「撃ちなさい。あなたに私は撃てないわ」 力強い、清らかな波動に、黒い思念を持つ者は怯んだ。 王者としての、慈愛に満ち、気高き力がそこにある。 その者はパラライザーを構える手を少し震わせる。 女王を亡きものにして・・・、英雄に! 男は何かを振り切るように、頭を振ると、その者は、アンジェリークに向かってトリガーを引こうとした。 「アンジェ!!!」 そのテノールが辺りを切り裂くように響いた時、アンジェリークも男も、はっと虚を突かれた。 アリオス・・・! アリオスは、すぐさまアンジェリークの前に廻り、彼女を庇う。 頼もしい背中。私は実体がないのにちゃんと庇ってくれる・・・。 それだけで涙が出るほど嬉しくなってしまう・・・。 「くそ!」 その者は、今度はアリオスに向かって銃口を向けた。 「邪魔をするな!」 「俺に銃口を向けるのは、10000年は早いぜ」 流れるような作業で、アリオスすぐさまレーザー銃を抜くと、その者の銃を飛ばした。 その速さと言えば、考える暇すらない、まさに”瞬間”だった。 「うわあああああ!」 その者は、あまりにもの衝撃波に、身体を飛ばしてしまう。 アリオスはアンジェリークを安心させるかのように微笑みかけると、その者のもとに、ゆっくりと近づいた。 アリオスの技量にすっかりうろたえ、その場を動くことの出来ないその者は、ここを動くことが出来ない。 「うせろ・・・」 低く、感情などが一切入っていない冷たい声を、アリオスは浴びせる。 「う、わああああああ!」 その者は腰を抜かしたのか、そのまま這うようにして、出ていった。 アンジェリークがいなかったら、殺っていたところだ。くそ・・・。 アリオスは振り返ると、鋭いまなざしのまま、アンジェリークを見た。 そのまなざしが、アンジェリークを不安にさせる。 「ごめんなさい・・・」 しょんぼりと肩を落とす彼女は、やはり彼に迷惑をかけたと痛切に感じ、謝る。 「おい、なんでおまえが謝るんだよ!? おまえは悪くねえよ」 華奢な肩を抱こうと手を延ばせば、彼の腕が彼女をすり抜けた。 「あ・・・」 アンジェリークが”精神体”だと、今更ながらにアリオスは感じ、彼は唇を噛んだ。 触れたくても触れられない。 抱き締めたくても抱き締められない。 アリオスは切なくなる。 「すまねえ・・・」 「平気・・・」 大きな瞳に涙をいっぱいに溜めている様子は、とても"立体映像"だとは思えない、リアルスティックなものだ。 それ故にアリオスはさらに苦しくなる。 抱きしめてやりてえ・・・!!! その細い身体を・・・・。 アリオスは、ぎゅっと拳を握り締めると、異色の眼差しに深くいる駆使身のある光をアンジェリークに投げかけた。 「なあ、アンジェ・・・・」 アンジェリークはじっと彼を見つめた。 心の目で。 「おまえを抱きしめて構わねえか・・・?」 低く艶やかな声。 アンジェリークはその心をしっかりと受け止めて、潤んだ映像で彼を捉えた。 「無理よ・・・・」 「イヤか?」 その言葉に、彼女は首を振る仕草の映像を彼に見せつける。 「イヤじゃないわ! ・・・・抱きしめて欲しい・・・。 ・・・だけど・・・無理よ・・・・」 心が、嬉しさで悲鳴をあげているのが、アンジェリークには判る。 抱きしめられたいのに、抱きしめてもらえない。 そんな苦しさが彼女を襲った。 「無理じゃねえよ・・・」 アリオスはそう言うと、彼女にゆっくりと近づいてゆく。 「アリオス・・・」 彼はフッと笑うと、彼女の映像ごと、それを包み込むように腕を回した。 「バカ・・・。抱きしめるのはおまえの身体じゃねえ・・・。心だ・・・。判ったか?」 「・・・うん・・・・」 彼女は嬉しくてたまらなくて、彼の心を精一杯受け入れる。 心が輝いてくる・・・。 温かくなって、満たされて・・・・。 もう何もいらなくさえ思ってしまう・・・。 二人の心が大きく溶け合う。 「一人にしてすまなかった・・・。これからは、何かあったら、ちゃんと連れて行くから・・・」 「うん・・・」 二人は心で互いを理解しあった瞬間であった。 「行くぜ? 皆のところへ」 「うん!!」 アリオスは、アンジェリークの映像から腕を離すと、彼女の手を差し出し、導く。 その優しさが嬉しくて、アンジェリークは初めて心から笑うことが出来た。 二人は、一緒に、マーケットへと向う。 仲間と一緒になるために---- いつか・・・。 私の身体が見つかったら、そのときは、抱きしめてね・・・・。 アリオス・・・・ |
コメント
アリXアンのSFです。
今回は少し恋愛要素
チャーリーの値切りシーン次回にもちこし〜。
く〜、書きたかったのに〜。
この二人が余りにらぶらぶするので出来なかった(笑)
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