ブログ記事 英語・エスペラント

 
動詞の後に名詞が2つある文  (2007/06/12)
NHK教育テレビの番組「新感覚わかる使える英文法」の
6月6日放送「2つの対象を語る」では、
動詞の後に名詞が2つある構文について説明していました。

例えば次の文ような文です。
  He made me a cake.

名詞が2つある文には2種類あって、上記の文も
それによって2種類の意味にとれます。
「彼は私にケーキを作った」と「彼は私をケーキにした」です。
常識的に後者はありえないので、この場合、前者になります。

どちらのパターンに当てはまるかは be か have のどちらかを
補うことでわかります。

前者の場合 "I have a cake" 後者の場合 "I am a cake" です。
こうやって、意味が通じる方を採用すれば良いのです。

これは、学校英文法のSVOOとSVOCの違いのことを説明して
います。学校英文法の方式は分かりにくいのですが、今回の説明は
分かりやすくて画期的でした。間接目的語、直接目的語、補語と
いう言葉をまったく使わずに説明したのは、感心しました。

エスペラントではこの2つは明確に区別できます。
  Li faris min kuko.  「彼は私をケーキにした」
  Li faris por mi kukon.  「彼は私にケーキを作った」

エスペラントでは、語尾や前置詞などの情報の付加が義務付けられ
ているので、意味を取りやすいのです。
英語に比べて、エスペラントでは付加される情報が多いのです。
そのため、エスペラントでは話し手・書き手に情報付加の負担が
かかりますが、聞き手・読み手はその分、楽になります。
英語では話し手・書き手に情報付加の負担がかからない分、
聞き手・読み手に負担がかかります。文のあいまいさが大きく
なるからです。

辞書の使い方  (2007/06/13)
辞書に載っている単語の3要素は「発音」「文字」「意味」です。
辞書で調べるのは、ある要素から別の要素を知りたい時です。

・日本語の場合
  ・「発音」から「文字」や「意味」を知りたい場合、国語辞典
   を使います。この言葉はどういう漢字だったかなとか、どう
   いう意味だったかなというときです。
  ・「文字」から「発音」や「意味」を知りたい場合、漢字辞典
   を使います。この漢字はどう読むのかとか、漢字の意味がわ
   かります。
  ・「意味」から調べたい場合もあるかも知れません。たとえば、
   島の集まりはどういう言葉だろうかというときです。このよ
   うな場合は、類語辞典を使います。類語辞典で「島」の項を
   見ると「群島」とか「列島」が載っています。

・英語の場合
  ・「発音」から調べる辞書はないことはないのですが、一般的
   ではありません。
   今のところ、この「リスニング英和辞典」ぐらいしかありません。
   聞いた言葉を調べる手段がないのは、とても不便です。
  ・「文字」から「発音」や「意味」を知りたい場合、英和辞典
   を使います。発音記号や日本語で意味が載っています。
  ・「意味」から調べる場合は、英語の類語辞典がありますが、
   日本語での意味がわかるときは、和英辞典を使うほうが便利
   でしょう。"island" の集まりを日本語で「群島」というと
   わかっていれば、和英辞典で「群島」と引けば、"archipelago"
   というのがわかります。

・エスペラントの場合
  ・エスペラントは「発音」と「文字」が一致しているので、こ
   の2つの間では、辞書を引く必要がありません。
  ・「文字」や「発音」から「意味」を知りたい場合には、エス
   ペラント日本語辞典を使います。
  ・「意味」から調べる場合は、英語と同様に日本語エスペラン
   ト辞典を使うことができます。しかし、エスペラントの場合
   には、辞書を使わずに済む場合もあります。insulo の集まり
   を表す言葉がほしい場合は、集合を表す ar という接尾辞を
   使い、insularo という言葉を作れば良いのです。また、類語
   辞典を使う感覚でエスペラント日本語辞典を使う方法もあり
   ます。エスペラント日本語辞典では、語根ごとにその合成語
   が載っているので、insulo の項を見れば、insularo を見つ
   けることができます。

こうして見るとエスペラントは実に便利な言語ですね。

mil ventoj 千の風  (2007/06/14)
秋川雅史さんの歌う「千の風になって」という歌がヒットしています。
訳詞、作曲した新井満さんは英語の原文詩に感動し、この曲を作った
そうです。

原文はアメリカで約100年以上前に作られた作者不明の詩です。

この詩をエスペラント訳と日本語訳してみました。
あえて直訳しました、ですから、意味的に不自然なものがあります。
脚韻も付けていません。


英語の原文 a thousand winds Do not stand at my grave and weep; I am not there, I do not sleep. I am a thousand winds that blow. I am the diamond glints on snow. I am the sunlight on ripened grain. I am the gentle autumn's rain. When you awaken in the morning's hush, I am the swift uplifting rush Of quiet birds in circled flight. I am the soft stars that shine at night. Do not stand at my grave and cry; I am not there, I did not die.
エスペラントの直訳 mil ventoj Ne staru ce^ mia tombo kaj larmu; Mi ne estas tie, mi ne dormas. Mi estas mil ventoj kiuj blovas. Mi estas la diamontaj briloj sur neg^o. Mi estas la sunlumo sur matura greno. Mi estas la milda au^tuna pluvo. Kiam vi vekig^as en la matena silento, Mi estas la rapide okazanta svarmo de kvietaj birdoj en cirkla flugo. Mi estas la molaj steloj kiuj brilas en nokto. Ne staru ce^ mia tombo kaj ploru; Mi ne estas tie, mi ne mortis.
日本語の直訳 千の風 私の墓に立って泣かないで。 私はそこにいない。私は眠ってない。 私は吹く千の風。 私は雪のダイアモンドのような輝き。 私は実った穀物に照る日光。 私は穏やかな秋の雨。 あなたが朝の静けさの中で目覚めるとき、 私は旋回飛行の静かな鳥たちの 急に起こる大群。 私は夜に輝く柔らかな星。 私の墓に立って泣かないで。 私はそこにいない。私は死んでいない。
"I am the swift uplifting rush ..." の部分の翻訳に苦労しました。 swift には「速い、速く」という意味のほかに「アマツバメ」という 意味があります。 rush には「突進、多忙、混雑」という意味のほかに「イグサ」という 意味があります。 普通の訳では「速く持ち上がる突進」ですが意味がわかりません。 そのほかにも「突然持ち上がるアメツバメ」「速く持ち上がるイグサ」 「イグサを持ち上げるアメツバメ」などがありますが、良いものは ありません。 とりあえず、rush の「混雑」という意味を採用しました。 「鳥たちで突然空が埋め尽くされる」イメージです。 ネットでいろんな人の翻訳を見ると次のようなものがあました。 「私は、静かに舞い上がり、急いで飛び立つつばめになっているでしょう。」 「私はすばやい流れとなって駆けあがり鳥たちを空でくるくる舞わせています。」 「わたしは翔け昇る上昇気流となって弧を描いて飛ぶ静かな鳥たちとともにいる。」 これは英語の単語の多義性に悩まされる例ですね。 エスペラントでは、このようなことはないのですが。
直接教授法  (2007/09/17)
直接教授法とは、日本語をまったく使わないで外国語を教える方法
のことである。生徒も授業中は日本語を使ってはいけない。

教師は絵や物を使ったり、身振り手振りで、わかりやすく授業を進
めていく。日本語を使わなくても、生徒が気づくようにさせるのが
特徴である。

直接教授法の利点は、外国語が日本語を介さずに直接イメージに結
びつくということである。たとえば dog という言葉を聞いて、犬
に訳してから、犬のイメージを思っていたのでは、文を理解するの
に時間がかかる。直接教授法で訓練すると、dog が直接、犬のイメ
ージに結びつく。

もう一つの利点は、単語の意味範囲が外国語と日本語とでは違うの
で、日本語の訳語で憶えると誤解してしまうことも、イメージで憶
えると誤解しないことである。たとえば、on を「~上に」という
日本語の訳語で憶えてしまうと、離れて上にあるものでも、on を
使ってしまったり、壁に接触しているものに on を使えるのが分か
らなかったり、switch on の意味が分からなかったりする。 on は
「接触している」というイメージで憶えると間違わない。

従来の学習法では、次のようなダメな例がある。

  ・直接教授法とは名ばかりで、ただネイティブの教師が、英語
   で話すだけのもの。
   => 結局わけが分からなくておしまい。

  ・実例パターン(値段を聞くとか、飲み物を勧めるとか、道を
   尋ねるとか)をオウムがえしに憶えさせるだけ。
   => 応用が利かない。

  ・単語の日本語訳をひたすら暗記する。
   => 自分のものにならない。試験が終わるとすぐ忘れる。

  ・文型に当てはめ日本語に訳させる。
   => 暗号解読方式。文を理解するのに時間がかかる。

直接教授法はこのようなことを改善しようという試みである。

エスペラントでも c^e-metodo(チェ式)という直接教授法がある。
エスペラント教授法「チェ・メトード」は1920年アンドレ・チェ (Andreo Cseh, 1895–1979)によってはじめられた。1910 年にエスペランティストになったハンガリー人でルーマニア生まれ, カトリックの神父。UEAの名誉会員。彼の教授法はとても効果的で, 世界的に人気がある。 チェ・メトードの原則は: a) 教科書を使わない。 b) エスペラント以外の言葉を使わず,今までに出てきた単語で 新しい言葉を説明する。 c) 生徒は声をそろえて答える。ĉ)ユーモアたっぷりに行う。 d) 生徒自身が言語の規則を発見し,文法の体系を構築するように仕 向ける。(「エスペラント国の旅」より引用)
エスペラントの直接教授に使えそうな Pos^amiko(ポケットの友)と いう文庫サイズの本がある。単語のすべてを絵解きで表示してあり、 文法も絵で説明してある。私も手に入れたいと思う。 http://blog.goo.ne.jp/lignponto/e/da11eff7d4d08331fe42ba6951a32836 英語で有名な直接教授法にGDM(graded direct method 段階的 直接法)がある。これはベーシック・イングリシュの考案者のひと り、I.A.Richards が Christine Gibson とともに開発した教授法 である。ベーシック・イングリシュの成果が取り入れられている。 (以前私が書いたベーシック・イングリッシュの記事はこちら 「ベーシック・イングリッシュとエスペラント」) この方法の特徴は以下のとおりである。   ・教えることが簡単なものから、難しいものへと順序よく組み    立てられている。   ・使う範囲のなるべく広い基礎的な単語から身につけるように    なっている。(ベーシック・イングリシュの選定単語を用い    ている。)    例)seat(chair, stool, bench, sofaを包含する。座布団に      も使える。)      book(dictionary, pamphlet, album, magazine を包含      する。)   ・対象的な単語を並べて出すので、意味が明確化する。    例)I と you      here と there(近と遠)      this と that(近と遠)      on と off(接触と分離)   ・単語の意味は中心的な意味から比ゆ的な意味へ広げていく。   ・生徒は少ない単語数でいろいろ表現できるようになる。   ・生徒が文を言いたくなるような状況を設定し、生徒が自分で    考えて文を組み立てられるようにしている。   ・実際の状況の中で単語を使って憶えるので確実に身に付く。   ・教師よりも生徒が話している時間が多い。 GDMの関連サイトは以下のとおり。   片桐ユズルとBASIC English / GDM   http://www.kyoto-seika.ac.jp/yuzuru/gdm.html(リンク切れ)   GDM英語教授法   http://www33.ocn.ne.jp/~blahblah/(リンク切れ)   GDM(Graded Direct Method) で英語を教えてみませんか?   http://blahblah.hp.infoseek.co.jp/GDMtop.htm(リンク切れ) GDMで行われている教室があるらしい。 (詳しくは上記のサイトを参照。) 教室に通えない人には本があるので、それで勉強するのもよい。 「絵で見る英語」(English through Pictures)というタイトルで 全3巻のものが出ている。   書籍名     絵で見る英語   著者名     I.A.リチャーズ、クリスティン・ギブソン著   出版社名    アイビーシーパブリッシング   シリーズ名   スルーピクチャーズシリーズ   発行年月    2006年8月   第1巻   価格(税込)  1,344円   ページ数/版型  260P 18cm   ISBNコード   978-4-89684-265-4 (4-89684-265-0)   第2巻   価格(税込)  1,344円   ページ数/版型  327P 18cm   ISBNコード   978-4-89684-266-1 (4-89684-266-9)   第3巻   価格(税込)  1,344円   ページ数/版型  248P 18cm   ISBNコード   978-4-89684-267-8 (4-89684-267-7)   絵で見る英語 (スルーピクチャーズシリーズ)   内容サンプル
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なぜ疑問詞と関係詞は同じ単語を使うのか  (2012/11/05)
「エスペラント」の「相関詞」ページに、
「なぜ疑問詞と関係詞は同じ単語を使うのか」という
補足を追加しました。ごらん下さい。

=> 「エスペラント」の「相関詞」



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