BODY AND SOUL

CHAPTER 13


 ようやく戻ってこれた故郷・・・。
 闘いが始まる・・・!
 頑張らなきゃ!!

 アンジェリークは、ぎゅっと唇を締めて、自らが統治する惑星を眺める。
「着陸許可がおりました!」
 エルンストが緊張感のある声で言うと、どの顔もひき締まる。
「入星検査は、一時間後からです」
「了解!」
 アリオスとオスカーのパイロット組は、それを合図に、宇宙ステーションへと降りていく。
 アルカディアの宇宙ステーションはとても広く、そしてパイロットにとっては、広く、止めやすい機能的な場所だった。
 宇宙船は、指定された場所に、ゆっくりと降り立つ。
 大気圏に突入するときも、さほど衝撃もなく、完璧な着陸と言っても良かった。
 着陸すると、シートベルトは自動的に外され、アリオスはシートにまだ腰掛けるアンジェリークのところに向かった。
「アンジェ、まだ惑星に入るまで時間がある・・・。ちょっと部屋に来てくれ」
「うん・・・」
 アリオスはアンジェリークの手を握り締めると、そのまま部屋に連れていく。
「ほんま、二人は”新婚”を地でいってるわ! 誰も疑えへん!!」
 頷きながらチャーリーは言い、そこにいる誰もが、笑いながら認めた。
「アンジェ入星の時は、俺たちは”夫婦”として入っていくからな?」
「うん」
 はにかみながら頷く彼女がアリオスには初々しい。
「あのな・・・」
 今度は、珍しくも彼が口ごもる番だった。
 アンジェリークは、なぜ彼が口ごもるか判らずに、大きな瞳をきょとんと向ける。
「アリオス?」
「左手出してくれ・・・」
 言われた通りに、無邪気にも手を出した彼女の手をアリオスは取る。
「これは仮のだからな? 全部すんだら、ちゃんと本当のやつをやるからな?」
 アリオスは照れくさそうに指輪をポケットから取り出すと、約束の位置にはめた。
 最初は何が起こったか、判らなかった。
 だが、左手薬指に光る指輪を目の当たりにして、嬉しさが込み上げ、アンジェリークは一筋の涙を流した。
「有り難う・・・。凄く嬉しい!!」
 言葉が見つからないほど嬉しくて、どう表現していいか判らなくて、彼女は涙で表す。
「バカ、後でいっぱい感激させてやるからな」
「うん」
 しっかりとアリオスに抱き締めてもらい、アンジェリークはその胸にしっかりと顔を埋めた。
「全部終わったら幸せになろうな?」
「うん」
 二人は軽くキスをした後、仲間の待つメインルームへと向かう。
「何や、ラブシーンは終わったか?」
 ニヤニヤとオスカーは笑いながら、二人をからかうようなまなざしで見ている。
 他の仲間たちも同様で。
「おまえらの”新婚さん”なら嘘臭くなくていいな。ほら、アンジェリーク、パスポートだ」
 ゼフェルは偽装のパスポートをアンジェリークに渡し、彼女は嬉しそうに受け取る。
 彼女は頬を染めながらカードを見ると、ちゃんと”既婚”と書いてあり、夫の欄には”アリオス”と書いてあった
 そこをアンジェリークは愛しげになぞる。
「俺のにもちゃんと書いてあるぜ?」
 アリオスは、自分のパスポートカードを見せてやった。
 アンジェリークはそれをじっと見つめ、心が潤むのを感じる。
 妻・アンジェリーク-----
 それだけで、彼女は嬉しくて堪らない。
「有り難う。こんなに嬉しいことはないわ」
 アンジェリークは泣き笑いの表情を浮かべていた。
「入星審査が始まりました」
「オッケ」
 全員が荷物をまとめると、素早く宇宙船から出る。
 アリオスは”新婚”ということをいいことに、アンジェリークとしっかりと手を繋ぎ合った。
 宇宙船から出た瞬間、アンジェリークはいつもと違う空気を感じる。
 以前とは違った邪さの漂う雰囲気に、彼女は眉を潜めた。
「どうした?」
「澱んでいるわ、空気が」
「ああ」
 アンジェリークは敏感に空気を感じ、辺りを見回す。
 アリオスもまた厳しい表情であたりの空気を読み取る。

 依然きたときと、空気が異質に感じる・・・。
 正反対の”気”だ。

「早く手を打たなきゃな?」
「うん」
 アンジェリークはしっかりと頷き、その横顔には決意が漲っていた。


 オスカーたちが次々と審査をくぐり抜け、アリオスとアンジェリークが残り、ふたりは審査に挑んだ。
「惑星アルミス出身、アリオス、アンジェリーク夫妻と・・・」
 係官がカードとデータの照会しながら、事務的に審査を行う。
「新婚さんですか? 惑星アルテミスで結婚ですか〜」
「羨ましいだろ?」
 アリオスはアンジェリークの身体をぎゅっと抱き締めて、見せつける。
 それを苦笑いで見つめる係官である。
「はい、結構です。それでは良い旅を」
「有り難う」
 すんなりと通してもらい、二人は内心安堵しながら、審査を潜り抜けた。

 その様子をモニターで見ている男がいた。
 彼は、アンジェリークの顔を見るなり、その表情を変える。

 まさか女王が帰還!
 そんなバカな・・・。
 体と心がばらばらになったはずなのに・・・!
 あの方にお知らせしなければ!

 男は真相を確かめるべく、慌てて窓口に行った。
「あ、課長!」
 突然上司が現れたものだから、窓口の青年は、驚く。
「おい、今の二人だがどうした?」
  鋭いまなざしを向けてくる彼は、背中を見つめながらアリオスたちを 監査している。
「新婚さんですよ。仲が良いようで羨ましい限りです」
 係員が余りにもの幸せそうな表情をするものだから、男は狡猾な瞳でにらみ作る。
 彼は、二人のデータを覗き込み、確信を深める。

 夫婦か・・・
 うそ臭い…。
 あの女は明らかに女王だ・・・

 男は部下をきつい眼差しで見据えると、言い聞かせるように言う。
「あいつらから目を離すな」
「え!?」
 係員は、上司が何を言っているのか、その意味よく判らなくて、不信そうに声をあげる。

 絶対に、俺は阻止をしてみせる・・・。
 この惑星に”女王”なんて必要ない・・・

コメント

アリXアンのSFです。
結構かかってますが、次回からレイチェルを救出に行きます!