一行はしばらく歩いた後、野営を張ることにした。 いつまでも歩いていても仕方がないと判断したからである。 やはり、トレジャーハンターが本職である彼らは、こんなことは何でもないようだった。 簡単にテントを張り、すぐに夕食の準備をする彼らは、手慣れたものである。 「私も手伝えたらいいのに・・・」 本当に申し訳なさそうにする彼女が、アリオスには好ましい。 「かまわねえよ。身体が見つかったら何だってしてもらうからな?」 ちらりと意味のこもった視線でアリオスに見られれば、彼女は真っ赤になった。 「なんか、いつもの野営より、なんちゅ〜か”華やか”でええ感じや」 満足するかのように、チャーリーは楽しそうに言う。 「穏やかな夜だね・・・。気持ちが清々しくなる・・・」 詞でも奏でるかのように、セイランも上機嫌だ。 誰もが穏やかになれる夜だった。 夕食後、アンジェリークとアリオス以外は、自分のテントに引っ込んだので、ふたりは火の周りでゆったりと過ごす。 サンキュみんな・・・。 「私の身体、本当に見つかるかしら」 「必ずな」 せっかく近くまで来たと言うのに、森に迷い、アンジェリークは不安に感じていた。 それを深い愛情で、アリオスは支える。 「見つからないことで不安になるより、見つかった時のことを考えようぜ、アンジェ」 「そうね。希望を持たなくっちゃ!」 少し気が楽になったのか、アンジェリークは笑う。 「見つかったら・・・、約束して欲しいことがあるんだが・・・」 「なあに?」 たとえ影像だとは言え、彼女のまっすぐな瞳が、自分に触れ、アリオスはほんの少し戸惑った。 「・・・おまえが欲しい・・・」 真摯で心からの言葉が彼から語られる。アンジェリークは、嬉しかった。 身体が見つかれば、アリオスのものになりたいと心の底では思っていたから。 彼女はほんの少し頬を赤らめると、僅かに頷いた。 「うん・・・、いいわ・・・。私もあなたのものになりたいから・・・」 出来ることならぎゅっと抱き締めたいと、アリオスは思った。 彼は思わず影像を抱き締め、フッと微笑む。 「見つかったら一番に抱き締めて、キスしてえよ。おまえに触れて、触れまくる」 「私もあなたに触れまくるわよ」 ふたりは笑いあって、顔を付き合わせる。 「早く抱き締めて欲しい、あなたに・・・」 恥ずかしげに言う彼女は、アリオスにとっては普通の17歳だ。 誰よりも愛しい17歳。 「アンジェ、おまえは、アルカディアじゃ女王様なんだろ?」 「うん・・・」 現実を突き付けられたようで、やるせない。 「離れたくない・・・」 「俺だって、おまえを離したくねえよ」 アリオスは、アンジェリークの映像を包みこんでいく。本当に抱きしめているかのように。 「ずっと一緒にいような?」 「うん」 アンジェリークはアリオスの心に魂を預け、寄り添った。 「守ってやるから、おまえを・・・」 「うん・・・」 その夜、二人は同じテントで眠った。 眠るとはいってもアンジェリークは精神体なのでよりそうだけだが、それでも二人には甘い時間となった。 -------------------------------------- 翌朝、濃い霧の中、一行は、アンジェリークの身体を求めて旅立った。 磁石が使えない以上、五里霧中で歩く。 歩いてしばらく経った時、邪悪な気配を、アリオスは感じた。 「オスカー・・・」 「ああ感じる」 二人の表情が一気に険しいものになる。 「ゼフェル! 武器の準備はいいか?」 「おう!」 アリオスの緊迫した声に、ゼフェルは特製ボウガンを構えた。 「エルンストとセイランは、援護を頼むぜ!」 オスカーは、いつも使うパラライザーではなく、とっておきのガンブレードを抜く。 「アンジェ、俺の後ろにいろ!」 「うん」 アリオスもやはりガンブレードを抜き、構えた。 霧が深くなるのと共に、呻く低い声が聞こえる。 アリオスとオスカーは意識を集中させた。 アンジェリークに絶対指一本触れさせねえぜ! アンジェリークもまた、その気の邪悪さに、心を震わせる。 神様、どうか私たちをお守り下さい・・・! 霧が一つの塊になり、今、姿を現す。 どす黒い塊は、今、二人に牙を向き始めた。 触覚のようなものが延びてくる。 「させるか!!」 切り込み隊長はオスカー。 塊に向かってガンブレードを一気に降り下ろした。 そこからは炎がスパークし、塊を切り裂く。 それは確かに真っ二つに切れた。 だがすぐに再生をし、さらにあたりの霧を取り込んで大きくなる。 「ばけものか・・・」 ダメージを与えた。 確かにその感覚は手にあった。 だが相手は全く堪えていどころか力を増している。 「くそお!!」 ゼフェルがボウガンを撃ち込むものの、びくともしない。 「エルンスト! 奴の属性は!」 「はい!」 アリオスの言葉を受けて、エルンストはすぐにデータを解析する。 「水です!」 「だったら弱点は雷だぜ!」 アリオスは、自分のガンブレードの属性を素早く変え、一気にガンブレードを一気に降り下ろす。 素早く何度も斬りこみ、アリオスは最後に飛び上がり、頭からの一撃を加えた。 雷が迸る。 呻く声が最大級に大きくなる。 その瞬間。黒い塊は一気に散霧し、瞬く間に天へと立ち上ぼっていった。 アリオスはほっとしたようにひと息を吐くと、ガンブレードを静かに直した。 辺りが明るく開けたのが判る。 薄暗くはあるが、先程に比べて明るい。 「あっ、あれは!!」 セイランは息を飲み、先を指差す。 そこには、虹色に美しく輝く湖があり、宝石のような光を湛えていた。 話にあった湖・・・ アンジェリークは心が期待と緊張で高まるのを感じる。 あの先にアンジェが・・・! アリオスたちはもう手を延ばすところまで来ていた。 あと、少しだわ・・・。 |
コメント
アリXアンのSFです。
お久し振りです(苦笑)
いよいよ佳境に入ってきました。
集中的にUPしますので、よろしくお願いします〜
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