COME RAIN COME SHINE

CHAPTER3


 不動産屋巡りを終えて、アンジェリークが帰宅すると、少し不機嫌なレウ゛ィアスの母が待っていた。
「どこに行っていたの!?」
「ごめんなさい・・・」
 いつもとは少し雰囲気の違う彼女に、アンジェリークは戸惑いながらも謝った。

 おばさんがああなるのも、無理ないかな・・・。
 レウ゛ィアスお兄ちゃんが、早く出て行っちゃったから・・・。
 私のせいで・・・。

 うなだれる小さな彼女に、母はハッとする。

 この子には何の落ち度もないに、私ったら・・・。

「アンジェちゃん、着替えていらっしゃい。今日は軽いもので済ませましょう。今日からまた三人だし」
「はい・・・」
 そのまま肩を落としたまま、アンジェリークは自室へと入った。
 レウ゛ィアスの母親の脳裏に主治医エルンストの言葉が蘇る。
『彼女にはストレスは厳禁です。もともと、黙っていて溜め込んでしまうようですから、気をつけて下さい』

 あの子が何も言わないから、ついきつく当たってしまった・・・。
 ごめんね、アンジェちゃん・・・。

 アンジェリークは、手早く制服から私服に着替えると、ベッドの上に横たわった。

 やっぱり、ここから出て行かなくっちゃ。
 私がいたら、きっとレウ゛ィアスお兄ちゃん帰ってこれないもん・・・。
 レヴィアスお兄ちゃん・・・・。
 レヴィアスお兄ちゃんのことを考えるだけで、こんなに切ないなんて・・。

 アンジェリークは涙を浮かべながら、自分の心をそっと抱きしめた。

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「レイチェル、何か、私でもできるようなアルバイトの口知ってる?」
 昼食中、突然、切羽詰ったようにアンジェリークに言われて、レイチェルは眉根を寄せた。
「アンジェ! ダメだよ! アナタ、自分の身体がどういう状態か判っているでしょ!?」
 レイチェルは、心配そうに眉を顰めている。
「どうしてそんなことを」
「うん・・・。ひとりで暮らしてみようと思って・・・。これ以上、迷惑を掛けることは出来ないから・・・」
 心配掛けないようにと、アンジェリークは笑ってみせる。
「そんなことしたら、皆さん寂しがるわよ!」
「私がいるから、レウ゛ィアスお兄ちゃん、家出ちゃったし」
 明るく言うが、アンジェリークの苦しさを、レイチェルは痛いほど感じた。
 それがレイチェルを切なくさせる。

 バカ・・・、アンジェ・・・・。
 いつも他人のことしか考えないんだから・・・

 レイチェルは覚悟を決める。
「いいわ! アンジェ、ワタシで出来ることだったら、何だって言ってね?
だから、あまり無理しちゃだめだよ」
 アンジェリークが余りにも健気で、レイチェルはその気持ちを受け入れてあげたいと思う。そうすることで、アンジェリークの役に立ちたいと心から思った。
「有り難う。色々迷惑掛けてごめんね」
「何言ってんの! 私たちは友達でしょ」
「うん・・・」
 二人は泣き笑いの表情を浮かべて、見つめ合い、抱き合った。

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 その頃、レウ゛ィアスは、院長室に私用で呼ばれていた。
「アルウ゛ィース君、一度、この女性と逢ってみる気はないかね」
 ”来たか”とレウ゛ィアスは思った。写真を差し出され、彼は無表情に見つめる。
「アルカディア病院の院長の娘さんでね、ご本人も薬剤師の免許を持っておられる」
 写真に写っている女性は、特に魅力的とは感じない。
 だがきっと、普通に見ればこの女性も美しいのであろう・・・。
「どうした・・・? 他に決まっているものがいるならば、無理強いはせぬぞ」
 その言葉に、レヴィアスは、一瞬、あの儚い笑顔の少女を思い浮かべる。
 かつての恋人の妹で、今、自分の実家で暮らす、あの栗色の髪の少女を----

 何を考えている・・・!
 俺は!!

 彼は狂いげに一瞬唇を噛み締める。
 そして、言葉をつむぎ始めた。
 心とは裏腹の言葉を----
「是非、 お会いしたいです・・・、院長」
 言葉が発せられた後、レヴィアスはうつろな気持ちになった。

 これでよかったのだ・・・

「そうか! 先方もそなただったらきっと喜ぶだろう! 早速コンタクトを取って、逢う日程を調整しよう!!」
 嬉しそうに微笑む院長の顔が、レヴィアスにはうつろに映る。
 そして、さらに、あの少女の面影が強くなる。

 俺の・・・・。
 俺の本当に心は・・・。

 レヴィアスは自分の心にそむいたことを舌と、どこかで認め始めていた----



 良かった・・・。
 今日、いいアパート見つかって・・・。
 レイチェルのご両親が保証人は買って出てくれたし・・・・。

 放課後、不動産屋めぐりをしたアンジェリークは、無事に条件の良い物件にめぐり合うことが出来た。
 レイチェルも協力してくれ、二人とも気に入った物件だった。
 保証人については、レイチェルの両親がなってくれることになり、明日仮契約をすることにしている。

 これで・・・。
 レヴィアスお兄ちゃんは帰ってきてくれるはずだから・・・・

「一応、このことは、エルンストに言ったほうが良いよ? アナタの主治医だし・・・」
「・・・うん・・・・」
「私もついていってあげるからさ!」
 やはり、主治医の恋人を友達に持つのはいいことだと、アンジェリークは今更ながらに思った。
 レイチェルに付き添われて、アンジェリークはエルンストの診察を受けに行く。
 30分ほど待って、アンジェリークの番になり、彼女はレイチェルとともに、診察室へと向った。
「どうしましたか、お二人で・・・」
「あの・・・、先生、私・・・、一人暮らしを始めることになったんですが・・・、どういったことに注意したら良いでしょう・・・」
 アンジェリークの思いがけない言葉に、エルンストは絶句する。
「本当ですか、アンジェリーク!?」
 彼は眉根を寄せ、恋人のレイチェルを見つめた。
「ホントだよ。ね、エルンスト、アンジェが一人暮らしでどういったことを気をつけたらいいか、アドバイスしてあげて・・・」
「確かに、今と同じように気をつけていただければ良いのですが・・・、少し診察をしましょう・・・」
 アンジェリークが、なぜ一人暮らしをしようとしているか、エルンストには薄々わかっていた。
 だが、あえて訊かなかった。


 暫くして、エルンストはふうっとため息を吐いた。
「アンジェリーク、あなた・・・、ストレスを溜めましたか!?」
「え!?」
 真のついた答えに、アンジェリークは気まずそうに俯く。
「----正直言って・・・・、
あなたの今の身体の状態では・・・・、ひとり暮らしは危険です・・・・」

 やっぱり・・・・。
 だけど・・・。
 止めるわけには行かないから・・・・

 アンジェリークは決意を秘めたように、エルンストを見つめた----

TO BE CONTINUED…


コメント


レヴィXアン愛の劇場です。
クライッす・・・・。
最近レヴィXアンUPが続いてるな〜