わなわなと震えながら、アンジェリークは、でもちょっとだけ、という気分で、雑誌を見る。 この”エロラウ゛クィーン”という雑誌は、女性向けの、AV雑誌で、”えっちでしようダイエット!”などの特集も組まれている。 編集スタッフも女性ばかりのようだ。 ファイヤーオスカーの”お穣ちゃんの部屋、”ジーニアスルウ゛ァの”体位の歴史”など、人気俳優が連載を抱えていて、充実している。 どれもアンジェリークには未知の世界で、こんなところで、果たして働けるのかと思う。 だが、女子高生特有の、”好奇心”がない訳ではない。 いつの間にか雑誌を読みふけってしまっている。 「何か、この”エンペラー”さんに逢ったことがあるのよね〜」 ドアが開く音がして、アンジェリークは振り返った。 「アリオスさん」 照れと責めが入った視線を、アンジェリークはアリオスに向ける。 雑誌を読んでいる彼女をみて、彼はバレたことを悟った。 「映画って・・・、アダルトビデオ?」 「ああ」 アリオスはきっぱりと言うと、彼女の前に腰を下ろした。 「うちの作っているAVは、”女性のためのAV”だ。レンタルビデオ店では女性に限りのレンタル、販売もそうだ。一部のものは販売のみのものもある。見てみねえか?」 何となく、好奇心の多い年頃なので、思わずアンジェリークは頷いた。 「サンキュ、じゃあ、俺が撮ったのを見てくれ」 アリオスは、DVDの中にディスクを入れ、アンジェリークは画面を見ることにした。 さりげなく、アリオスはアンジェリークの横に腰掛けた。 そのビデオは”舞踏会の恋”というラウ゛ロマンスだった。 男優も女優もととも品のある顔立ちをしている。とてもじゃないがAVには見えないクオリティの高さである。 「うちはAV界のロマンス小説を目指している。女性に心も体も満足してもらいてえからな」 アリオスの言葉は説得力があり、アンジェリークもそれに頷く。 ストーリーはとてもロマンティックなうえ、俳優がまた美形を使っている。 エンペラーだわ・・・。 素直に素敵だと思っちゃう・・・。 漆黒の艶やかな髪と、黄金と翡翠が対なす瞳。 魅力的な表情と、めくるめく恋の相手に、アンジェリークはうっとりと見惚れてしまう。 「どうだ? 良いロマンスだろ?」 「うん・・・」 夢中になって見入っているアンジェリークに、アリオスは好印象を得た。 いよいよ、例のシーンが始まる。 しかし、そのシーンに入るのも、とても自然で、ロマンティックだ。 アンジェリークは目を凝らして画面に見入る。 想像していたのと違って、とても美しく、甘いものになっている。 アンジェリークは、影像の美しさと、男優の素敵さに、この男性なら抱かれたいとすら思ってしまう。 生々しいシーンにも関わらず、綺麗だと思った。 「あっ!」 流石は、雑誌で”ゴールドフィンガー”と呼ばれている男優なだけある。 女優は高らかな喘ぎ声をあげ、それは演技なのではなく、本気に聞こえる。 全身をくまなく愛し、指と舌のテクニックで感じさせ、何度もイカせた後、ようやく本番。 しかもこれがさらにテクニシャンぶりを発揮している。 何度も突き上げたり、愛撫を繰り返し、女優を翻弄とさせている。 彼女の瞳は快楽に潤み、本当に感じているようだった。 だが、アンジェリークは男優の陰った瞳が気になった。 その演技力で、彼はとても自然な感じのように思える。 だが、心の底で彼がどう思っているのかが、アンジェリークは気になっていた。 フィニィッシュの後、女性の胎内に入ったまま、更に元気になって攻め立てる。 影像を食い入るように見つめていると、身体の奥がほてってくるような気がする。 アンジェリークはこのような甘い疼きを初めて経験した。 ほんのりと頬を赤らめている彼女の肩を、アリオスはさりげなく抱いた。 「どうだ? いい感じだろう?」 「アリオスさん・・・」 「ラストはハッピーエンドだ」 コクリと頷いて、アンジェリークは画面に更に夢中になった。 ラストは、美しくも華麗にハッピーエンドを向かえ、テレビの前で、アンジェリークはうっとりとした溜め息を吐いた。 「脚本は、俺と、後は女性スタッフが担当をしている。今までのAVだったら、やってるだけで、どれも大差はなかったが、これはストーリー重視だ」 「違うのは何となく判るわ・・・」 アンジェリークは、まだうっとりと余韻に浸っており、ぼんやりとアリオスを見つめた。 「あれだったら、AVでも許せるような気がするわ」 少し恥ずかしがってはいるが、アンジェリークが好印象を持っているのは確かだ。 アリオスはしめたと思った。 「家でDVDは見れるか?」 「あ、ゲーム機で見れます」 「だったら、何本か持っていけ」 アリオスは、紙袋に、新宇宙企画ご自慢の数々の名作を詰め込んでやる。 「どれもロマンティックだぜ?」 潤んだ瞳で見つめてくるアンジェリークに、アリオスは紙袋を渡し、彼女の腰を抱いた。 「本当に・・・、してるの?」 「いや、最後の一線は超えてねえな」 さらりとアリオスは何でもないことかのように、さらりといった。 「俺が、生本番を撮っても良いって思うのは、心から好きだって思える相手だけだ」 そう言って、さらに彼女を抱き寄せると、その唇を深く奪った。 「っ・・・!!」 突然のことで、アンジェリークの思考回路がショートしてしまう。 彼の唇はアンジェリークの柔らかなそれを、深く官能的に包み込む。 唇を強引に押し開かれて、今度は、舌が蠢くように入ってくる。 彼の舌は、この上なく優しく動いて、彼女を愛撫した。 アンジェリークは、先ほど見たビデオの女性も、これほど気持ち良かったのかと、ぼんやりと考える。 唇が離れても、唾液で二人は繋がる。 アリオスは口の周りを舐めて綺麗にしてやった。 「エンペラーのキスってこんなの?」 熱に冒されたような声で囁く彼女に、アリオスは喉を鳴らして笑った。 「”エンペラー・レウ゛ィアス”は俺だ」 え〜 嘘!! アンジェリークは、唖然とアリオスを見ていた。 通りでどこかであったことがあると思ってた…。 二人ともかっこいいもの…。 |
コメント
chatで生まれた、
「アリオスAV監督、アンジェ女優」物です。
ははははは。
皆様〜かみそりはやめてください(笑)