BODY AND SOUL

CHAPTER 9


 美しい森の空気は澄みやかに冴え渡り、そこにいる誰をもの心を清らかにしてくれる。
 湖にゆっくりと近付き、彼らは吸い寄せられるような気分になった。
「おまえがいるかもしれねえんだよな?」
「うん」
 誰もの顔も緊張感に漲り、歩みをすすめていた。
 アンジェリークは、アリオスの腕のなかにぴったりと寄り添いながら、まだ見ぬ自分の身体に、緊張感を抱えていた。
 不安はどうしようもなくある。
 自分の身体がすでに朽ちていたらどうしようか。
 そんな思いすらよぎる。
 そんな不安を払拭してくれるのは、やはり、アリオスだった。
 彼は、彼女の魂を包み込むかのように、優しく側にいてくれる。
 温かな彼の心に触れるだけで、アンジェリークは癒されるような気がした。
 神秘的な光が帯び始め、誰もが落ち着かなく、きょろきょろとし始める。
「これは超自然現象でしょうか!?」
 エルンストは自然科学に造詣が深いこともあり、フレームを指で押さえながら、きょろきょろしている。
「新種のレーザーかよ!?」
 ゼフェルも、機械フェチらしいひとことを言う。
「素晴らしく綺麗やな・・・」
 チャーリーのストレートなひとことには、誰もが頷いてみせた。
 それぞれに思いが満ち足りてくる不思議な空間が、そこにはある。
『ようこそ、待っていました・・・』
 優しい温かな声が降りてくる。
「誰だ!?」
 アリオスは緊張感と鋭さの混じった声で、訴えかけた。
『わたしは、天使を護るもの。さあ、わたしの後に着いてきて下さい』
 声が響いたかと思うと、ぼんやりとした光が現れ、照らしている。
 優しい力であることは、誰にも判る。
 だがここまで来て、失敗の轍を踏みたくないのも、また事実で。
「行きましょう!」
 凛とした声で返事をしたのはアンジェリークだった。
 彼女はまっすぐと澄んだ光で、光を見つめている。
「信じられる、温かな光だわ」
 アンジェリークの言葉は確信に満ち溢れていた。
「俺は信じるぜ」
 揺るぎない言葉をくれたのは、やはりアリオスだった。
「有り難う」
 アンジェリークは嬉しかった。
 アリオスが自分を信じてくれることを肌で感じ、心が潤む。
「いつも一緒だからな?」
「うん」
 しばらく、他の仲間は黙っていたが、オスカーが口火を切った。
「愛のチカラを信じるぜ?」
「愛の力か〜! ええこっちゃ!」
 チャーリーは何度も頷き、二人を見る。
「いいね、おもしろそうだし、僕も付き合おう」
 セイランは、おかしそうに口許に笑みを浮かべた。
「光に付いて知りたいことがございますから、着いていきましょう!」
 エルンストも研究者らしく乗り気だ。
「しゃーねーな。行ってやるよ」
 ゼフェルはまんざらでもなかったが、わざと仕方ないかのように言った。
「アンジェ、怯むことはねえぜ。行くぞ?」
「うん!」

 あなたたちの心が、何よりも武器になるわ・・・。

 光は彼らの気持ちを汲んだかのように光ると、ナビゲーションするために動き始めた。
「行きましょう」
「ああ」
 アリオスたちは少しずつ光と共に歩き始める。
 進むにつれ、湖はどんどん近付いてくる。
「ここには純粋な人しか来ることが出来ないわ。あなたがたより前にきたのは、綺麗な心をもった、ブティックのお針子よ」
 アンジェリークとアリオスは思わず顔を見合わせた。

 あの店員だわ・・・!!

 そうなると、彼女の希望はさらにたかまる。
 胸がさらに高まりをおぼえ、自然と歩くのも早くなる。
 十五分ぐらい歩いた後、明かりが湖の上に止まった。
 それを合図に光まで、アリオスたちは走り出す。

 神様、どうか何も危険なことはありませんように・・・!

 アンジェリークの体がちゃんと残っているように・・・! 頼むぜ!
 俺にとっては最高の宝物だ・・・

 アンジェリークもアリオスも最早祈ることしか出来なかった。
 景色が急に広がり、光がより鮮明に見える。
 光は丸だったものが、不思議なことに今や妖精のかたちになり、湖に浮かぶ花畑の上を飛んでいる。
 その幻影的な美しさに、誰もが息を飲む。
 薄暗いのにそこだけが優しく輝き、花々は鮮やかな色を見せている。
「きれいだわ・・・」
「ああ」
 アリオスがアンジェリークを連れて花畑を覗き込む。
『・・・・・!!!!!!」
 彼らは目の前に繰り広げられる光景に、思わず息を呑んだ。
 続く、オスカー、チャーリー、セイラン、ゼフェルも、思わず立ち止まる。

 美しい・・・・

 アリオスは言葉を失う。
 そこには、光のヴェールに包まれた、白いドレスに身を包んだ”アンジェリーク”が無心に目を閉じていた---

コメント

アリXアンのSFです。
お久し振りです(苦笑)
いよいよ佳境に入ってきました。
あと少しです〜!!!