宇宙のシュヴァルツシルト半径

シュヴァルツシルト半径とは、物質の密度を高めていき、
ある半径より小さくなると表面の重力が強くなり、
光が逃れることのできなくなる半径のこと。
いわゆるブラックホールになる。物質の最大密度。

次の式で表される。

  r = 2Gm/c2

    r:半径
    m:質量
    G:重力定数   6.7×10-11 
    c:光速     3×108 m/s

1kgの質量の物体のシュヴァルツシルト半径は次のようになる

  2 × 6.7×10-11 / (3×108)2
  = 13.4×10-11 / 9×1016
  = 1.49×10-27 (m)

  陽子の大きさが 10-15 m なので、それよりずっと小さい。

1kgの鉄の半径と比較してみよう

  鉄の密度は 7.874 (g/cm3)
  1000 / 7.874 = 127 (cm3)
  127 = (4/3)πr3
  r3 = 127 / 4 × 3 / π
     = 30.3
  r = 3.12 (cm)
      = 3.12×10-2 (m)

  約 10-25 分の1 の大きさになる。

次に太陽の質量のシュヴァルツシルト半径を計算してみる。

  太陽の質量は 1.99×1030 kg
  2 × 6.7×10-11 × 1.99×1030 / (3×108)2
  = 26.7×1019 / 9×1016
  = 2.98×103 (m)  約3km

  太陽の直径は 1,392,000 km なので、半径は696,000 km。
  約23万分の1の大きさになる。

銀河のシュヴァルツシルト半径

  銀河には約1000億の恒星があるとして計算する。
  1.99×1030 × 1011 = 1.99×1041 (kg)

  2 × 6.7×10-11 × 1.99×1041 / (3×108)2
  = 26.7×1030 / 9×1016
  = 2.98×1014 (m)

  銀河の半径は約5万光年と言われる。
  1光年 = 9.46×1015 m
  50,000 * 9.46×1015
  = 5×104 × 9.46×1015
  = 4.73×1020 (m)

  約15万分の1の大きさになる。

最後に宇宙全体ではどうなるか。

  宇宙には約1000億の銀河があり、
  銀河には約1000億の恒星があるということなので、
  太陽質量の1000億倍の1000億倍を宇宙全体の
  質量としてみる。
  1.99×1030 × 1011 × 1011 = 1.99×1052 (kg)

  2 × 6.7×10-11 × 1.99×1052 / (3×108)2
  = 26.7×1041 / 9×1016
  = 2.98×1025 (m)

宇宙の半径と比較してみよう

  宇宙の半径は約470億光年と言われる。
  1光年 = 9.46×1015 m
  47,000,000,000 × 9.46×1015
  = 4.7×1010 × 9.46×1015
  = 4.45×1026 (m)

  約15分の1の大きさになる。

宇宙は結構スカスカのように思っていたが、そうでもない。
15分の1の半径に圧縮しただけで、
宇宙全体がブラックホールになる。

ビッグバンから10億年くらいたったころまでは、
今の大きさの15分の1くらいしかなかったと思うから、
宇宙全体がブラックホールだったのだ。


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