重力に、引力だけあって、斥力がない理由

前回の記事からの続き。

前回の記事で、「宇宙のシュヴァルツシルト半径は、
宇宙の半径の15分の1ぐらい」と述べた。
しかし、その計算では、宇宙の質量を小さく見積もっていた。
実際、宇宙には目に見える恒星の質量をはるかに上回る、
暗黒物質と暗黒エネルギーがある。
見ることが出来る物質は、宇宙全体の4%ほどしかないそうだ。
これらを含めると、宇宙の半径と、宇宙のシュヴァルツシルト半径は
ほぼ同じくらいだろう。

つまり、この宇宙自体がブラックホールになっている。
そして、宇宙は閉じていて、宇宙から何物も出ることができない。

何でも吸い込むブラックホールを見て、
中でどうなっているのかと思うことがある。
しかし、実際、私たちは、ブラックホールの中にいる。
ブラックホールの中は、がんじがらめで、
身動きのできない状態と思いがちだが、
案外、自由に動きまわれるものらしい。

この私たちの宇宙は、さらに大きな宇宙から見れば、
素粒子かもしれない。
また、私たちが見る素粒子は、小さな閉じた宇宙かもしれない。
このような階層構造は大きな方にも、小さな方にも、
無限に続いているのかもしれない。

閉じた宇宙の中では、同じ性質のものが引き合い、
閉じた宇宙同士では、同じ性質のものが反発しあい、
反対の性質のものが、引き合う。

私たちの宇宙では、重力によって、まとまっている。
同じ性質の質量が引き合い、閉じた宇宙を作っている。

小さな素粒子の宇宙では、電磁気力によって、まとまっている。
同じ性質の電荷で引き合い、閉じた宇宙を作っている。
マイナス電荷の電子の内部では、同じ電荷の構成要素が、
反発せずに、逆にまとまっている。

一方、同じ電荷の電子同士は反発しあう。
素粒子宇宙の外では、力は逆に働く。

同じように、私たちの宇宙は、さらに大きな宇宙の素粒子
として見れば、他の宇宙と反発し合っているだろう。

これが、重力には引力だけで、斥力がない理由である。

重力が宇宙規模をまとめる力で、
電磁気力が素粒子規模をまとめる力であることは、
大きさの比率と、力の強さの比率とが、
どちらも 1036 と、だいたい同じことからも推測できる。

その他の強い力と弱い力は、電磁気力と近い値なので、
素粒子規模に関する力である。
つまり、素粒子規模の力には、3種類あるということである。

宇宙規模に関する力は、重力の1種類だけだと思われているが、
暗黒物質と思われている力と、暗黒エネルギーと思われている力を
あわせると、3種類あることになる。



*参考

暗黒物質と暗黒エネルギーとは

・暗黒物質がエネルギーに変わったのが、暗黒エネルギーではない。
 この2つは、違う現象から仮定されるにいたった。
・暗黒物質は銀河内の星星を引き付ける力の元である。
 銀河内の見える物質からでは、銀河の運動が説明できない。
 もっと多くの質量がないといけない。
 その質量の源を暗黒物質と仮定したが、正体は分かっていない。
・暗黒エネルギーは銀河どうしを引き離す力の元である。
 ビッグバン以降の宇宙の膨張が、初期のビッグバンのエネルギー
 によるなら、重力によって、減速していくはずだが、
 観測によると、加速していることが分かった。
 この加速させる力の源を暗黒エネルギーと仮定した。
 この正体も分かっていない。
・宇宙全体は、暗黒エネルギーが74%、暗黒物質が22%、
 見ることが出来る物質が4%という比率で構成されている。

相互作用の力と比率
               比率
・重力 ・・・ 5.9×10-39  1
・弱い力 ・・ 1.02×10-5  1015
・電磁気力 ・ 1/137     1038
・強い力 ・・ 1/4      1040

・重力)1kgの鉄の玉を1mの距離に置いたときに働く力
  6.67×10-11 N

・電磁気力)1kgの鉄の玉から電子だけを取り出し、
  1mの距離に置いたときに働く力
  1.82×1025 N(地球の質量を3m/s2で加速できる力)

・差 1036

宇宙と原子の大きさの比率

・宇宙の大きさ 1026 m
・原子の大きさ 10-10 m
・差 1036

物理なんでも帳