BODY AND SOUL

CHAPTER 10


 映像にあるアンジェリークそのものの姿だった。
 いや。
 それよりも美しいと、アリオスは思う。
「良かった…。朽ちていなくて」
 アンジェリークはほっとしたように呟くと、光の妖精を見上げた。
「有難う、ずっと私の体を見守ってくれていたのね?」
『あなたなら、”ラガ”を滅ぼすことが出来ると思ったからです…。
 あなた様なら…』
 光る妖精たちはアンジェリークに確信を持った光を投げかけている。
「”ラガ”って、おまえの星を征服しようとしてるやつか!?」
 アンジェリークはしっかりと頷き、アリオスに信頼の光を投げかけた。
 何よりも、彼が、ちゃんと彼女の星のことを覚えてくれているのが、嬉しい。
 光の妖精がゆっくりと、アンジェリークに近づいてくる。
 優しい光を帯びて。
 その光景を、アリオスたちは固唾を飲んで見守ることしか出来なかった。
 妖精とアンジェリークの間には、神々しい光のようなものがあり、誰も近づけやしない。
 その間にも、光の妖精は、ゆっくりとアンジェリークに手を差し伸べる。
『さあ天使、あなたは果たす使命の瞬間がやってきました・・・。
 戻ってきてください・・・』
「ええ・・・」
 アンジェリークは光の妖精の手を、今、しっかりと握りしめた。
 その瞬間------
 彼女の映像がぷっつりと消え、清らかな魂が舞い上がるのが判る。
『”ラガ”を倒して・・・。
 この世界を救ってください…。 お願い…!!』
 妖精たちがアンジェリークの魂を囲み、まるでダンスをするかのように、くるくると踊り、彼女に自分たちの力を託している。

 妖精よ・・・
 おまえたちは、アンジェリークに全てを託したかったんだな・・・
 おれもそれに手を貸すぜ!!!

 妖精たちの”想い”を、アリオスはダイレクトに肌で感じ取り、受け止める。
『有難う・・・。
 銀の髪の剣士さん…。あなたはずっと天使を守ってくれるようで安心したわ・・・。頼みましたよ』
「ああ。任せとけ」
 アリオスが答えてやると、光の妖精たちは安心したかのように頷く。
 そして。
 その瞬間、妖精たちの光は霧散し、そのまま宝石となってアンジェリークの身体に落ちてゆく。
 きらきらと彼女の身体は美しく輝き、頬に赤味が差し始めた。
 アリオスたちは、固唾を飲んで、アンジェリークの様子を見守る。
 アリオスには判っていた。
 妖精たちは、自分たちの命をかけて、アンジェリークの身体を守っていたことを。
 そして彼女が目覚めた瞬間に、その糧となるべく、命を彼女に託したのだと。

 アンジェ・・・。
 おまえはすごく良い妖精に見守られていたんだな・・・

 光が消えるたびに、アンジェリークの顔色が良くなっていく。
 頬はばら色になり、小さな唇は可憐な桃色になっている。
「・・・んっ・・・」
 僅かに瞼が動き始めた。
「アリオス!!」
 オスカーに肩を叩かれて 彼はしっかりと頷くと、アンジェリークの身体にゆっくりと近づいていった。
 そこにいる誰もが、二人の温かな愛情を知っている。
 だからこそ、二人がしっかりと生身で抱き合う瞬間が見たい。

 きっと絵になるね・・。
 僕らはみんな残念だと思っているけれど・・・。

 セイランは、詩人として、この瞬間を決して見逃してはならないと感じる。
 誰もが緊張感に身体をみなぎらせて、じっとその場所を見詰めている。
 アリオスは誘われるようにして、アンジェリークの頬に手を伸ばした。
「んっんっ・・・」
 アンジェリークの大きな青緑の瞳が、ゆっくりと開かれていく。
 その瞳が全て開かれたとき、アリオスは息を呑んだ。
 今までは映像だけで彼女を見ていた。
 だが。
 生身の彼女の大きな瞳は、映像よりもはるかに素晴らしく、またその眼差しが自分を映していることが、とても感謝しきれぬほどの感動がある。
「アンジェ…」
「アリオス・・・」
 声もまた、人工的なものと違って、生のものは艶やかに感じ、アリオスは甘い痛みと、欲望が突きあがってくるのを感じてしまう。
「最初に瞳に映したのが、あなたでよかった・・・。やっぱり、あなたはこの目で見たほうがハンサムだわ・・・」
 くすりとアンジェリークは笑い、アリオスを潤んだ瞳でじっと見つめてきている。
「抱きしめていいか・」
 アリオスは彼女に、優しく、そして艶やかな想いを送り、その柔らかな頬を優しくなでた。
「いいよ・・・」
 はにかむしぐさも、やはりこの方がずっと可愛く感じた。
「おまえはすげえ綺麗で、可愛くて、最高の女だ・・・」
「ほめすぎよ?」
「そうか?」
「そうよ」
 二人はくすりと笑いあった後、しっかりと互いの身体を抱きあった。
「アリオスってこんなに温かくて、私の胸を焦がしちゃうんだ・・・」
「おまえだってすげえ良い匂いがして、最高だぜ・・・?」
 二人は、最も心を震わし、また充足感を与えてくれる、お互いの温もりを感じながら、しっかりと抱き合う。
 温もりを互いの腕に刻み付け、もう二度とはなれないかのように、しっかりと、強い抱擁を続ける。
「愛してる・・・」
「私も愛してるわ・・・」
 二人の唇が、重なろうとした瞬間。
「ごほんっ!!」
 オスカーたちの一斉の咳払いが聞こえて、二人はとりあえずキスはとどまった。

 アンジェリークは、アリオスに身体を起こしてもらい、はなのベッドから、オスカーたちが待つ場所へと向かった。
「お帰りアンジェ!」
 チャーリーが声をかけると、他のメンバーたちも、歓迎とばかりに「おかえり」と声をかけてくれる。
 それがアンジェリークには嬉しい。
 旅をしているうちに、彼らは、まるで本当の家族のような感覚になっていた。
「ただいま!! またよろしくね!」
 笑顔で彼女は頭を下げると、彼らもまた、嬉しそうに笑ってくれる。
「さてと、ここから早く出ねえとな!」
 ゼフェルが声をかけると、彼らも頷く。
 だが考えるのは無用だった。
 ”外に出たい”
 そう思った瞬間、彼らは、もう、入り口に来ていた-----
「なんと!」
 エルンストは、科学では解明できないと頭をひねりながら、あたりを見ている。
 他のものも同様だ。
 だが、アリオスとアンジェリークにはわかっていた。
 それは、妖精が最後にくれた、素敵な”贈り物”なのだということを------

コメント

アリXアンのSFです。
ようやくアンジェリークは身体を手に入れました!
これでアリオスさんも万万歳(笑)
いよいよ次回は本格的にラブシーンです〜
あと少しです〜!!!