Angel Can't Wait


「うん…」
 しばしの眠りから解放され目を開けると、アリオスの顔が見えた。
「アリオスさん…?」
「ったく、風呂の中で居眠りするなんて、どうかしてるぜ?」
 少し怒ったような、だが、どこか楽しんでいるような表情をアリオスはアンジェリークに向けている。
「重かったぜ?」
 ニヤリと憎らしい笑顔を彼が見せた瞬間、アンジェリークは事実に気がつき真っ赤になった。

 私!!
 裸でアリオスさんにここまで運ばれたの〜!!!!

 真っ赤になってアンジェリークは上掛けを被る。
「ア、アリオスさんっ! なしね! 絶対にこのことなし!! だって、ああもう!」
 半ばパニックに陥っているアンジェリークを、アリオスはおかしそうに喉を鳴らして笑っている。
「おまえおもしれえな?」
「だって〜」
 ふと、暗闇の中に自分の身体を見つめる。
 バスタオルを巻かれただけの姿。
 コレを見て、更にアンジェリークは真っ赤になり、暴れる。
「きゃ〜!!! ホント忘れてくださいっ!」
「おい、こらっ! 暴れるな! 余計に見えるぞ!」
 ばたばたと足をさせていたが、アンジェリークはぱたりと止めた。

 そうだった!
 私裸だった〜

「こら、アンジェリーク顔だけでも見せろ?」
「はい…」
 おずおずと、顔だけ出す彼女がこの上なく可愛らしくて、アリオスは目を細める。
 優しいアリオスの眼差しを見つめると、アンジェリークは、胸が甘く苦しくなるのを感じた。
 鼓動が早くなり、彼女は頬を染めてアリオスを見つめてる。
「疲れてるんだろうな…? 仕事と学校の両立は大変だろ?」
「ううん…。大丈夫です…。ホントに…」
「アンジェ…」
 甘い声で自分の名前を呼ばれ、彼の指先が頬を捉える。
 長くて綺麗な指先。

 この指で身体をなぞられたら…、私…

 アンジェリークは、火が出るような厚さと、甘く狂おしい感覚に、身体を僅かに震わせてしまう。
「あ…、アリオスさん」
「どうだ? バイトを辞めて、俺の世話をする仕事ってのは?」
「アリオスさん…」
 優しさと厳しさ、そして愛情の陰のある異色の眼差しで見つめられて、アンジェリークは、桃色の吐息をいくつか吐いた。
 心臓の鼓動が早くなり、何度も呼吸する。
「まあ、ハウスキーパーみたいなもんだが、俺のメシ作ってくれて、部屋を掃除しておいてくれればそれでいい。おまえの面倒を全部見てやる・・・。
 -----いや、面倒をみたい」
 大好きな人の役に立てる。
 その上好条件だ。
「いいんですか?」
「ああ。かまわねえ…」
 アリオスは頬に置いていた指先を話すと、アンジェリークは名残惜しげに甘い声を上げる。
 その瞬間、彼にしっかりと抱きしめられていた。
「おまえに惚れちまったみてえだ…」
 低い声で囁かれて、アンジェリークは、一瞬、何が起こったのか判らずにいた。
「あ…」

 アリオスさんが私を好きってこと・・・?

 瞳を潤ませて、彼女はアリオスの眼差しをじっと見つめる。
「-----返事は今じゃなくてもかまわねえし、俺に遠慮する必要もねえから…」

 心は…、もう決まっているから…

「私も…あなたが大好き…」
 消え入るような小さな声で、アンジェリークは可愛く囁いた。
「サンキュ」
 アリオスは安心したかのように、アンジェリークにしか見せない微笑を彼女に浮かべると、深く唇を重ねる。
「ん…」
 道路の真ん中で突然奪われたキスよりも甘く、深い。
 アンジェリークは、その官能的なキスにすっかり溺れてしまう。
 口腔内を下で巧みに愛撫され、強く唇を吸われて、離された頃には、もう、感覚が麻痺していた。
「あ…」
「おまえの肌は、今までの女の中で一番綺麗だぜ? その身体も…」
 アリオスはアンジェリークをベッドに押し倒し、上から覆い被さる。
「運動…?」
「いや、愛のあるセックスは、”愛し合う”っていうんだ…。
 おまえ相手に”運動”なんかはしねえよ?」
「アリオス…」
 二人はしっかりと抱き合うと、シーツの海に溺れていった------ 

コメント

すみません。
書きたかったんです、こういうネタ・・・。
二人が完全に結ばれるまではあと少しです〜。
頑張ろう☆