CHAPTER6


 二台の車は、間隔を保ちつつ、走行をしている。

 おまえの出方次第だ、アラン・・・。

 鋭い獣の目で、アリオスは前方の車を見つめた。
 素早くアリオスは通信機をスイッチを押す。
 それは、CIAの細かな平気を作っては定評のある、ゼフェル作の通信機で、傍受される心配のない、最新のものであった。
「ルヴァ、取れるか?」
「はい〜」
 のんびりした声が響いて、車内の緊張感を幾分かやわらげてくれる。
「アランの別荘がものけのからかもしれねえから、調べてくれ。恐らく、二人はいないだろう…」
「了解!」
 取りあえずは、気になることを彼は連絡して、このカーチェイスに集中した。
 狭い登りの山道にかかってくる。
 カーブがかなり大きい。

 そろそろだね。

 アランは不敵に笑うと、一気にアクセルを踏み始めた。
 開いて行く車間距離。だが、アリオスは表情ひとつ変えない。

 アリオス!?

 不安げに腕に掴まるアンジェリークに、彼は腕にぽんと触れる。”大丈夫だから”と。
そのしぐさだけで彼女は深い安らぎを得ることができた。
 今度は、アリオスがアクセルを踏み、車間距離を縮めていく。

 ちょっとは挑発にのってやらねえとな?

 この勢いでいけば、後、500メートル走れば、君はあの世行きだよ? ライフルによってタイヤを撃たれて下へと落ちるんだ… 崖の下は樹海。その直前で消えるよ・・・。

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 リモージュとレウ゛ィアスは、海辺の崖の上にある、豪華な別荘に連れてこられていた。
 派手な青年に連れられ、地下の部屋に連れていかれる。
「ごめんね、アランちゃんの趣味でね、地下に閉じ込めとけって。アランちゃんってサドだから〜」
 とても緊迫感のない話し方に、リモージュは少し気を紛らわせた。
「まあ、逃げようなんて考えちゃダメだよ?」
 地下室の中に二人を入れ、ドアを閉める祭に、彼はフッと微笑む。
「希望は捨てちゃダメだよ」
「え!?」
 リモージュが息を飲むのも束の間、彼はウィンクをして、地下室から立ち去る。

 不思議な人・・・。敵なのに、嫌悪感を感じさせないなんて・・・。

 リモージュはレウ゛ィアスを抱きながら、しばし、緊迫感から開放されていた。

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 一台の車が通るのがやっとの狭い道を、二台の車は猛スピードで駆け抜けて行く。

 そろそろだね。ゴールが見えてきた・・・。

「頼んだよ…。もう見えていると思うけど」
「了解」
 アランはヘッドセット型無線機に向って無機質に話すと、ギアチェンジを計った。


「アンジェ、しっかりつかまっておけ!」
「うん!」
 がくん。
 アリオスの言葉とともに車に衝撃が走った。
 車体が大きく揺れる。
 車は難所である、カーブにかかってきていた。
 アリオスはそのまま、ぎりぎりまで車間距離を詰める。

 俺がこの国で育ったことをあいつは知らねえんだな・・・。
 この満ちも、良く走ったことを----

 道が少し広くなってくる。

 視界も広がる…。
 恐らくここで何かがある…。
 今がチャンスだ…

 アリオスはそのままアクセルを踏み、車間距離が縮めた。
 彼は視界を一瞬、がけに向ける。

 やっぱりな…。

 その超人的な感覚と、芽のよさで、アリオスはすぐさまこれから起る事を察した。

 そう来ると思ったぜ…。

「・・・!!!」
 アランは気がつくと、隣にアリオスの車があることに息を飲んだ。
 溝に車輪を落とすことによって、アリオスはスピードを下げずに、そのまま走り続けることが出来た。

 まさか・・・。すべて計算ずくで・・・。

 アランは掌に汗が滲むような気がする。
 不敵な笑みを浮かべると、アリオスはガーランドライフルを足下から取り出す。
 そこからは見事なチームプレイだった。
 アンジェリークが窓を開け、アリオスが空に向けて発砲した。
 たった一度だけの発砲。
 だがその発砲が正確であるか、アランが一番よく判っていた。
 付けていた無線機が、雑音を響かせ、何が起こったかを示している。

 銃の腕は聞いてはいたが・・・!
 アランは呆然として、ハンドルを持つ手が震えるのを感じた。

 昔からこんな道に誘い込まれたら、暗殺者がいることは決まっている。

「またな?」
 アリオスはうっすらと微笑みすら浮かべて、窓を開け、隣のアランに呼び掛ける。
 そのまま、アランの車を抜きさって、どんどん車間距離が開いていった。
 銃を構えるにも、ほんの一瞬のことで出来ない。

 何を・・・!?

 アランはそのままアリオスの車に、峠を越えるまで追いつくことが出来なかった。


 クソ!
 どこに行った! 女王の犬と女王は!

「行ったな」
「うん・・・」
「追いかけるぞ」
 アリオスは、アランの車を狭い獣道でやり過ごした後、再び追跡を始めた。
 ボタンを押し、カーナビを出し、その点滅しているものを追う。
 それは、先ほど窓を開けたときに、アランの車にアリオスが付けた発信機であった。
 通信機がけたたましく鳴る。
「あ〜、アリオス、ルウ゛ァです」
 のんびりとした声に、アリオスは少し苛ついてしまう。
「何だ!?」
「やはり、アランの別荘はものけのからでした〜。移動したんですね〜」
「やはりな。とにかく報告サンキュ」
「あ、はい〜」

 思った通りか・・・。

 アリオスは、アランに見つからないように、追跡を続ける。

神様、どうかレウ゛ィアスとリモージュさんをお守り下さい!

 アンジェリークは強く祈りを捧げていた----
TO BE CONTINUED…

コメント

Lynne Sawamura様の『BAGDAD CAFE』開設記念のお祝いです。
リクエストは、「DESPERADO」の続編で、アリオスが、愛する妻子を護る為、
再び、ヴィクトール、オスカーたちと戦いに挑んでいく…。
ものの、第六回です。

「溝走り」By 藤○豆腐店(笑)
次回からは、まあ、本筋に入っていきます。
にしてもこの出来は…。