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3日目 マンハッタンを自転車で走る(8/2)

自転車でアメリカを走る

今日は今回の旅のメインである「マンハッタン自転車ツアー」。現地で自転車をレンタルして ニューヨークを自分で走ってみるのだ。本当はグループツ アーに参加したかったのだけど、旅行期間中には人数不足で催行されてい なかったので、個人手配。自転車のタイプはマウンテンバイクとはいわれ ていたけれど、いわゆるMTBじゃあなく、「軽快車」タイプ。なので トゥークリップ、21段変速なんてマニア仕様なものはついていないけれど、 いちおう6段変速でサドルにはサスペンション入り。そうそうブレーキが日本 とは逆。右が後ろで左が前。こんなところも微妙に違うんですね アメリカ人って意地になって世界標準と違うこと したいんじゃないかと勘ぐるぐらい。まあすぐになれたけどね。
それに走行中に右手でデジカメもって左手で速度調整するには、こちらの方がちょう どよかったぐらい。そうそう鍵は重要。こちらでは車輪のロックだけだともっ ていかれてしまうから、標識やポールにチェーンやU字ロックで止めなければ ならない。このことを「チェインする」というらしい(後に警官から「ここに チェインしちゃダメだ(You should not chain here!)」と怒られたことで一つ 単語を勉強)。

あ、3日目の事を書いてゆく前に、なんで自転車が今回の旅のメインになって いるかをちょこっと説明します。もう6年ぐらい前になるけれど不摂生な生活 をしていた結果、健康診断では要注意の警告をもらってしまい焦ったことがあり、こりゃ運動しなきゃならないと思って筋トレなどしたけどそんな の続かず。そんなときふらっと自転車屋でまともなマウンテンバイクを見かけ て、「こりゃいい」と衝動買い。最初の頃は長距離が結構つらかったんですが、 自宅が海まで10km弱ということで、週末海を走るのが日課になりいつのまにか 自転車が趣味になっていったということです(このあたりは、私のホームページを見て頂ければと思います。 それなりに遠くまでいけるようになったところで、普段とは違うところを走り たい気持ちが出てきて、去年は四国の四万十川をレンタサイクルでサイクリン グしてました。で、今回はマウンテンバイクの本場アメリカで是非走ってみた い〜となったわけです。

そうそう。何はともあれ、今回の旅では現地で発行されている [マンハッタンの自転 車用地図] に大変お世話になりました。非常に細かいので白黒でA4だと厳 しいかも。私はカラープリンタで写真印刷用の紙に印刷していきました。さす が地元だけあって情報は非常に細かいです。

自転車で出発!

さて、ホテルを出発。その前にホテルの倉庫から出さなければ。フロントの人 にお願いして昨夜あずけた倉庫から出してもらう。そういえば後から思ったの だけど、ホテルのフロントに「絶対に」チップを上げるべきシチュエーション だったな... 上げなかった..反省。
出発はなんだかんだ準備してたら9時過ぎ。既に日が高い。ニューヨークは緯 度が高いから涼しいとたかをくくっていたよ。日差しは強い。日焼け止めは塗 りたくって、首にタオル巻いて、Tシャツ2枚重ね。下はユニクロの半ズボンっ てなことで、マンハッタンを走る自転車乗りとしてはあんまりかっこは良くな い。唯一の救いはちゃんとしたヘルメットぐらいか。そうそう履いている靴は 自転車を本格的に乗り始めてからずっと履いているサッカーシューズ。既にこ の靴で1万Km以上自転車で走っている。がんばってくれますなあ。

アッパーウエスト→ハーレム

ホテル前のブロードウエイ(95th st)を出てまずは北に向かう。日本と違って アメリカでは自転車は歩道を走れない。まあ、日本でも歩道は走ったら危険だ けどな。でもねー、日本と同じでアメリカも路上駐車が多いんだよな。おまけ に路面はがたがただし。最初のうちはこの自転車にもまだなれずなかなか速度 も出ずちょこっとめげる。ブロードウエイはこのあたりからさらに西側に行っ てしまうので、一本東側に入る。ここにまた大きな聖堂。このあたりまで来る と、もうオフィスはなく古くからの住宅街ばかりになる。地元の人たちの街に なっている。このあたりはガイドブックでチェックはしていなかったのだが、 赤い二階建てバスの「SightSeeing Newyork」が2台止まっているところを見る と、有名な教会なのだろう。入り口の大きな円形の飾りが特徴的でした。 後から調べたら、セントジョンデバイン大聖堂という有名な聖堂とのことです。
ここをさらに北にゆくと、有名なコロンビア大学。宇多田ヒカルが入学しただ とか、野村さちよが昔卒業したとかしなかったとかでも有名だけど、全米でも 有数のハイレベルな大学。このあたりは「モーニングハイツ」というエリアで 昔は夜出歩けなかったような治安の悪さだったそうだけど、いまは安全になっ ているそう。ただ、ミッドタウンあたりと比べると、人通りも少ないし、ちょっ と建物は汚いということで夜は出歩きたくないな。コロンビア大学もちょっと 見てみたかったけれど、今日はかなり移動するので通過(そもそも警備の厳し いニューヨークで気軽に入れたのかはなぞだが)。ここまでは比較的平坦だっ たけど、この先がちょっとした谷になっている。マンハッタンって、ローワー マンハッタンのあたりは標高が0近いけど、ミッドタウンを越えるあたりから 徐々に標高が上がっていって、セントラルパークのあたりだとちょっとした丘 になってます。まあ緩やかな坂なので気がつきづらいですが、北の方に行くと 子のように地形の隆起が大きくなってきます。そんな住みづらさもあって、黒 人居住地の「ハーレム」がこのあたりに出来たのかもしれない。
さて、坂を一気に下る。楽々〜。さあ、ハーレムに向けて坂を上るぞ〜。ギア を徐々に落としてゆく。4−3−2−1。がちゃんがちゃんがちゃん.. ありゃ.. これって後輪の歯車がかみ合ってないじゃん。ギアのワイヤーの調整が狂って る.. てなことで1速にはいらん。 まあ、脚だけは鍛えているので重いギアで も坂は上れたけど普通ここで1速に入れられないのは厳しい。
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出発してすぐに目に飛び込んできた"セントジョンデバイン大聖堂" コロンビア大学を過ぎて125th st へ向かう下り坂 145th st。アムステルダム通りの坂を登り切ったあたり。ハーレムの中心地。

ブロンクスのヤンキースタジアムへ

そんなことで、143rd stに到着。地図を見ると、ランドマークとして「ワシン トンハウス」というものがあるという。なんかわからんが、このエリアの数少 ないランドマーク。ちょっとよってみるかと西に折れる。うーん。何があるの かよく分からなかった。というわけで引き返す。何があったのだろう。ここか ら坂を下り東を目指す。目指すはブロンクス地区。ブロンクスといえば、「サ ウスブロンクス」という地区が有名だがそれだけではなく、ヤンキースの球場 があることとしても有名。マンハッタンの坂を下って143th st からブロンク スへつながる橋を渡る。ここの橋はどうも自転車から降りてわたらなければな らないようでちょっと面倒だ。ちょうど前をゆく二人もマウンテンバイク組。 とはいっても、私が今乗っているようなママチャリタイプのではなくて、しっ かりしたマウンテンバイクだ。いいなー。 さてようやく橋を渡りきって、ブ ロンクス地区へ移動。若干街の雰囲気が変わってくるな。何となくかつて工場 地帯があったようななんとなくあれている感じも受ける。ここから、まずはヤ ンキースタジアムを目指す。その前にちょっと休憩。喉が、乾きはじめてたの だ。さすがにアメリカで自販機はなく、またマンハッタンにはあるコンビニら しきものもないので、ガススタ併設の店でスポーツドリンク500mlを買って一 気のみ。持ち歩きたかったのだけど、かごもドリンクホルダもないし、自分自 身はヒップバッグしかしてないので、ボトルを持ち運べない。
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マンハッタンの145th st 。ブロンクスへ向かって進んでいきます ブロンクスにあるヤンキースタジアム。試合がなかった日なのでちょっと閑散としていました サウスブロンクスエリア。いわゆる「犯罪多発地帯」まあ、それ程危険は感じませんでしたが、観光するようなものは何もないです
ヤンキースタジアムには、ちょっと北上すればよい。 有名な球場につながっ ているにしてはちょっと狭い住宅街の中の道を1km弱進むと見えてきました。 ここがヤンキースタジアムか。試合をやっていなかったので比較的ひっそりと していたけれど、普段の盛り上がりが想像できるようなスタジアムの周りの雰 囲気がありました。 外壁に掲げられた旗には、過去の優勝年度が誇らしげに 書かれていました。ギフトショップもあったのですが、さすがに荷物を持てな いこの状況では買うことも出来ず、ちょっと残念。 せめてディバッグぐらい は担いでくるべきだったか。
ヤンキースタジアムを後にして元来た道を戻る。わざわざ好きこのんでサウス ブロンクスにいく人は居ないと思うけど、ものは試しで「危険」といわれてい るこのエリアに移動。いわゆる「犯罪多発地帯」ですな。まあ、真っ昼間なの でなんの怖さも感じなかったけど、このあたり、行き止まりが多い倉庫地帯で、 さらに廃墟化しているので、やはり犯罪が多発しているのだろうな。日本で 「○○岸壁倉庫に夜10時 待つ」などと麻薬売人が指示するような、そんな 感じの所。安全だとはいえ、結構警察官が街の中をパトロールしていたのも ちょっと印象的でした。まあ何もないところだしおすすめは出来ないところで す.. もともとはブロンクスは高級な住宅街だったそうですが、いつの間にか 荒廃してしまってますね。マンハッタンの治安維持が厳しくなったので、無法 者が郊外に追い出されたという話も聞きますが。
ブロンクスはこのくらいにして、次はランドルズ島へ移動。普通の観光でラン ダルズ島(Randall's Island)へ行く人はまず居ないと思われますが、イースト リバーの中州に位置する島です。観光名所も何もないところですが 自転車な ので気楽に移動。 トライボロブリッジを経由してここランダルズへ。河川敷 公園になっているようで、のんびりすることも可能。サッカーフィールドなど もあってのんびりとしたエリア。のんびりと進んでいくと、消防士たちが移動 販売の車に群がっている。なにかクレームか?と思ったら和気藹々とした雰囲 気。近くの看板を見ると「 FDNY Academy」 。ニューヨークの消防学校がここ にあるんですね。このあたり、マンハッタンと目と鼻の先にありながら、未開 発のだだっ広いエリアが広がっています。その隣は病院らしいんだけど、物々 しい警備。"Pyschhiatric" と書いてあるから精神病院ですな。後から調べて みると"Kirby Forensic Psychiatric Center"というところ。なぬなぬ... この病院のページ 「この病院の患者の大部分は裁判所から精神鑑定を行 うために移送されてきています。最高の警備体制が敷かれた病院です」。近く にはホームレスのシェルターもあるという、ある意味マンハッタンと目と鼻の 先にありながら、隔離された場所なわけですな...。 まあ、見るものもないの でマンハッタンに戻ります。
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ランドルズ島からブロンクスをのぞむ。 ランドルズ島からマンハッタンをのぞむ。これが今回借りた自転車
普通の地図には載っていないのですが、自転車用地図に乗っていた歩行者用橋 でわたります。 このあたり、地元のローティーンのたまり場になってて若干 怖かった。 たぶん無免許運転と思われるスクーター乗りがまっぴるまからう ろつき回って、併走されたときは一瞬身構えてしまったもんな。 まあ、特に なんにもなく無事にまたマンハッタン入り。ちょうど105th Stのあたり。 い わゆる「スパニッシュハーレム」地区です。古くからのアパートが建ち並ぶあ たり。ちょっと行くと、 1st Ave と交差。1st Ave から Park Ave にわたっ てゆったりとした上り坂になって、セントラルパークへと続いていきます。

セントラルパーク一周

セントラルパーク到着。 公園内は自転車通行可能な道があるけれどそこまで の50mほどはバイクを降りて押してゆきます。ようやくこの道に到着。昨日お とといとここを走ることをかなり期待してたんだよな。念願のセントラルパー ク一周ツアー。 1周が大体8kmぐらい。広々とした道を同じように自転車で走 る人たちがたくさんいる。周りは大体ちゃんとしたマウンテンバイクだけど、 そんな中をこのママチャリライクな自転車でちゃーんと追いついていっている。 大体27〜30kmぐらいで巡航かな。公園北側に行くと、結構起伏が出てくる。こ のあたり昔からあったと思われる岩石が道近くに顔を出している。山道のよう な感じも受ける。周りにはきれいな池やボートハウスが点在して、まさに都会 の中のオアシスだ。北の池でちょっと一休み。近くの子供会のような人たちが 大勢遊びに来ていた。何でも、この池は冬になるとスケートリンクになるとか。 このあたりがセントラルパークの北端。
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五番街。セントラルパーク入り口 セントラルパーク周回路。東側の北いっぱいのあたり セントラルパークの一番北。この様に、岩肌が見えています。マンハッタンが岩盤地質だというのがわかります

ここからぐるっと回って南のミッドタウンあたりまで南下していきます。この あたりからは途中まで上り坂だったけど気合いを入れて加速。気持ちいいです な。 80stあたりになるところだと思うけど、ちょっと休憩。このあたり庭園 になっている。セントラルパークは単に広いだけじゃなくて、どこ彼処も趣向 を凝らした池、森、草花の庭園と非常にきれいなところです。もうちょっと南 下すると、見えてきました。ここですな。芝生にニューヨーカーが寝そべって ストレスの中つかの間の休息をとる場所は。 まさに「セントラルパーク」。 ここは[Sheep Meadow」(羊の牧草地)という名前が付けられている所だそう です。すぐ近くのミッドタウンの摩天楼を前に広い草地に寝ころべるというと ころがいいですなあ。 私もここで寝れば良かったかな。 ちょっと先を急いで いたのですぐ移動。
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セントラルパークの中には、この様に古い建物や銅像が数多くあります。どれもとてもきれいに手入れされています セントラルパークの周回路をジョギングする人々。 一般的にイメージされる「セントラルパーク」。この広々とした芝生はSheep of Meadow と呼ばれます。
南へ行く前にもう一週セントラルパークを回る。 まあ、フルではなく、途中 の折り返しだけど。 ここで、セントラルパークの真ん中にあるボートハウス を見つける。ボート乗り場の手前に噴水があるのだけれど、ここの彫刻がまた 凝っていてすばらしい。周囲の道路からはちょっと奥まったところにあるので 観光客もそれほど多くなく、ちょっとした隠れ家的な雰囲気があるところです。 ちょっとだけここでくつろぎ、今度こそマンハッタンを南へ移動。
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セントラルパークの中心 Bethesda Terrace(ベセスラテラス) セントラルパークのモール

マンハッタンを南下

まずは5番街へ入り、高級店が立ち並ぶ中を南下。とにかく交通量が多い。 路上駐車も多い。信号では歩行者にも注意せねば。そうそう。マンハッタンは 道がでこぼこしているのでそこにも注意せねば。 正直言って決して走りやす い所ではないのだが、それでも「ニューヨークの真ん中を自転車で走っている」 というワクワク感でそんなものは吹き飛んでいる。夏の湘南の国道134号の渋 滞すり抜けで鍛えた(?)すり抜けでさくさくと進んでゆく。気分はある意味 メッセンジャーだな。
あっという間にブロードウエイとのクロス。昨日写真を撮ったフラットアイア ンビルに到着。目立って良いね。フラットアイアンビルの東側の辺に沿って今 度はブロードウエイを使って南下。ここからはローワーマンハッタンまでブロー ドウエイ経由となる。
ユニオンスクエアを越え、街並みは古い作りになってくる。ハウストン通りを 越えるとおしゃれな店が建ち並ぶSOHO地区。 "South Of Houston" の略だそう だ。 SOHOってインターネットの世界では、SmallOffice Home Office といっ て 「今時の在宅勤務者」のようなイメージでいわれるけどこれって単にこち らのSOHOをもじっているんだよな。 別に知らなかったからといってどういっ ていうことはないのだけど、「へー」的な知識で知っておきたいところ。 ハ ウストン通りがマンハッタンの通りの基線になっていて、ここより上は xx th st となっていく。もともとのオランダやイタリアなどからの移民はこのあた りに最初に街を作っていったんだよな。
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5番街。渋滞のタクシーをすり抜けながら南下 Canal St あたりのチャイナタウン チャイナタウン。アメリカのど真ん中なのに、マクドナルドが漢字表記されている。
ちょっと進むと、キャナル通り。このあたりは中華街。サンフランシスコの中 華街も有名だけど、ここもちょっとした中華街になっている。さすがは中華の 人たち。世界中どこでも中華街を作るな。さすがと思ったのは、マクドナルド の表記が中国語の「麦当勞」になっていること。このニューヨークのど真ん中 でまさかマクドナルドが中国語表記されるとは思わなかった。 他の店がどう なっているかと探してみたけれど、スタバなどは英語表記だった。
キャナル通りをさらに南に進み、チェンバー通りの当たりに来ると市庁舎、マ ニシパルビルなど古くからの立派な建物が見えてくる。このあたりじっくりと 見て回ると、アメリカ建国の頃のいろいろな歴史的な建物やら記念碑などがあ るのだろうな。ハウストン通りを突っ切ってから、クロスする道は数字ではな く、それぞれ独特の名前をもった道になっている。
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建物の真ん中を道路が通っているマニシパル・ビル ウォール街のニューヨーク証券取引所。テロ警戒が厳重。
それぞれは幅4mほどの路地 のような道なのだが、その中で世界的に有名な路地 Wall st. とクロス。ここ だけ雰囲気が全く違う。何が違うって、その物々しさ。ブロードウエイ上にも 警察車両とマスコミ関係車両が密集。もちろんここを通り過ごすつもりもなく、 早速ウォール街へ自転車で移動... ってそんなことできない。 道路の真ん前 に大きなバリケードが築かれている。 自転車をおりて歩道を通行して、ちょ こっとあるくと、ニューヨーク証券取引所(NYSE)にたどり着きました。まあ、 とてもとても大きなアメリカの星条旗がビル一面を覆っている。これってテロ 直後に放送されていたな。あのときからずーっとこの旗をビルに飾っているの か。 なんていうか、このあたりは意図的な愛国心を感じてしまいます。まあ、 WTCまでは100mほどの近さ。おまけに米国市場経済の象徴...じゃなくて市場経 済活動そのもののところだから誇るのも無理ないか。 それにしてもマスコミ が多いな。 普段から市場速報ということでこんなに来ているのか。NYSEの入 り口には SWATのような完全武装した警察官がショットガンもって守っている し。2人ペアで守備についている所などまさに軍隊。普段からこんな感じなの かと思っていたら、翌日の新聞を見てびっくり。何でもニューヨークにテロの おそれがあって、マンハッタンの「経済の象徴的な建物がねらわれる」という かなりハイアラートな警報が出ていたらしい。まさにここだし... それはそ うと、ウォール街はとっても狭い通りでした。 車の対面通行も厳しいぐらい。 こういう細い路地の名前が世界的に有名になってしまうんだよね。 元々は、 オランダ人が原住民から守るための柵があった場所ところですが、今はその場 所が全く違った意味になってしまうとはねえ。 (参考文献 [ニューヨーク歴史 17世紀編] )
ここからもうちょっと進むと昨日もきたバッテリーパーク。そういえばここに ニューヨークでは数少ない公衆便所があったのを思い出し、駐輪して歩こうと 思ったら、公園の裏から警官が出てきて、 ここに止めちゃダメだ。あっちに してと注意された。あっちって、あ、あの無惨に自転車のフレームだけ残され ている電柱のことか。まあ仕方なし。

ブルックリンブリッジへ

バッテリーパークは今日は長居することもないので今度は、次の目的地ブルッ クリン橋だ。ブルックリン橋って、マンハッタンとブルックリンの間の橋で、 ブルックリン側の橋のたもとから見るマンハッタンの風景はとても有名なとこ ろ。バッテリーパークからは、イーストリバー沿いの道を走る。ここは元々港 町の所で、港を改造した公園になってる。Pier17 は古くからのニューヨーク 港をサウスストリートシーポー トとしてショッピングモールとしたところ。昔の帆船や蒸気船を展示して いたところだった。 ここからイギリスやオランダにアメリカの綿花やトウモ ロコシなどが輸出されていったのだろうか。この隣が、フルトン魚市場。かな り大きい魚市場らしい。ここを通ってそろそろブルックリン橋をわたらね ば。。。と思いブルックリン橋の下をすぎて、左に折れてブルックリン橋の入 口を捜す。それはそうと、地上から橋までずいぶんと高さがある。50mぐらい あるだろうか。あそこまで登るのは大変そうだな.. さて、左に折れたのだが、 なんだかちょっと迷ってしまった。住宅地の様なところに迷い込む。あらら。。 何とかたどり着いたと思ったらチャイナタウン近くまで来てしまっている。 ここからもう一度ブロードウエイ方向へ移動。ずいぶんと遠回りしているな。
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サウスストリートシーポート。昔の汽船が係留されています ブルックリン橋をのぞむ。 サウスストリートシーポートのマーケット
市庁舎近くにたどり着いたが、さすがに体力的に厳しくなってくる。 既に4 時頃。そういえば何も食べてない。 うーん。ありえん。ちょっとさすがにハ ンガーノック気味になってきて橋を渡る気力が少なくなってきた。なにより喉 が渇く。ちょうど目の前にスタバが目に入ってくる。早速ここに自転車を止め て一休み。 アイスコーヒーのVentiを頼む。アメリカのスターバックスだと、 Grande の上の Venti というサイズがある。 1リッターはないけど、800mlぐ らいはありそう。 「ベンティ アイスコーヒー」といえばアイスコーヒーが出 てくる。この旅で何回これを言っただろう。 で、牛乳は無料なので、アイス コーヒーを一気にがぶっと飲み干し、そこに牛乳を足し混んでアイスカフェラ テを作る。これでSuper Venti だ。ちょっとせこい。 アイスコーヒーにプラ スして、サンドイッチもオーダー。 これでなんとか体力が復活。 橋を渡る気 力も出てきた。
ブルックリン橋は二層構造になった橋。下が自動車道、上が歩道と自転車道。 自転車専用のレーンが整備されている。 ゆったりとした登りを登り切ると最 初の橋脚に到着。ここから後ろを振り返ると、橋のワイヤーの向こうにローワー マンハッタンのビル群とその隣にエンパイアステートビルがそびえ立っている。 ここから見るマンハッタンは、自由の女神のリバティー島から見る風景とまた 違った印象に見える。リバティー島から見ると、ただきれいなだけなのだが、 ここから見ると、身近な感じがする。
ブルックリン橋は観光の橋じゃなくてマンハッタンと隣のブルックリン地区を むすぶ大事な交通路。なので下の道路は混雑しているし、上も混雑している。 自転車で移動する人も結構多い。 ブルックリン橋をわたりきるとブルックリ ン。ここの目当てはなんといってもブルックリン橋のたもと。自由の女神と並 んで、 とにかく「ニューヨーク」といえばここ。 アメリカ横断ウルトラクイ ズのタイトルバックなどにも出てきた気がするし、いろいろなテレビドラマで もここが場面になっていた。「ニューヨークで修行。あこがれのマンハッタン を眺める」という場面だとよくここがつかわれるよな。

ブルックリンへ

「ここ」っていうのははいいのだがテレビ画面の記憶だけでその場所にたどり 着けるのだろうか。 地図をチェックしてもよかったのだが、なんか自分の記 憶だけでたどり着きたい気が何となくしてブルックリン橋をおりて適当に見当 をつけてたもとに向かう。実はこのあたりは結構寂しいところで、夜来るとか なり怖そうな所。公園の中にはいると、早速雑誌の撮影をやっている。ここか らは、隣のマンハッタンブリッジとブルックリン橋が一望。 おお、とうとう ここまで来たか。ブルックリン橋の向こうに見えるローワーマンハッタン。ま さしく大都会。ここでしばし向こう岸を眺めている。日本にありそうでなさそ うな風景ではある。何でだろうと思ったのだがやはりこちらの方が建物の歴史 が長いのがあるのだろう。築100年のビルはざらにある。橋ももう100年以上。 実はブルックリン橋が出来たのは1883年。19世紀の事なんですね。長さ486mで もちろん当時世界最長。歴史がありますなあ。
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ブルックリン橋でブルックリンへ移動中。黄色い線の左側が自転車通路、右側が歩行者通路 ブルックリン橋からマンハッタンをのぞむ。
そろそろマンハッタン島へ戻ります。帰りは、ブルックリン橋ではなく隣のマ ンハッタン橋をわたっていきます。こちらはちょっと年代が新しいようで、橋 脚が鉄骨で出来ていてスマート。技術の進化がよく分かる。新しいといっても 1909年とこちらも古くからのマンハッタンを支えているところ。いやはや、20 世紀のアメリカの工業力っていうのは改めて感心します。
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ブルックリン側から見るマンハッタン橋の橋脚。ブルックリン橋に比べてスマート。鉄鋼がアメリカの工業の花形になり始めた時代の勢いを感じます ブルックリン橋の向こうに見えるローワーマンハッタン

マンハッタンへ戻りハドソン川へ

マンハッタンブリッジも二層構造で上が車道、下は地下鉄で歩行者/自転車は 下層の両脇を通ります。ブルックリン橋に比べると、みはらしがちょっと悪い。 歩行者や対向してくる自転車もいなかったので、一気に狭い通路を下る。マン ハッタン側ではちょうどチャイナタウン中心地のキャナル通りに出る。キャナ ル通りを西に進みハドソン川方面に向かってゆく。ちょうど6時頃。平日とい うこともあり、帰宅者が多い。6th Aveでは、ひどい渋滞で自転車でさえ身動 きがとれない。ちょうどここがニュージャージーとの連絡トンネルになってい るホーランドトンネルの入り口。隣のニュージャージーに車で行くには、ホー ランドトンネル、リンカーントンネル、もしくは北側のジョージワシントン橋 の3つしかない。大渋滞するわけだな。なんとか渋滞の車の中を進んで、ハド ソン川べりに到着。昨日ここを歩いたときには気がつかなかったのだが、川沿 いに延々と10km以上遊歩道が続いている。ここだと車もいないし景色もよくと ても走りやすい。ハドソン川を左に見ながら、まずはホテルを目指すこととす る。途中、45th St あたりで退役空母を博物館にしたイントレピッド博物館を 見つける。遠くから見たときは、飛行甲板にSR-71ブラックバードが搭載され ていて一瞬目を疑ったのだが、あくまで展示物としてだな。話は飛ぶけれど、 マッハ3.3を出せるアメリカ空軍が誇った偵察機SR-71。日本ではあんまりなじ みがないけれどアメリカのヒストリーチャネルなど見ていると、スペースシャ トルやアポロと並んでアメリカ人が誇りに思っている乗り物のようだな。「何 百回とソ連上空を飛んだのに一揆も撃墜されていない」と何度も聞いた気がす る。これをマンハッタンのど真ん中に展示するのもアメリカならでは。
イントレピッド博物館を越えると、だんだんと大きな桟橋は少なくなり、係 留されている船はプレジャーボートやヨットなど小型艇が中心になってくる。 このあたりからマンハッタンは高台になって川沿いを走る遊歩道との高度差 が高くなってくる。夕暮れの中をジョギングしている人も多い。ちょうどホ テル近くの96th stあたりまでたどり着いたので、町中に移動する。 さあ、 今日一番の上り坂だ。最後にきてこの坂を上れるか。 そういやまた思い出し た。この自転車の一番軽いギアが壊れている。最後の気合いで登り切る... まずい。ここまで全く問題はなかったのだがここに来てちょいと脚がつりそ う。
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ハドソン川に係留されている空母イントレピッド。船上にはなぜかSR-71 イーストリバーに浮かぶヨット。ここにヨットを係留できる人ってリッチなんだろうな 坂を上ってたどり着いたアッパーウエストサイド。
坂を上りきった辺りは「アッパーウエストサイド」というマンハッタンの中で も有名な閑静な住宅街。古くからある石造りのアパートが多く立っている。映 画「You Got a M@il」でメグライアンが住んでいたアパートもこの辺り。
通りを東へ進みブロードウエイへ。 そういえば今日は自転車屋さんが10時 頃回収に来るといっていたな。 ただもう一度ホテルの地下室に持っていくの も面倒。10時までは路駐しておくのがよいのだがあまりに長時間止めておく のも危険。 まあということで可能な限り乗り続けていようっと。

再びタイムズスクエア

というわけで、ホテル前に出たけれどまたブロードウエイを南に進んで時間を つぶす。まだマンハッタンに来て3日目だけどなんとなく慣れた気もする。意 識的には観光ではなく、近所に自転車で買い物に行くような気分。でもここは マンハッタンのブロードウエイなんだよな。ちょっと進んでゆくと、もうセン トラルパークの南端のコロンバスサークル。ここからもう少し進むとタイムズ スクエアに到着。夕暮れのタイムズスクエアにふらっと自転車で夕涼みがてら 来れるのもある意味非常に贅沢。もう少し走りたい気にもなったので再びセン トラルパークの周回路に入る。
この時間、会社帰りの人なのか、昼にもましてジョギングや自転車に乗ってい る人も多い。さすがにマンハッタン一周してきたので、周りの自転車の速度に はあわせられなくなってきているのでゆっくりと公園内を走る。途中貯水池の ほとりで一休み。イーストサイドから貯水し越えに眺める風景もまたきれい。
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散歩気分でタイムズスクエアへ向かう セントラルパーク貯水池からウエストサイドをのぞむ
そろそろ疲れても来たので、公園内を西側にショートカット。 ようやくホテ ルに向かう。長い一日だった。 ホテル前の標識にU字ロックして、サドルをは ずして部屋到着。

長い一日終了

シャワーを浴びて一段落したらやっぱり腹が減ってきた。ちょうど1ブロック 先に「Obento delight」という日本料理屋があるのでここでトンカツ定食を頼 む。久々に旅行中に腹一杯食べた気がする。いわゆる日本の定食屋なのだけど、 地元の人たちにも人気のようだった。そういえば、この一角はアジア系コンビ ニもあるし、食べ物には不自由しない。まあ、ホテル内にいっさいの調理器具 がないので調理は厳しいけどね。この空きっ腹で疲れた状態でのビール。最高 でしたな。
自転車屋さんはこの後ずいぶんと遅れて夜12時頃回収に来た。ちょっと切れてしまって反省。 これで予約ものはすべてなくなりようやく気が楽になる。ぐっすりと就寝。

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