中級者編

  スイッチノブ

スイッチ類 所謂絵入りのスイッチノブです。絵入りになったのは43年のマイナーチェンジからですが、44年式になるとまた違っています。43年式のものは正確に言うと絵入りで回りに白い輪が付いていますが、44年式になると基本的には、この輪がなくなっています。30パブリカと同じ物ですが、現在は同じ品番でKP47系のものがくるので発注には注意が必要です。

  ライトスイッチ

 パーキングランプのコントロールで、右に二段捻れるものと左に一段、右に二段捻れるものがあります。両者の外観上の違いはなく、実際に動かして貰うしか判断の仕様がありません。両者には互換性があるが44年以前のスイッチはカプラーが4本平ギポシ、44年は6本平ギポシで互換性はありません。このことからも、44年式はメインハーネスが違うことが分かります。
ここでは仮に右にしか捻れないスイッチをA型、左にも一段捻れるスイッチをB型として説明します。

※A型の場合

 右に一段捻ると右のフェンダーマーカーとテールランプが点灯。右に2段捻ると左右のフェンダーマーカーとテールランプが点灯します。11型に多く見られます。

※B型の場合

 A型のスイッチアクションに加えて、左にも一段捻れる。左に一段捻ると左のみ点灯する。12型、22型に多く見られます。

リアコンビネーションランプ

リアコンビネーションランプ パーキングランプのソケットが追加されるため左右とも、車体中央側に穴が開いています。このパーキングランプのソケットは、コンビネーションランプのハーネスとは別に独立しています。そのため44年式以前の年式にもコンビネーションランプは使用できます。現にこの44年式用が最後まで補給されており、後からレストアした車両などにはこの部品がよく見られます。44年式用である事の識別のポイントは、このソケット用の穴を塞ぐダミープラグが付いているかどうか。ついていれば44年式にも使用可能です。

  フロントターンシグナルランプ

ターンシグナル スモールランプ用のソケットの外側にパーキングランプ用のソケットが追加されています。こちらはソケットが取り外し不可能なのでそれ以前のものと比べるとハーネスが一本多い。互換性は辛うじてあるが、機能を完全に使用できないのでお勧めはしません。一見どこも変わっていないように見えますが、44年式専用品です。

  メーターパネル

メーターパネル ターンシグナルインジケータが追加されます。これによって、従来は左右どちらにシグナルを出しても一つしかないインジケータが点滅しましたが、2つになって左右独立して点灯するようになりました。なお、左のターンシグナルインジケータのあるところは、それ以前の年式ではハイビームのインジケータがあった所です。44年式では、タコメーターの上にハイビームのインジケータは移設しています。結果、43年式と44年式のメーターパネルはそれぞれ専用品となります。

燃焼式ヒーター

燃焼式ヒーターヒーター本体にも44年式独自の特徴があります。
まずヒーター本体の品番ですが、−10032というものが多く、22型の一部には−10033という品番のものも存在しています。両者の違いはまだ研究段階につき不明です。−10032という品番ヒーターは42年くらいから存在しますが、44年式で使われているものとの違いは日本電装製であることを表すプレートのCIがNDマークとなっています。ヒーターリレーの端子のカバー。このカバー、年式によってかなりの特徴があります。前期、特に41年頃に多いのは4つの端子を全て覆い隠すゴムカバーです。しかし、44年式は端子のひとつひとつをゴムのチューブを切ったかのようなカバーが付けられています。しかし、ゴムの質が悪いのか、経年変化によりどのカバーも旱魃で干上がった川のような表面をしています。

  フロントハーネス、リアハーネス

 前述したように、灯火に関する改造が多数行われている事からも、ワイヤーハーネスは、44年式以前のものとは明らかに違うものとなっています。しかも、前半の生産と後半の生産では、機能は同じですが誤接続防止の対策がされています。しかし、たいした対策ではないので、やはり間違ってしまいます。私事で恐縮ですが、この44年式用のフロントハーネスの部品番号は未だに不明で(知っている人は教えてほしい)、たとえわかった所でそのような部品が出る可能性は皆無に等しい。しかし、逆に発注されずに長期在庫になっていて、ある日堰を切ったように流通するのではないかと期待するのはオーナーの悲しい性です。

  ホーン

 それ以前の年式と同じ、たおやかで優しい音色のマルコ”ちょっとどいて頂けませんか?“ホーンと、30パブリカと同じ、きつい音質の平型”どけ、こらっ“ホーンの二種類ある。前者は11型でも初期(最初の30台ぐらい)にしか装備されてなく、後者は11型の終りから12型以降に多く見られます。ご多分に漏れず、44年式もホーンの改造をされてしまっている車両が多いのですが、車体に作り付けになっている取り付けステーがそもそも違うので、それを見ればかつてどちらがついていたかが分かります。平型ホーンの場合、上向きについていたり下向きについていたりする例がありますが、ホーン本体が下に向いているのが正しい取り付け方向です。

  グローブボックスの発煙灯

発煙筒 ただでさえものの置く場所がないスポーツ800に於いては、すでにこんなところにしか余分なスペースはなかったのでしょうか。法令により発煙筒の備え付けが義務化されたために追加されました。この発煙灯を止めるステーのあるグローブボックスの蓋は専用品です。

  バンパー

 俗に後期は半月型のゴムに鉄のメッキバンパー、ステーは鉄製。前期は平型のゴムにアルミのバンパー、ステーもアルミという組み合わせと相場が決まっています。しかし、近年の研究によると必ずしもこれで決まりという訳ではないようです。曰く、ゴムは半月型、バンパーはアルミ、ステーは鉄という組み合わせ。この組み合わせのバンパーをつけている車が43年式には若干あり、何故か44年式には多く存在します。