BODY AND SOUL

CHAPTER 8


 一行はしばらく歩いた後、野営を張ることにした。
  いつまでも歩いていても仕方がないと判断したからである。
 やはり、トレジャーハンターが本職である彼らは、こんなことは何でもないようだった。
 簡単にテントを張り、すぐに夕食の準備をする彼らは、手慣れたものである。
「私も手伝えたらいいのに・・・」
 本当に申し訳なさそうにする彼女が、アリオスには好ましい。
「かまわねえよ。身体が見つかったら何だってしてもらうからな?」
 ちらりと意味のこもった視線でアリオスに見られれば、彼女は真っ赤になった。
「なんか、いつもの野営より、なんちゅ〜か”華やか”でええ感じや」
 満足するかのように、チャーリーは楽しそうに言う。
「穏やかな夜だね・・・。気持ちが清々しくなる・・・」
 詞でも奏でるかのように、セイランも上機嫌だ。
 誰もが穏やかになれる夜だった。


 夕食後、アンジェリークとアリオス以外は、自分のテントに引っ込んだので、ふたりは火の周りでゆったりと過ごす。

 サンキュみんな・・・。

「私の身体、本当に見つかるかしら」
「必ずな」
 せっかく近くまで来たと言うのに、森に迷い、アンジェリークは不安に感じていた。
 それを深い愛情で、アリオスは支える。
「見つからないことで不安になるより、見つかった時のことを考えようぜ、アンジェ」
「そうね。希望を持たなくっちゃ!」
 少し気が楽になったのか、アンジェリークは笑う。
「見つかったら・・・、約束して欲しいことがあるんだが・・・」
「なあに?」
 たとえ影像だとは言え、彼女のまっすぐな瞳が、自分に触れ、アリオスはほんの少し戸惑った。
「・・・おまえが欲しい・・・」
 真摯で心からの言葉が彼から語られる。アンジェリークは、嬉しかった。
 身体が見つかれば、アリオスのものになりたいと心の底では思っていたから。
 彼女はほんの少し頬を赤らめると、僅かに頷いた。
「うん・・・、いいわ・・・。私もあなたのものになりたいから・・・」
 出来ることならぎゅっと抱き締めたいと、アリオスは思った。
 彼は思わず影像を抱き締め、フッと微笑む。
「見つかったら一番に抱き締めて、キスしてえよ。おまえに触れて、触れまくる」
「私もあなたに触れまくるわよ」
 ふたりは笑いあって、顔を付き合わせる。
「早く抱き締めて欲しい、あなたに・・・」
 恥ずかしげに言う彼女は、アリオスにとっては普通の17歳だ。
 誰よりも愛しい17歳。
「アンジェ、おまえは、アルカディアじゃ女王様なんだろ?」
「うん・・・」
 現実を突き付けられたようで、やるせない。
「離れたくない・・・」
「俺だって、おまえを離したくねえよ」
 アリオスは、アンジェリークの映像を包みこんでいく。本当に抱きしめているかのように。
「ずっと一緒にいような?」
「うん」
 アンジェリークはアリオスの心に魂を預け、寄り添った。
「守ってやるから、おまえを・・・」
「うん・・・」

 その夜、二人は同じテントで眠った。
 眠るとはいってもアンジェリークは精神体なのでよりそうだけだが、それでも二人には甘い時間となった。

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 翌朝、濃い霧の中、一行は、アンジェリークの身体を求めて旅立った。
 磁石が使えない以上、五里霧中で歩く。
 歩いてしばらく経った時、邪悪な気配を、アリオスは感じた。
「オスカー・・・」
「ああ感じる」
 二人の表情が一気に険しいものになる。
「ゼフェル! 武器の準備はいいか?」
「おう!」
 アリオスの緊迫した声に、ゼフェルは特製ボウガンを構えた。
「エルンストとセイランは、援護を頼むぜ!」
 オスカーは、いつも使うパラライザーではなく、とっておきのガンブレードを抜く。
「アンジェ、俺の後ろにいろ!」
「うん」
 アリオスもやはりガンブレードを抜き、構えた。
 霧が深くなるのと共に、呻く低い声が聞こえる。
 アリオスとオスカーは意識を集中させた。

 アンジェリークに絶対指一本触れさせねえぜ!

 アンジェリークもまた、その気の邪悪さに、心を震わせる。

 神様、どうか私たちをお守り下さい・・・!

 霧が一つの塊になり、今、姿を現す。
 どす黒い塊は、今、二人に牙を向き始めた。
 触覚のようなものが延びてくる。
「させるか!!」
 切り込み隊長はオスカー。
 塊に向かってガンブレードを一気に降り下ろした。
 そこからは炎がスパークし、塊を切り裂く。
 それは確かに真っ二つに切れた。
 だがすぐに再生をし、さらにあたりの霧を取り込んで大きくなる。
「ばけものか・・・」
 ダメージを与えた。
 確かにその感覚は手にあった。
 だが相手は全く堪えていどころか力を増している。
「くそお!!」
 ゼフェルがボウガンを撃ち込むものの、びくともしない。
「エルンスト! 奴の属性は!」
「はい!」
 アリオスの言葉を受けて、エルンストはすぐにデータを解析する。
「水です!」
「だったら弱点は雷だぜ!」
 アリオスは、自分のガンブレードの属性を素早く変え、一気にガンブレードを一気に降り下ろす。
 素早く何度も斬りこみ、アリオスは最後に飛び上がり、頭からの一撃を加えた。
 雷が迸る。
 呻く声が最大級に大きくなる。
 その瞬間。黒い塊は一気に散霧し、瞬く間に天へと立ち上ぼっていった。
 アリオスはほっとしたようにひと息を吐くと、ガンブレードを静かに直した。
 辺りが明るく開けたのが判る。
 薄暗くはあるが、先程に比べて明るい。
「あっ、あれは!!」
 セイランは息を飲み、先を指差す。
 そこには、虹色に美しく輝く湖があり、宝石のような光を湛えていた。

 話にあった湖・・・

 アンジェリークは心が期待と緊張で高まるのを感じる。

 あの先にアンジェが・・・!

 アリオスたちはもう手を延ばすところまで来ていた。

あと、少しだわ・・・。

コメント

アリXアンのSFです。
お久し振りです(苦笑)
いよいよ佳境に入ってきました。
集中的にUPしますので、よろしくお願いします〜