ようやく戻ってこれた故郷・・・。 闘いが始まる・・・! 頑張らなきゃ!! アンジェリークは、ぎゅっと唇を締めて、自らが統治する惑星を眺める。 「着陸許可がおりました!」 エルンストが緊張感のある声で言うと、どの顔もひき締まる。 「入星検査は、一時間後からです」 「了解!」 アリオスとオスカーのパイロット組は、それを合図に、宇宙ステーションへと降りていく。 アルカディアの宇宙ステーションはとても広く、そしてパイロットにとっては、広く、止めやすい機能的な場所だった。 宇宙船は、指定された場所に、ゆっくりと降り立つ。 大気圏に突入するときも、さほど衝撃もなく、完璧な着陸と言っても良かった。 着陸すると、シートベルトは自動的に外され、アリオスはシートにまだ腰掛けるアンジェリークのところに向かった。 「アンジェ、まだ惑星に入るまで時間がある・・・。ちょっと部屋に来てくれ」 「うん・・・」 アリオスはアンジェリークの手を握り締めると、そのまま部屋に連れていく。 「ほんま、二人は”新婚”を地でいってるわ! 誰も疑えへん!!」 頷きながらチャーリーは言い、そこにいる誰もが、笑いながら認めた。 「アンジェ入星の時は、俺たちは”夫婦”として入っていくからな?」 「うん」 はにかみながら頷く彼女がアリオスには初々しい。 「あのな・・・」 今度は、珍しくも彼が口ごもる番だった。 アンジェリークは、なぜ彼が口ごもるか判らずに、大きな瞳をきょとんと向ける。 「アリオス?」 「左手出してくれ・・・」 言われた通りに、無邪気にも手を出した彼女の手をアリオスは取る。 「これは仮のだからな? 全部すんだら、ちゃんと本当のやつをやるからな?」 アリオスは照れくさそうに指輪をポケットから取り出すと、約束の位置にはめた。 最初は何が起こったか、判らなかった。 だが、左手薬指に光る指輪を目の当たりにして、嬉しさが込み上げ、アンジェリークは一筋の涙を流した。 「有り難う・・・。凄く嬉しい!!」 言葉が見つからないほど嬉しくて、どう表現していいか判らなくて、彼女は涙で表す。 「バカ、後でいっぱい感激させてやるからな」 「うん」 しっかりとアリオスに抱き締めてもらい、アンジェリークはその胸にしっかりと顔を埋めた。 「全部終わったら幸せになろうな?」 「うん」 二人は軽くキスをした後、仲間の待つメインルームへと向かう。 「何や、ラブシーンは終わったか?」 ニヤニヤとオスカーは笑いながら、二人をからかうようなまなざしで見ている。 他の仲間たちも同様で。 「おまえらの”新婚さん”なら嘘臭くなくていいな。ほら、アンジェリーク、パスポートだ」 ゼフェルは偽装のパスポートをアンジェリークに渡し、彼女は嬉しそうに受け取る。 彼女は頬を染めながらカードを見ると、ちゃんと”既婚”と書いてあり、夫の欄には”アリオス”と書いてあった そこをアンジェリークは愛しげになぞる。 「俺のにもちゃんと書いてあるぜ?」 アリオスは、自分のパスポートカードを見せてやった。 アンジェリークはそれをじっと見つめ、心が潤むのを感じる。 妻・アンジェリーク----- それだけで、彼女は嬉しくて堪らない。 「有り難う。こんなに嬉しいことはないわ」 アンジェリークは泣き笑いの表情を浮かべていた。 「入星審査が始まりました」 「オッケ」 全員が荷物をまとめると、素早く宇宙船から出る。 アリオスは”新婚”ということをいいことに、アンジェリークとしっかりと手を繋ぎ合った。 宇宙船から出た瞬間、アンジェリークはいつもと違う空気を感じる。 以前とは違った邪さの漂う雰囲気に、彼女は眉を潜めた。 「どうした?」 「澱んでいるわ、空気が」 「ああ」 アンジェリークは敏感に空気を感じ、辺りを見回す。 アリオスもまた厳しい表情であたりの空気を読み取る。 依然きたときと、空気が異質に感じる・・・。 正反対の”気”だ。 「早く手を打たなきゃな?」 「うん」 アンジェリークはしっかりと頷き、その横顔には決意が漲っていた。 オスカーたちが次々と審査をくぐり抜け、アリオスとアンジェリークが残り、ふたりは審査に挑んだ。 「惑星アルミス出身、アリオス、アンジェリーク夫妻と・・・」 係官がカードとデータの照会しながら、事務的に審査を行う。 「新婚さんですか? 惑星アルテミスで結婚ですか〜」 「羨ましいだろ?」 アリオスはアンジェリークの身体をぎゅっと抱き締めて、見せつける。 それを苦笑いで見つめる係官である。 「はい、結構です。それでは良い旅を」 「有り難う」 すんなりと通してもらい、二人は内心安堵しながら、審査を潜り抜けた。 その様子をモニターで見ている男がいた。 彼は、アンジェリークの顔を見るなり、その表情を変える。 まさか女王が帰還! そんなバカな・・・。 体と心がばらばらになったはずなのに・・・! あの方にお知らせしなければ! 男は真相を確かめるべく、慌てて窓口に行った。 「あ、課長!」 突然上司が現れたものだから、窓口の青年は、驚く。 「おい、今の二人だがどうした?」 鋭いまなざしを向けてくる彼は、背中を見つめながらアリオスたちを 監査している。 「新婚さんですよ。仲が良いようで羨ましい限りです」 係員が余りにもの幸せそうな表情をするものだから、男は狡猾な瞳でにらみ作る。 彼は、二人のデータを覗き込み、確信を深める。 夫婦か・・・ うそ臭い…。 あの女は明らかに女王だ・・・ 男は部下をきつい眼差しで見据えると、言い聞かせるように言う。 「あいつらから目を離すな」 「え!?」 係員は、上司が何を言っているのか、その意味よく判らなくて、不信そうに声をあげる。 絶対に、俺は阻止をしてみせる・・・。 この惑星に”女王”なんて必要ない・・・ |