
二台の車は、間隔を保ちつつ、走行をしている。 おまえの出方次第だ、アラン・・・。 鋭い獣の目で、アリオスは前方の車を見つめた。 素早くアリオスは通信機をスイッチを押す。 それは、CIAの細かな平気を作っては定評のある、ゼフェル作の通信機で、傍受される心配のない、最新のものであった。 「ルヴァ、取れるか?」 「はい〜」 のんびりした声が響いて、車内の緊張感を幾分かやわらげてくれる。 「アランの別荘がものけのからかもしれねえから、調べてくれ。恐らく、二人はいないだろう…」 「了解!」 取りあえずは、気になることを彼は連絡して、このカーチェイスに集中した。 狭い登りの山道にかかってくる。 カーブがかなり大きい。 そろそろだね。 アランは不敵に笑うと、一気にアクセルを踏み始めた。 開いて行く車間距離。だが、アリオスは表情ひとつ変えない。 アリオス!? 不安げに腕に掴まるアンジェリークに、彼は腕にぽんと触れる。”大丈夫だから”と。 そのしぐさだけで彼女は深い安らぎを得ることができた。 今度は、アリオスがアクセルを踏み、車間距離を縮めていく。 ちょっとは挑発にのってやらねえとな? この勢いでいけば、後、500メートル走れば、君はあの世行きだよ? ライフルによってタイヤを撃たれて下へと落ちるんだ… 崖の下は樹海。その直前で消えるよ・・・。 ----------------------------- リモージュとレウ゛ィアスは、海辺の崖の上にある、豪華な別荘に連れてこられていた。 派手な青年に連れられ、地下の部屋に連れていかれる。 「ごめんね、アランちゃんの趣味でね、地下に閉じ込めとけって。アランちゃんってサドだから〜」 とても緊迫感のない話し方に、リモージュは少し気を紛らわせた。 「まあ、逃げようなんて考えちゃダメだよ?」 地下室の中に二人を入れ、ドアを閉める祭に、彼はフッと微笑む。 「希望は捨てちゃダメだよ」 「え!?」 リモージュが息を飲むのも束の間、彼はウィンクをして、地下室から立ち去る。 不思議な人・・・。敵なのに、嫌悪感を感じさせないなんて・・・。 リモージュはレウ゛ィアスを抱きながら、しばし、緊迫感から開放されていた。 ----------------------------- 一台の車が通るのがやっとの狭い道を、二台の車は猛スピードで駆け抜けて行く。 そろそろだね。ゴールが見えてきた・・・。 「頼んだよ…。もう見えていると思うけど」 「了解」 アランはヘッドセット型無線機に向って無機質に話すと、ギアチェンジを計った。 「アンジェ、しっかりつかまっておけ!」 「うん!」 がくん。 アリオスの言葉とともに車に衝撃が走った。 車体が大きく揺れる。 車は難所である、カーブにかかってきていた。 アリオスはそのまま、ぎりぎりまで車間距離を詰める。 俺がこの国で育ったことをあいつは知らねえんだな・・・。 この満ちも、良く走ったことを---- 道が少し広くなってくる。 視界も広がる…。 恐らくここで何かがある…。 今がチャンスだ… アリオスはそのままアクセルを踏み、車間距離が縮めた。 彼は視界を一瞬、がけに向ける。 やっぱりな…。 その超人的な感覚と、芽のよさで、アリオスはすぐさまこれから起る事を察した。 そう来ると思ったぜ…。 「・・・!!!」 アランは気がつくと、隣にアリオスの車があることに息を飲んだ。 溝に車輪を落とすことによって、アリオスはスピードを下げずに、そのまま走り続けることが出来た。 まさか・・・。すべて計算ずくで・・・。 アランは掌に汗が滲むような気がする。 不敵な笑みを浮かべると、アリオスはガーランドライフルを足下から取り出す。 そこからは見事なチームプレイだった。 アンジェリークが窓を開け、アリオスが空に向けて発砲した。 たった一度だけの発砲。 だがその発砲が正確であるか、アランが一番よく判っていた。 付けていた無線機が、雑音を響かせ、何が起こったかを示している。 銃の腕は聞いてはいたが・・・! アランは呆然として、ハンドルを持つ手が震えるのを感じた。 昔からこんな道に誘い込まれたら、暗殺者がいることは決まっている。 「またな?」 アリオスはうっすらと微笑みすら浮かべて、窓を開け、隣のアランに呼び掛ける。 そのまま、アランの車を抜きさって、どんどん車間距離が開いていった。 銃を構えるにも、ほんの一瞬のことで出来ない。 何を・・・!? アランはそのままアリオスの車に、峠を越えるまで追いつくことが出来なかった。 クソ! どこに行った! 女王の犬と女王は! 「行ったな」 「うん・・・」 「追いかけるぞ」 アリオスは、アランの車を狭い獣道でやり過ごした後、再び追跡を始めた。 ボタンを押し、カーナビを出し、その点滅しているものを追う。 それは、先ほど窓を開けたときに、アランの車にアリオスが付けた発信機であった。 通信機がけたたましく鳴る。 「あ〜、アリオス、ルウ゛ァです」 のんびりとした声に、アリオスは少し苛ついてしまう。 「何だ!?」 「やはり、アランの別荘はものけのからでした〜。移動したんですね〜」 「やはりな。とにかく報告サンキュ」 「あ、はい〜」 思った通りか・・・。 アリオスは、アランに見つからないように、追跡を続ける。 神様、どうかレウ゛ィアスとリモージュさんをお守り下さい! アンジェリークは強く祈りを捧げていた---- |
コメント
Lynne Sawamura様の『BAGDAD CAFE』開設記念のお祝いです。
リクエストは、「DESPERADO」の続編で、アリオスが、愛する妻子を護る為、
再び、ヴィクトール、オスカーたちと戦いに挑んでいく…。
ものの、第六回です。
「溝走り」By 藤○豆腐店(笑)
次回からは、まあ、本筋に入っていきます。
にしてもこの出来は…。
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