「ゲーム・・・!」 アンジェリークは驚いたようにアリオスを見つめる。 思いもよらない展開で、本当に驚いていた。 「ゲームでおまえが演じるのはプレイヤーが動かすキャラだ。顔も写ることはねえし、ほとんど肌も写らねえ。おまえのデビューものには、ぴったりだろ?」 「うん・・・」 アリオスはそこまで考えてくれてたんだ・・・。 嬉しい反面、少し複雑な感じがしてしまう。 「色々おまえもコスプレを楽しめるしな」 「エンペラーは?」 「俺もするぜ?」 エンペラーならどんなコスプレだって似合うはずだと、アンジェリークは心密かに思って、嬉しかった。 頬を赤らめながら、上目遣いで見つめてくるアンジェリークが可愛くて、アリオスは更に腰に回した手に力を込める。 会議室に甘い雰囲気が漂い、誰もが微笑まずにはいられなかった。 「そろそろ会議を始めましょうか、エンペラー」 「ああ」 文芸部のセイランが相変わらず冷ややかな雰囲気で話し、アリオスも仕事の際に見せる真摯な表情になる。 「では席に着いてくれ。今回は新しいプロジェクトを行うに当たって、主要メンバーに集まってもらった。もう、内示で判ってくれていると思う」 アリオスは、やはり社長らしく堂々とした口ぶりで話した。 その凛とした姿がアンジェリークにはとても素敵に映る。 「今回は、女性向けの18禁ゲームを発売する! その名も”L'Etoile Du Bonheur”」 アリオスはホワイトボードにタイトルを発表して貼り付ける。 「今まで、男女の性を描いた18禁ゲームは、男性ユーザーをメインに作られ、女性向けは、ケツ入れ専門ホモセクシャルをテーマにしたものばかりだった。そこで、我”新宇宙企画”は、女性に、ロマンティックに、美しく、安心して遊んでもらえるように、女性が主人公の、女性のためだけの、18禁ゲームを作ることにした。それが今回のプロジェクトだ!」 アリオスがホワイトボードを叩いて熱く語ると、誰もが拍手をした。 「第一段は、俺と”エンジェル・コレット”の”ゴールデン・コンビ”のお披露目作品”L'Etoile Du Bonheur”。第二弾は、オスカーとキャンディで”Calm Ta Joise”だ!」 誰もが順当な組み合わせとばかりに、納得の上頷いてくれた。 アンジェリークは、みんなと違う意味で嬉しいことがある。 アリオスがちゃんと女優としての名前を考えてくれていたのが、何よりも嬉しかった。 ”エンジェル・コレット”。 凄く嬉しいわ、アリオス・・・。 「第一弾は、メインシステムとプログラミングに、大手ゲームメーカー”パニックス広場”出身の、ショナ、ルノー、うちの開発部からゼフェル、レイチェル。プロジェクトリーダーはエルンストだ」 それぞれが拍手の中挨拶をする。 アンジェリークは、こんな凄い所に自分がいていいのかと、思わずにはいられない。 「脚本は、俺、セイラン、ルウ゛ァの文芸チームが総力を挙げて行い、総監督は俺だ。衣装担当オリウ゛ィエ、ロケハン監督はウ゛ィクトールだ」 次々に挨拶をしていくスタッフが、とても凄く思え、アンジェリークは妙に緊張していた。 「緊張してる?」 横にいるレイチェルが優しく声をかけてくれるのが、嬉しい。 「うん、ちょっと」 「大丈夫よ。エンペラーがちゃんとフォローしてくれるから」 「うん」 こういったきめ細かい気遣いは、女友達だからこそだ。 「出演者だが、デート部分と18禁部分は、俺と、ここにいる”エンジェル・コレット”が演じる。アンジェ」 名前を呼ばれてアンジェリークは慌てて立ち上がった。 「あ、コレットです! 宜しくお願いします!」 緊張の余りに、かくかくとした挨拶になって、バランスを崩す。 アリオスがすぐに支えてくれて、何とか姿勢が崩れずにすんだ。 「こいつが俺の”パートナー”だからな。宜しく頼む」 堂々と宣言されて、アンジェリークは真っ赤になった。 それはアリオス流の、”俺の女に手を出すな”という威嚇だ。 「これから、以上の布陣で頑張っていくから、そのつもりでいてくれ」 「はい」 会議に出たメンバーは全員がしっかりと頷く。 「アンジェ、一緒に頑張ろうな」 「うん、有り難う」 アリオスが側で支えてくれれば、アンジェリークは頑張れるような気がした。 一端、顔合わせの会議は終了し、各自が持ち場に戻っていく。 「アンジェ、この後会議だから、事務所の俺の部屋で待っててくれ。この後、メシでも食いに行こうぜ?」 「うん! 待ってる!!!」 アリオスはアンジェリークの髪を軽くくしゃりと撫でて、僅かに微笑んでくれた。 アリオスが会議に入るのを見送ってから、アンジェリークはアリオスの部屋に向かう。 他の女優たちは、新宇宙企画でしっかりとした仕事を任されているが、アンジェリークは”エンペラー係”なので、ひとり暇なのだ。 社長室に入ると、オートロックなので鍵が掛かった。 その瞬間自分だけの空間となる。 ソファに座って、参考に置いてあるロマンス小説を読みながら、うだうだとした時間を過ごした。 ゲームか・・・。 どんな感じに仕上がるのかな・・・。 心の中で考えながら、期待と不安でいっぱいになる。 初めてのことだけに、どうなるのか想像だに出来ない。 「ちゃんとアリオスの想像通りに演じられればいいのにな・・・」 アンジェリークは大きな溜め息をひとつ吐く。 読もうとしていたロマンス小説も、ゲームのことが気になりすぎて、うまく集中出来なかった。 アリオスは守ってくれるって言ったもん・・・。 大丈夫よね・・・? どんなゲームになるのか。成功に導くしかないと、アンジェリークは深く思った。 色々考えを巡らせながらも、疲れに負けてアンジェリークは眠りに落ちていく。 アリオスが迎えに来てくれた時には、アンジェリークはすっかり眠りに落ちていた。 「アンジェ、アンジェ」 甘い声で名前を呼ぶと、僅かに瞼が動く。 「アンジェ」 ゆっくりとアンジェリークが目を開くと、アリオスが抱き締めてくれた。離れていたのはほんの僅かなのに、この温もりが恋しくて堪らない。 甘いキスをした後、二人は見つめあう。 「このままやりてえが、レストランの予約時間があるからな」 「そうね」 アンジェリークはくすりと笑うと、アリオスの腕に自分の腕を上手く絡める。 「じゃあ行くか。お姫様」 「はいっ!」 ふたりは幸せそうに食事に向かう。 食事の後は、甘い甘いデザートが待っている-------- |
コメント
chatで生まれた、
「アリオスAV監督、アンジェ女優」物です。
アンジェちゃん初仕事が決まりました。
ゲームで頑張って演じるみたいです(笑)
エンペラーとの熱い夏。
あなたも経験してみませんか?(笑)
新宇宙企画のサイトでは、BBSにカキコするとエンペラーからレスがついてきます(笑)