「なあ、だから俺らは貧窮してんねんや〜」 「何を言ってる!? 宇宙一の海賊チームのくせに! 金はあるはずだ!」 「もう〜、最近は不景気なんやで〜!! 海賊言うても人の子や、調子のええ時と悪い時があるんや〜」 店に入るなり、賑やかにも、店主とやり取りをするチャーリーの声が聞こえてきて、アンジェリークは楽しそうに目を丸くした。 「あれはあれで楽しんでやってるんだ。客寄せにもなるしな?」 本当に楽しそうに微笑む彼女に、しばしアリオスは見惚れる。 人工の表情かもしれない。 だが、魅力的で輝いているように思える。 アンジェの心はこもっているんだから、当然か・・・。 「なあええやん〜! まけて〜や〜! もうかってんねんやろ〜!! 哀れな美青年に、手を差し延べて〜な〜! 俺らお得意様やろ〜」 余りにもしつこく言うものだから、店主もあきれがちになり、大きな溜め息を吐いた。 「判りました。2割引いときます」 チャーリーのしつこさの勝利である。 「ほんなら、あの荷台に荷物乗せてくれへんか? 会計は明朗会計やで」 「はいはい」 交渉がうまくいってほくほく顔のチャーリーと、少し苦笑いの店主の表情の対比がおかしくて、アンジェリークはくすくすと笑った。 その柔らかな笑い声に、チャーリーは振り返る。 「アンジェちゃーん!! と、おまけのアリオスやん」 アンジェリークには笑顔で素敵に答え、アリオスには邪険に言う。 「こんにちは! チャーリーさん」 「よお」 わざと不機嫌そうにするアリオスに、くすくすと笑いながら、アンジェリークは小首を傾けて挨拶をした。 ふたりの温かな雰囲気に、チャーリーは嬉しくなると同時に、少し切なくもなる。 アンジェちゃんが精神体やのうて、実態もあったらよかったのにな・・・。 「これからデートすんの?」 「えっ!?」 真っ赤になった彼女に、チャーリーは何度も嬉しそうに頷いてやる。 「今日は夕方まで時間があるからふたりでゆっくりし。買い出しもこれで終わるしな?」 からかうようにチャーリーに言われて、アリオスは少しだけむすっとする。 「行くぞアンジェ。こんなバカほっといて」 「あ、待って! アリオス!!」 そのままアンジェリークはアリオスの後を追って行き、チャーリーはニヤリと笑って、二人を見送った。 「本当に仲の良さそうなカップルですな。こっちが当てられる感じがしますね」 店主もほのぼのとふたりの様子を見ていた。 「ねえ、いいの?」 気を遣うようなまなざしを浮かべたので、アリオスは答えるように見つめる。 「夕方まで一緒にデートだ」 「うん! だったらどっか楽しいとこ連れていってね」 「ああ」 アリオスはしっかりと答えてやるが、内心は少しやるせなかった。 彼女が実体を伴っているのであれば、手を繋いでやったり、抱き締めてやれるのにと、思う。 ふたりは取りあえず、惑星一の街にきているので、ぶらぶらとウィンドウショッピングを楽しむことにした。 アンジェリークは、久々に楽しくてたまらなく、心が開放感に包まれる。 「アリオス、楽しいわ」 「俺もな」 しばらく歩いていくと、急にアンジェリークが立ち止まり、アリオスもつられて止まった。 「アンジェ?」 「見て、アリオス・・・」 彼女が指差す方向に目を向けると、そこはブティックで、ショーウィンドウには純白のドレスが飾られている。 「綺麗・・・」 うっとりと見惚れる彼女に、アリオスはそれを買ってやりたい衝動に駆られた。 「入るぞ!」 「えっ!?」 アンジェリークは明らかに動揺したように大きな瞳を見開いた。 「だって、私・・・」 そこまで言いかけて、アンジェリークは戸惑いと寂しさを見せる。 「おまえの身体が見つかれば、幾らだってドレスを着れるが、買うチャンスはこれしかないかもしれないぜ」 アリオスの言葉が胸を突く。 心の中が熱くなるのが判る。 アリオスの優しさが降りてきて、アンジェリークを潤ませる。 「アリオス…」 「着たら、俺に見せてくれ? いいな?」 フッと笑う彼を感じて、アンジェリークは何度も頷いた。 映像なのかもしれない。 だが彼女が頷く姿は何よりもリアルだった。 アリオスはアンジェリークを----詳しく言えば"精神体”だが----連れて、ブティックへと入っていった。 「いらっしゃいませ〜」 中に入ると共に鈴のような声が聴こえた。 「すまねえが、ショーウィンドウに飾ってあるドレスを包んでくれ」 「はい…」 と、金髪の店員がアンジェリークに目を止めたとき、彼女はその姿に息を飲む。 「あなたは…!!!」 その驚愕と感動が入り混じった声に、アリオスもアンジェリークも顔を見合わせる。 「"眠れる森の天使”!!」 その言葉にアリオスとアンジェリークはますますわけが判らない。 どういうことだ…? |
コメント
アリXアンのSFです。
お久し振りです(苦笑)
次回からようやく本題に入ります。
トモ様お待たせしまして申し訳ないです!!
また頑張って書いてゆきますね!!
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