BODY AND SOUL

CHAPTER 3


 やはり、精神体とはいえ、女性の存在があるということはいいことで、旅に張り合いが出てきたような気が、彼らにはしていた。
 アンジェリークは精神体なので、食事を食べたりはしないのだが、食事中に、楽しげに話す姿などは、旅を続ける彼らの心を癒してくれる。
「でも、みなさん、とっても仲がよさそうだけれど・・・」
「そんなわけないやんか〜」
 アンジェリークの素朴な言葉に、チャーリーはぶるぶると首を振り、仲間を指を指しながら、話し始めた。
「アンジェちゃん、よ〜見てみ? 先ずエルンスト。こんな堅物と、俺やオスカー、アリオスの遊び人がやななあ、気合うと思うか〜?」
「合いたくもないですが、私は」
 きっぱりといって、チャーリーをエルンストは睨みつける。
「何で、俺が"遊び人なんだ"!? 
 ったく、そこらじゅうの惑星に"俺のお嬢ちゃん”がいるやつといっしょにしないでくれ」
 不機嫌そうにするのはアリオスも同様で、彼は魅力的な金と翡翠の瞳を曇らせた。
「ケッ、何言いやがる! オスカーと二人して、女のとこに言ってて遅刻したくせに!」
 的確なゼフェルの突っ込みに、アリオスは返す言葉がなくて。
「あ〜、ホンマや! 俺とゼフェルがこいつらの分まで準備したんやで〜」
 チャーリーはアンジェリークに同情を求めるように見る。
 そうすると、彼女はくすりと苦笑いする。
 その表情一つを取ってみても、彼女が"精神体"だけで、実体の伴わない映像だとはとてもでないが思えない。
「何を、ガキにそんなことは言われたくない。この間の惑星で、お前がエアバイクブーブー鳴らして迷惑をかけた時も、謝りに言ったのは、俺とアリオスだ」
 やはりオスカーも負けずに応戦してきた。
「ったく、君たちといたら退屈しないよ・・・・」
 セイランがフッと笑って、挑戦的に仲間を見る。
「だいたいあなたはどうして"輪"を乱すのですか!」
 再びエルンストに戻り、このバトルは堂堂巡りなのだった。
 アンジェリークは、そんな彼らのやり取りがとても楽しくて、大好きであった。
 一番心が休まる時間・・・。
 今、ここにいる彼女はあくまで"精神体”なので、精神が休まる時間こそが、最も重要なのだ。

 この人たちにたどり着いてよかった・・・。
 頭脳明晰でデータを綿密に分背j記してくれるエルンストさん・・・。
 その確かな剣や銃の腕で頼もしいオスカーさん・・・。
 エンジニアで、若くても頼りになるゼフェルさん。
 お金の計算はお手の物のチャーリーさん。買物上手みたい・・・。
 その感性で物事を的確に判断しているセイランさん・・・。
 そして・・・。
 私の精神体が夢に飛び、ずっと長い間から知り合い立ったような、最高の腕と頭脳を持つ"トレジャーハンター”アリオス。
 私が無意識に追ってしまう男性・・・。
 ずっと・・・。
 こうしていれればいいのに・・・・

 決して受け入れられぬ願いだとは判ってはいても、アンジェリークにはそう願わずに入られなくて。
「ほら、アンジェちゃん判ったやろ? 俺らの仲の悪さ! ホンマさっぱりわややわ」
 チャーリーの言葉に、誰もが瞳に笑みを湛えている。

 ずっと、こうしていられれば・・・

                   -----------------------------------------------

 宇宙船は静かに宇宙ステーションに着陸した。
 その惑星は、豊富な武器やトレジャーハンティングには必要な道具を格安で、しかもいいものを買うことができる惑星だった。
 だが、この星は、そのような安くいいものを置いているせいか、訪問者がたたないため、今はライセンスを持った商人のいる宇宙船のみに、着陸、及び商品の購入件を与えているのだ。
 アリオスたちの船にはチャーリーがいるから、可能なのである。
「こういうときにはお前は役に立つな♪」
「そればっかりやないで〜オスカー」
 がやがやと楽しそうに彼らは宇宙船から出て行く。
 だが例外はいる。
 アンジェリークである。
 彼女は、その存在の特殊性と、なにも買物が必要でないということも手伝って、宇宙船に留守番ということになった。
 これには彼女は少しご不満なようで、少し寂しそうな表情をしている。
「さあ! 俺の番やで! いっぱいいっぱい値切ってやるで〜!!!!」
「頼むよ? 僕は絵の具でも買おうかな・・・」
「俺は部品関係!」
 誰もが楽しそうなのだが、アリオスだけはアンジェリークの寂しさが気になって、浮かれてはいなかった。
「アンジェ・・・。すまねえな? また一緒に行こうな?」
「・・・うん・・・。仕方ないわ・・・。いつか連れて行ってね?」
 強請るように上目使いで見つめる彼女が可愛くて、アリオスの唇にも深い笑みが零れる。

 まるでそこにいるみたいなのにな・・・

「アリオス〜、行くで!!!」
 入り口から、すっかり張り切ったチャーリーの声が聞こえて、アリオスははっとする。
「今すぐ行く!
 そう返事をしてから彼女に向き直る。
「今度連れて行ってやるからな・・・?」
「うん・・・」
 無意識に、アリオスは、アンジェリークのほおに手を触れようとした。
 だが、彼女は彼の指先から零れ落ちてしまう。
「あ・・・」
 彼は少し気まずそうに手を引っ込めると、すまなそうに彼女を見る。
「すまねえ・・・」
「気にしないで?」
 明るく微笑む彼女が救いで、彼はほっとした。
「花でも買ってきてやるよ? だったら見れるだろ?」
「うん・・・有難う・・・」
 いつもは、彼女をそんなに構わない彼ではあるが、本当は優しいのだと感じて、アンジェリークの胸の奥はさらに熱くなってゆく。
「いってらっしゃい、アリオス!!」
「ああ」
 手を振る姿も、やはり、映像とは思えない。
 少し、後ろ髪を惹かれる思いで、アリオスは仲間の後を急いだ。
 宇宙船のハッチが閉じる音がして、アンジェリークは少し切なくなった。

 あ〜あ、早く帰ってきて欲しいな〜

 少し寂しくて、アンジェリークは宇宙船を歩き回った。

 ・・・・・・・・・・!!!!

 不意に彼女は誰かの気配を感じて、はっとする。
 振り返ると、そこには、どす黒い思念を持つ、男が立っていた。
「探した・・・女王アンジェリーク・・・・」

 アリオス!!! 助けて!!!!

                      ------------------------------------

 アンジェリークの声が聞こえたような気がして、アリオスははっと息を飲んだ。
「どうしたんや? アリオス。
 何や、俺の華麗なる値切りテクニックは息を飲むほどよかったやろ?」

 アンジェ・・・。
 アンジェに何かあったのか!?

「なあ、アリオス! きいとんのかい!!」
 横で突っ込みを入れるチャーリーを無視して、アリオスは神経を集中させる

 アンジェ!!!

「悪い、チャーリー、勝手に買物しといてくれ!」
 そのままアリオスは宇宙船に向って疾走し始める。
「なあ、何があったんや〜、アリオス!!!!」

 無事でいろ、アンジェ!

 アリオスの頭には、最早何も考えられず、ただ、ステーションまでを疾走していた------- 

コメント

アリXアンのSFです。
FALL IN LOVE編(笑)
チャーリーの値切りシーンがいよいよ次回に書けるよ〜