映像にあるアンジェリークそのものの姿だった。 いや。 それよりも美しいと、アリオスは思う。 「良かった…。朽ちていなくて」 アンジェリークはほっとしたように呟くと、光の妖精を見上げた。 「有難う、ずっと私の体を見守ってくれていたのね?」 『あなたなら、”ラガ”を滅ぼすことが出来ると思ったからです…。 あなた様なら…』 光る妖精たちはアンジェリークに確信を持った光を投げかけている。 「”ラガ”って、おまえの星を征服しようとしてるやつか!?」 アンジェリークはしっかりと頷き、アリオスに信頼の光を投げかけた。 何よりも、彼が、ちゃんと彼女の星のことを覚えてくれているのが、嬉しい。 光の妖精がゆっくりと、アンジェリークに近づいてくる。 優しい光を帯びて。 その光景を、アリオスたちは固唾を飲んで見守ることしか出来なかった。 妖精とアンジェリークの間には、神々しい光のようなものがあり、誰も近づけやしない。 その間にも、光の妖精は、ゆっくりとアンジェリークに手を差し伸べる。 『さあ天使、あなたは果たす使命の瞬間がやってきました・・・。 戻ってきてください・・・』 「ええ・・・」 アンジェリークは光の妖精の手を、今、しっかりと握りしめた。 その瞬間------ 彼女の映像がぷっつりと消え、清らかな魂が舞い上がるのが判る。 『”ラガ”を倒して・・・。 この世界を救ってください…。 お願い…!!』 妖精たちがアンジェリークの魂を囲み、まるでダンスをするかのように、くるくると踊り、彼女に自分たちの力を託している。 妖精よ・・・ おまえたちは、アンジェリークに全てを託したかったんだな・・・ おれもそれに手を貸すぜ!!! 妖精たちの”想い”を、アリオスはダイレクトに肌で感じ取り、受け止める。 『有難う・・・。 銀の髪の剣士さん…。あなたはずっと天使を守ってくれるようで安心したわ・・・。頼みましたよ』 「ああ。任せとけ」 アリオスが答えてやると、光の妖精たちは安心したかのように頷く。 そして。 その瞬間、妖精たちの光は霧散し、そのまま宝石となってアンジェリークの身体に落ちてゆく。 きらきらと彼女の身体は美しく輝き、頬に赤味が差し始めた。 アリオスたちは、固唾を飲んで、アンジェリークの様子を見守る。 アリオスには判っていた。 妖精たちは、自分たちの命をかけて、アンジェリークの身体を守っていたことを。 そして彼女が目覚めた瞬間に、その糧となるべく、命を彼女に託したのだと。 アンジェ・・・。 おまえはすごく良い妖精に見守られていたんだな・・・ 光が消えるたびに、アンジェリークの顔色が良くなっていく。 頬はばら色になり、小さな唇は可憐な桃色になっている。 「・・・んっ・・・」 僅かに瞼が動き始めた。 「アリオス!!」 オスカーに肩を叩かれて 彼はしっかりと頷くと、アンジェリークの身体にゆっくりと近づいていった。 そこにいる誰もが、二人の温かな愛情を知っている。 だからこそ、二人がしっかりと生身で抱き合う瞬間が見たい。 きっと絵になるね・・。 僕らはみんな残念だと思っているけれど・・・。 セイランは、詩人として、この瞬間を決して見逃してはならないと感じる。 誰もが緊張感に身体をみなぎらせて、じっとその場所を見詰めている。 アリオスは誘われるようにして、アンジェリークの頬に手を伸ばした。 「んっんっ・・・」 アンジェリークの大きな青緑の瞳が、ゆっくりと開かれていく。 その瞳が全て開かれたとき、アリオスは息を呑んだ。 今までは映像だけで彼女を見ていた。 だが。 生身の彼女の大きな瞳は、映像よりもはるかに素晴らしく、またその眼差しが自分を映していることが、とても感謝しきれぬほどの感動がある。 「アンジェ…」 「アリオス・・・」 声もまた、人工的なものと違って、生のものは艶やかに感じ、アリオスは甘い痛みと、欲望が突きあがってくるのを感じてしまう。 「最初に瞳に映したのが、あなたでよかった・・・。やっぱり、あなたはこの目で見たほうがハンサムだわ・・・」 くすりとアンジェリークは笑い、アリオスを潤んだ瞳でじっと見つめてきている。 「抱きしめていいか・」 アリオスは彼女に、優しく、そして艶やかな想いを送り、その柔らかな頬を優しくなでた。 「いいよ・・・」 はにかむしぐさも、やはりこの方がずっと可愛く感じた。 「おまえはすげえ綺麗で、可愛くて、最高の女だ・・・」 「ほめすぎよ?」 「そうか?」 「そうよ」 二人はくすりと笑いあった後、しっかりと互いの身体を抱きあった。 「アリオスってこんなに温かくて、私の胸を焦がしちゃうんだ・・・」 「おまえだってすげえ良い匂いがして、最高だぜ・・・?」 二人は、最も心を震わし、また充足感を与えてくれる、お互いの温もりを感じながら、しっかりと抱き合う。 温もりを互いの腕に刻み付け、もう二度とはなれないかのように、しっかりと、強い抱擁を続ける。 「愛してる・・・」 「私も愛してるわ・・・」 二人の唇が、重なろうとした瞬間。 「ごほんっ!!」 オスカーたちの一斉の咳払いが聞こえて、二人はとりあえずキスはとどまった。 アンジェリークは、アリオスに身体を起こしてもらい、はなのベッドから、オスカーたちが待つ場所へと向かった。 「お帰りアンジェ!」 チャーリーが声をかけると、他のメンバーたちも、歓迎とばかりに「おかえり」と声をかけてくれる。 それがアンジェリークには嬉しい。 旅をしているうちに、彼らは、まるで本当の家族のような感覚になっていた。 「ただいま!! またよろしくね!」 笑顔で彼女は頭を下げると、彼らもまた、嬉しそうに笑ってくれる。 「さてと、ここから早く出ねえとな!」 ゼフェルが声をかけると、彼らも頷く。 だが考えるのは無用だった。 ”外に出たい” そう思った瞬間、彼らは、もう、入り口に来ていた----- 「なんと!」 エルンストは、科学では解明できないと頭をひねりながら、あたりを見ている。 他のものも同様だ。 だが、アリオスとアンジェリークにはわかっていた。 それは、妖精が最後にくれた、素敵な”贈り物”なのだということを------ |
コメント
アリXアンのSFです。
ようやくアンジェリークは身体を手に入れました!
これでアリオスさんも万万歳(笑)
いよいよ次回は本格的にラブシーンです〜
あと少しです〜!!!
![]()