンジェリークの頬はうっすらと紅に染まる。
「ホント?」
「ああ。一次審査は、裸だけで俺を勃たせることが出来るかだった。おまえなら出来ると思ったから準備した」
「あ・・・」
 真っ赤になってアンジェリークは俯いてしまう。
「やりてえと俺が心の底から思える女じゃねえとやる気しないからな」
「私・・・は?」
「決まってるだろ? やりてえよ、おまえと」
 ストレートに言うと、そのままベッドに寝かせ、アリオスは艶やかなまなざしをアンジェリークに向ける。
「二次審査は、俺とのセックスだ」
 艶やかな声で聞かされた瞬間、アンジェリークはびっくりしたように目を丸くし、白い肌を紅潮させる
「あっ、あの・・・」
 戸惑いを隠せない彼女に、アリオスは眉根を寄せた。
「俺のオーディションを受けるということは、セックスしても良いってことだぜ? 入れなくても、胸やあっちは俺が直接触れるんだ。覚悟はいるぜ?」
 アリオスの異色の瞳には野獣のきらめきがあり、アンジェリークはそれに心を揺さぶられる。
「選択権はおまえにある。ここでやるか、それともやるか、どっちかだ」
 あくまで彼は強要ではないという。
 アンジェリークは少し泣きそうな表情をしてから、彼を見た。
「・・・初めてでも、いいですか・・・?」
 上目遣いで彼を見ながら、震えた声で言うアンジェリークに、アリオスは可愛くて堪らないと思う。
 彼は悟った。
 もう止めることは出来やしないと。
「俺は光栄に思うぜ、アンジェ。おまえの初めての男になれるなんてな?
 が、もう一度訊く。
俺とやってもかまわねえか?」
 アリオスはもう一回訊く。
「私がNOと言えば、あなたは他の女の人とするんでしょ?」
「まあな」
「・・・だったら・・・、します・・・」
 最後の声は、消え入るようで、アリオスは可愛さの余り抱き締めた。
「あっ・・・! 合格したら私は?」
「俺専用の女優だ。他のヤローには触らせねえよ」
「うん・・・」
 この一言で決まった。
 アンジェリークは、初めての戸惑いを初々しく見せながら、アリオスに全てを委ねる。
「緊張すんなよ? ここには誰もいねえし、みんな状況を察して、下の事務所に行ってる」
「うん・・・」
 アリオスは、優しいまなざしを向け、アンジェリークに甘く軽いキスをすると、ガウンを脱いだ。
「あっ・・・」
 露わになった彼の精悍な身体は、無駄の場所などなく、その美しさに、彼女は甘い感嘆の声を上げる。
「お楽しみはこれからだ・・・」
 アリオスの逞しい肌が、アンジェリークの滑らかなそれに、今、重なった。

 アリオス…。
 私はあなたが好きだから抱かれるの・・・
 今それがわかったの・・・。
 大好きよアリオス…

「ああっ!」
 アリオスは夢中になって彼女をむさぼり始め、アンジェリークはそれに答えるように甘い声を上げる

 アンジェ・・・。
 おまえははじめて俺を夢中にさせる女だ・・・


コメント

chatで生まれた、
「アリオスAV監督、アンジェ女優」物です。
ははははは。
中々オーディション本編に進みません(笑)
次回から行きますので(笑)
次回はまったりとします(笑)
二次審査って、ただやるのの口実だとか、言わないで下さい(笑)