オイルフィルターケース

 フルフロー2Uにはこの極初期のオイルフィルターケースが付くのがオリジナルです。パーツリストを参照するとフルフロー用のオイルフィルターケースは全年式を通じて3種類存在しますが、実はパーツリストにも載っていない、−11010という品番のオイルフィルターケースが使用されています。−11010オイルフィルターケースという品番のものと他のものが違う点は、唯一オイルラインのユニオンボルトが入る部分のネジピッチが違う事です(ミニエースの−11020という品番も−11010と同じネジピッチ)。たいした違いではないように聞こえますがこれが実に大きい。高年式のオイルフィルター、例えば−11022を使用した場合、このユニオンボルトでは、チューブを固定できないことになるからです。どうしても使わなければならない場合、ユニオンボルトも後の年式のものに代えるか、さもなくばオイルフィルターケースのフタとユニオンボルトはそのまま使用して、オイルフィルターケース本体を高年式のものを使うしか方法がありません。
なぜこのようなことが起きたかということについては、ISO規格を導入していた時期がこの頃にあたるのでそのため変更されたのでは?という仮説を立てて、現在研究中です。しかし、これだけが変更されたというのもちょっと解せない話とも思いますが…。
 この−11010というオイルフィルターケース、初期型の仕様によくありがちな弱点をいくつか抱えています。実は最近の研究で同じ−11010というオイルフィルターケースにも2種類あることが判明しました。ケース本体とステーはスポット溶接されているのですが、ここにあたる部分にケース本体内側から一枚鉄板を溶接しているもの(仮にB型)と溶接していないもの(仮にA型)です。もちろん、A型の方がB型よりも早くに出ていたものです。このA型のオイルフィルターケース、使用しているうちにステーのスポット溶接の部分が振動によって金属疲労を起こして極一部が剥がれてしまうのです。このときに、ケース本体側にも亀裂を生じさせ、オイルリークの原因となります。ただし、油圧がかからないとオイルは漏れ出してこないところが始末に悪い。それだけ微細な亀裂です。クランクケース上部からオイル漏れがあるエンジンは、ほとんどがこのA型のフィルターケースを使っています。経験では、この亀裂がある状態で100キロも走るとオイルは500ccほどなくなってしまいます。
 そして、B型はこの対策のために、鉄板を一枚溶接したものです。品番が変更になるほどの変更ではなかったようで、同じ品番のままですが、この違いはかなり大きいです。
 もうひとつこのオイルフィルターケースの弱点は、ケース本体の蓋と接する折り返し部分が高年式のこれに比べて、幅が狭いことです。狭いがために、ボルトで蓋と本体とをとめる時には注意が必要で、この折り返し部分とフィルターエレメントについているゴムのガスケットのあわせが悪いとやはりオイルリークの原因になります。こちらは「オイルが漏れるのはオイルが入っている証拠」などと悠長なことを言っていられないほどものすごい量のオイルが漏れます。

  オイルラインのユニオンボルト

ユニオンボルト 極初期フルフローエンジンのオイルフィルターケースのネジピッチがその後の物とは違うと前述しました。そうなると当然、穴に入るユニオンボルトのネジピッチも違うのです。高年式のものと互換性のない部品であるにもかかわらず、補給打切の部品です。どんな状態のものでも必ず取って置くことをお勧めします。ちなみに、写真は高年式のユニオンボルト。

  オルタネータ

30Aオルタネーター 43年式が25Aの容量だったのに対して、44年式は30Aの容量を持つものに交換されています。それぞれの互換性はあり。ミニエース、UP30パブリカともそれ以前の車両に比べて電装部品が増えたことに伴っての処置であると思われます。しかし、44年式のスポーツ800において確かに電装品が増えたのですが、そのためにわざわざオルタネータの容量をあげるほどのものだったのか。正直な所、ミニエースだから30A、スポーツ800だから25Aと、車によってわざわざ分けるのが面倒だったのでオーバークオリティとは知りつつも、コストの面から(何故か25Aでも30Aでも当時同じ値段で、沢山買えば安くなるでしょう)30Aのオルタネータの採用に踏み切ったと思われます。