「はい、皆さん! 今日からは、わが“スモルニィ学院”の姉妹校“アルカディア学院”の皆さんと、合同学習発表会の準備をします。
今日から一週間、午後の授業は合同になります。みんな仲良くしてください。
ですから、昨日班分けをしたように、学校に残る子と、アルカディア学院でお勉強をする子に分かれます。
休職が終わったら、アルカディアに行く皆さんはスクールバスに乗ってくださいね!」
「は〜い」
クラスの児童たちは、本当に楽しみな顔をしているが、例のごとくレヴィアスは…である。
他の小学校のやつらと勉強を発表して何が楽しい…
発表会にアンジェが来なければ、我はこんなことはやらない・・
母アンジェリークを中心に世界が回っているレヴィアスは、ただ彼女にいい格好をしようというだけでこの場所にいる男である。
誰もが楽しみにしている、”アルカディア学院”との合同発表会。
毎年の恒例行事として位置付けられている重要なものだ。
一週間、一緒のテーマで勉強を取り組んで、市内の大ホールで発表するというおまけもついている。
これには当然親の出席もある。
それだけで、彼は、気合を入れている。
我のカッコいいところを見せれば、アンジェリークも考え直してくれるだろう…。
あんな耄碌(注・アリオスです(笑))なんか捨てて…我と一緒に…(うっとり・・)
レヴィアスの叶えられぬ夢は、果てしなく広がるのであった。
さて、給食も終り、レヴィアスは、子分たちといつものように中庭でたむろをしていた。
彼らもレヴィアスも、学校に残る組だったので、ゆっくりと過ごしている。
「親分! アルカディアのやつらがハバきかせやがったら、しめてやりましょうぜ?」
ゲルハルトの提案に、ウォルターも一生懸命頷いた。
「----ゲルハルト、ウォルター、せっかくの“合同発表会”なんですから、仲良くすることを考えなければ」
子分一冷静なカインは、優しい声でそう言って、他の者たちを諭す。
「そうですね、カイン。ルノーも判りましたか?」
ルノーは保護者役のユージーンに言われて、当然のように笑顔で受け入れた。
それを絵空事のように受け止める、カーフェイやキーファーがじっと様子を傍観している。
「----そう思われますよね、レヴィアス様?」
「あ〜、アンジェリークとやれるって!?」
「レヴィアス様〜」
カインの叫びは空しく響くだけであった。
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「エリスお姉ちゃんと離れ離れになるの…、僕イヤダな…」
「何言ってるの! ほんの少しだけでしょ? ったく、レヴィアスは甘えん坊なんだから」
しっかりと手を繋いで、栗色の髪の女の子と漆黒の髪の男の子が、仲良くアルカディアのバスから降りてくる。
二人は、アルカディア学院でも仲がいいことで知られている、双子の兄弟である。
「お姉ちゃんと一緒が良かった…」
「仕方ないわよ。合同するクラスに“レヴィアス”って子がいるんだから…」
「うん…」
こちらのレヴィアスは、スモルニィのレヴィアスとは違い、少しはにかみ屋である。
異色の瞳にも、どこか優しい光が湛えられている。
これに対して、姉のエリスは、凛としたしっかりとした光が眼差しに宿っていた。
「我慢するのよ? ママにいいところ見せたいもんね! いつもパパが独り占めするから、こういうときは頑張らないとね?」
「うん!」
弟を励まして、その気にさせたエリスは、満足そうに笑う。
二人は、言われた教室まで一緒に歩く。
先ず最初に、レヴィアスの教室がやって来た。
「じゃあね、レヴィアス。しっかりやるのよ?」
「うん」
まるで、年の離れた兄弟のような会話をした後、エリスも教室へと向かう。
「どんなクラスかな♪ それにもう一人のレヴィアス”も気になるしね〜」
「はい!それでは、今から、皆さんと一緒にお勉強をする、アルカディア小学校の皆さんをお迎えしますね! 拍手をしてください」
けっ、ろくなのがいねえゼ?
レヴィアスは椅子にどっかりともたれかかって、横柄な態度を取っている。
が、その他の子供たちはざわざわと気体の声を上げながら、拍手をし始めた。
次々に入ってくる者を、レヴィアスはげんなりと見ていた。
あ〜、アンジェとおやつ食いてえ…
そう考えていたとき、レヴィアスは身体に電流が走る思いがした。
慌てて姿勢を正して、じっとその列に目を凝らす。
ぷちアンジェ!!!!
彼が目を奪われた少女は、母親のアンジェリークを本当に小さくしただけだった。
肩までの栗色の髪。大きな青緑の瞳も…。
総てアンジェリークを生き写しにしている。
あののを今強奪して、やれる年齢になったら我のものにして…。
(ここからの表現は、良い子には不道徳ですので、しばらくおまちください・・・)
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フッ! 我の『光源氏計画』だ〜!!!
とんでもない妄想をレヴィアスがしている間にも、生徒たちの自己紹介が始まっており、栗色の髪の少女の番になった。
「エリスです。よろしくお願いします!」
頭を下げた後、彼女が僅かに笑う。
その笑顔に、レヴィアスはくらくらする。
我ともあろう者が…。
我のアンジェリークよりは落ちるが、あのものも中々いい笑顔をする・…。
「さて、席ですが、アルカディア学院の皆さんは、先ほどお渡ししておいた座席表にしたがって座って下さい」
ロザリアの号令の元、誰もが席に向かい。
エリスもまた座席表を片手に席を探す。
我の隣が開いてるぞ?
エリス!
レヴィアスの念力が通じたのかエリスは真っ直ぐにレヴィアスに席に向かってやってきて、その前でぴたりと止まった。
来るなり、彼女はじっとレヴィアスを見つめる。
何だ!?
「ふ〜ん。結構いい顔ね? 私の隣にはぴったりだわ」
何〜!!!
エリスの意外な言葉に、レヴィアスの『光源氏計画』は、今、風前の灯であった。
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コメント
今回は、SPECIAL EDITIONです。
「WHERE DO WE GO FROM HERE?」のアリオスXアンジェの子供、
エリスとレヴィアスの登場です。
(ついこの間までは赤ちゃんだった言う突っ込みは止めて下さい(笑))
このエリスいい性格しています。
と言うのも、彼女は外見こそ、お母さんのアンジェに似ていますが、
内面は父です。
このレヴィアスとのやり取りをお楽しみに
