BODY AND SOUL

CHAPTER 4


「撃ちなさい。あなたに私は撃てないわ」
 力強い、清らかな波動に、黒い思念を持つ者は怯んだ。
 王者としての、慈愛に満ち、気高き力がそこにある。
 その者はパラライザーを構える手を少し震わせる。

 女王を亡きものにして・・・、英雄に!

 男は何かを振り切るように、頭を振ると、その者は、アンジェリークに向かってトリガーを引こうとした。
「アンジェ!!!」
 そのテノールが辺りを切り裂くように響いた時、アンジェリークも男も、はっと虚を突かれた。

 アリオス・・・! 

 アリオスは、すぐさまアンジェリークの前に廻り、彼女を庇う。

 頼もしい背中。私は実体がないのにちゃんと庇ってくれる・・・。
 それだけで涙が出るほど嬉しくなってしまう・・・。

「くそ!」
 その者は、今度はアリオスに向かって銃口を向けた。
「邪魔をするな!」
「俺に銃口を向けるのは、10000年は早いぜ」
 流れるような作業で、アリオスすぐさまレーザー銃を抜くと、その者の銃を飛ばした。
 その速さと言えば、考える暇すらない、まさに”瞬間”だった。
「うわあああああ!」
 その者は、あまりにもの衝撃波に、身体を飛ばしてしまう。
 アリオスはアンジェリークを安心させるかのように微笑みかけると、その者のもとに、ゆっくりと近づいた。
 アリオスの技量にすっかりうろたえ、その場を動くことの出来ないその者は、ここを動くことが出来ない。
「うせろ・・・」
 低く、感情などが一切入っていない冷たい声を、アリオスは浴びせる。
「う、わああああああ!」
 その者は腰を抜かしたのか、そのまま這うようにして、出ていった。

 アンジェリークがいなかったら、殺っていたところだ。くそ・・・。

 アリオスは振り返ると、鋭いまなざしのまま、アンジェリークを見た。 
 そのまなざしが、アンジェリークを不安にさせる。
「ごめんなさい・・・」
 しょんぼりと肩を落とす彼女は、やはり彼に迷惑をかけたと痛切に感じ、謝る。
「おい、なんでおまえが謝るんだよ!? おまえは悪くねえよ」
 華奢な肩を抱こうと手を延ばせば、彼の腕が彼女をすり抜けた。
「あ・・・」
 アンジェリークが”精神体”だと、今更ながらにアリオスは感じ、彼は唇を噛んだ。
 触れたくても触れられない。
 抱き締めたくても抱き締められない。
 アリオスは切なくなる。
「すまねえ・・・」
「平気・・・」
 大きな瞳に涙をいっぱいに溜めている様子は、とても"立体映像"だとは思えない、リアルスティックなものだ。
 それ故にアリオスはさらに苦しくなる。

 抱きしめてやりてえ・・・!!!
 その細い身体を・・・・。

 アリオスは、ぎゅっと拳を握り締めると、異色の眼差しに深くいる駆使身のある光をアンジェリークに投げかけた。
「なあ、アンジェ・・・・」
 アンジェリークはじっと彼を見つめた。
 心の目で。
「おまえを抱きしめて構わねえか・・・?」
 低く艶やかな声。
 アンジェリークはその心をしっかりと受け止めて、潤んだ映像で彼を捉えた。
「無理よ・・・・」
「イヤか?」
 その言葉に、彼女は首を振る仕草の映像を彼に見せつける。
「イヤじゃないわ!
 ・・・・抱きしめて欲しい・・・。
 ・・・だけど・・・無理よ・・・・」
 心が、嬉しさで悲鳴をあげているのが、アンジェリークには判る。
 抱きしめられたいのに、抱きしめてもらえない。
 そんな苦しさが彼女を襲った。
「無理じゃねえよ・・・」
 アリオスはそう言うと、彼女にゆっくりと近づいてゆく。
「アリオス・・・」
 彼はフッと笑うと、彼女の映像ごと、それを包み込むように腕を回した。
「バカ・・・。抱きしめるのはおまえの身体じゃねえ・・・。心だ・・・。判ったか?」
「・・・うん・・・・」
 彼女は嬉しくてたまらなくて、彼の心を精一杯受け入れる。
 心が輝いてくる・・・。
 温かくなって、満たされて・・・・。
 もう何もいらなくさえ思ってしまう・・・。
 二人の心が大きく溶け合う。
「一人にしてすまなかった・・・。これからは、何かあったら、ちゃんと連れて行くから・・・」
「うん・・・」
 二人は心で互いを理解しあった瞬間であった。
「行くぜ? 皆のところへ」
「うん!!」
 アリオスは、アンジェリークの映像から腕を離すと、彼女の手を差し出し、導く。
 その優しさが嬉しくて、アンジェリークは初めて心から笑うことが出来た。
 
 二人は、一緒に、マーケットへと向う。
 仲間と一緒になるために----

 いつか・・・。
 私の身体が見つかったら、そのときは、抱きしめてね・・・・。
 アリオス・・・・

  

コメント

アリXアンのSFです。
今回は少し恋愛要素
チャーリーの値切りシーン次回にもちこし〜。
く〜、書きたかったのに〜。
この二人が余りにらぶらぶするので出来なかった(笑)