6.フィルタ処理

6.フィルタ処理
6.1 フィルタの方式
 Ormsbyによるデジタルフィルタ処理を行うことができます.
 規定値では,1Hz(単位時間により,1kHz, 1MHz または1GHになる)およびfs/2(fs: sampling frequency)の0.75倍を帯域幅とするローパスフィルタとし,500個の数値列からなる時系列フィルタ関数を計算し,これを重みとする移動平均を行っています.すなわち,1点のフィルタ出力を計算するのに,前後500個のデータにこのフィルタ関数を乗じて計算しています.
 サンプリング率によるフィルタ特性の厳密なチェックは行なっておりませんが,結果から見て十分な精度を持っているものと考えられます.
 このフィルタは位相特性に変化を与えません.

 フィルタ処理を行うには,メニューバーから,「Filter」をクリックし,「Default」 または
「Arbitrary」を選択します.または,スピードボタンの「フィルタ処理」をクリックします.

フィルタ処理ボタン→

フィルタ処理の際,下のウインドウが表示されます.
(メニューバーから「Filter」-「Default」を選択した場合は表示されません.)
このウインドウから,フィルタ処理を行うのが簡便です.

  
 
  
  
任意帯域バンドパス→
規定バンドパス→
フィルタなし→

6.2 フィルタの種類
6.2.1 フィルタなし
 フィルタ処理を行わずに素通しのデータを使用します.
 「Bandpass Filter」ウインドウの「Unfiltered」ボタンをクリックします.
 この場合,グラフ上には「Unfiltered」と表示されます.

6.2.2 規定バンドパス特性
 波形データのサンプリング率(単位時間当たりのサンプリング数)から定まるNyquist振動数fN(サンプリング振動数の1/2)に基づいて帯域幅を自動的に設定します.

   
上限コーナー振動数はNyquist振動数の3/4=0.75倍に設定されます.
下限コーナー振動数は,単位時間(s, ms, μs, ns)に対応して1Hz, 1kHz, 1MHz, 1GHzを取ります.
通過する上限および下限振動数はコーナー振動数の1.5倍および1/2倍に設定されます.
「Bandpass Filter」ウインドウの「Default」ボタンをクリックします.

6.2.3 任意帯域バンドパス特性
 Bandpass Filterウインドウで,上下限コーナー振動数を設定することによって任意の帯域幅のバンドパスフィルタ特性を与えることができます.
通過する上限および下限振動数はコーナー振動数の1.5倍および1/2倍に設定され,これはフィルタ処理実行時にLimit Frequencyとして表示されます.
「Bandpass Filter」ウインドウの「Execute」ボタンをクリックします.


   

下限コーナー振動数を0に設定して,ローパスフィルタ特性を与えることもできます.
フィルタの設定条件が変更された場合(フィルタをかけない場合も含む),自動的に,波形データの再読込と再計算を行います.
フィルタ処理をしない場合でも,スペクトル解析において,直流成分は,常に,除去します.

6.3 フィルタ処理後の波形データの保存
 フィルタ処理を行った波形データを標準形式CSVファイルとして保存することができます.
 「File」-「Write Data File」−「All Data」をクリックして保存してください.
保存されたデータファイルは,標準形式データファイルとして,読み込むことができます.

  
 なお,CSVファイルの3行目はコメント行として扱われますが,ここに,バンドパスフィルタ処理における上限および下限振動数が記載されております.