あなたの神、主が導かれたこの四十年の

荒れ野の旅を思い起こしなさい

申命記8・2

主の導き荒野

 

申命記8・1−20

 

 今日、わたしが命じる戒めをすべて忠実に守りなさい。そうすれば、あなたたちは命を得、その数は増え、主が先祖に誓われた土地に入って、それを取ることができる。

 あなたの神、主が導かれたこの四十年の荒れ野の旅を思い起こしなさい。こうして主はあなたたちを苦しめて試し、あなたの心にあること、すなわち御自分の戒めを守るかどうかを知ろうとされた。主はあなたを苦しめ、飢えさせ、あなたも先祖も味わったことのないマナを食べさせられた。人はパンだけで生きるのではなく、人は主の口から出るすべての言葉によって生きることをあなたに知らせるためであった。この四十年の間、あなたのまとう着物は古びず、足があれることもなかった。あなたは、人が自分の子を訓練するように、あなたの神、主があなたを訓練されることを心に留めなさい。あなたの神、主の戒めを守り、主の道を歩み、彼を畏れなさい。あなたの神、主はあなたを良い土地に導き入れようとしておられる。それは、平野にも山にも川が流れ、泉が湧き、地下水が溢れる土地、小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろが実る土地、オリーブの木と蜜のある土地である。不自由なくパンを食べることができ、何一つ欠けることのない土地であり、石は鉄を含み、山からは銅が採れる土地である。あなたは食べて満足し、良い土地を与えてくださったことを思って、あなたの神、主をたたえなさい。

 

 わたしが今日命じる戒めと法と掟を守らず、あなたの神、主を忘れることのないように、注意しなさい。あなたが食べて満足し、立派な家を建てて住み、牛や羊が殖え、銀や金が増し、財産が豊かになって、心おごり、あなたの神、主を忘れることのないようにしなさい。主はあなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出し、炎の蛇とさそりのいる、水のない渇いた、広くて恐ろしい荒れ野を行かせ、硬い岩から水を湧き出させ、あなたの先祖が味わったことのないマナを荒れ野で食べさせてくださった。それは、あなたを苦しめて試し、ついには幸福にするためであった。あなたは、「自分の力と手の働きで、この富を築いた」などと考えてはならない。むしろ、あなたの神、主を思い起こしなさい。富を築く力をあなたに与えられたのは主であり、主が先祖に誓われた契約を果たして、今日のようにしてくださったのである。

 もしあなたが、あなたの神、主を忘れて他の神々に従い、それに仕えて、ひれ伏すようなことがあれば、わたしは、今日、あなたたちに証言する。あなたたちは必ず滅びる。主があなたたちの前から滅ぼされた国々と同じように、あなたたちも、あなたたちの神、主の御声に聞き従わないがゆえに、滅び去る。

 

 

 

天界の秘義2708[6]

 

『荒野』の中をイスラエルの民が旅をし、またさまよったことは再生以前の信者の剥奪と荒廃以外には何ごとをも表象しなかったのであり、従って信者たちが霊的な試練の中におかれたとき実際剥奪と荒廃の中におかれるなら、その信者たちの試練を表象したのである。このことはまたモーセの書の以下の記事から認めることができよう―

 

 エホバは人間がその息子[子]を生むように、荒野の中で、その途で、かれらを生みたまうて、この所にすらいたりたもうた(申命記1・31)。

 

また他の所には―

 

 あなたは、あなたの神エホバがこの四十年の間荒野の中であなたを導かれて、あなたを悩まし、あなたを試み、あなたの心の中に在ることを知り、あなたが、その御戒めを守ろうとするか否かを知られた凡ての道を憶えなくてはならない。かれはあなたを悩まし、あなたを飢えるままに棄ておかれ、あなたにあなたの知らない、またあなたの父祖たちも知らなかったマナを食べさせられた。それはあなたが人間はパンのみで生きるのでなく、エホバの御口から発する凡てのものにより生きることを知るためであった(申命記8・2、3)。

 

さらに同書には―

 

 (それは)あなたが以下のことを忘れないためである、すなわち、エホバはあなたを蛇、火の蛇、さそりのいる大いなる、恐ろしい荒野の中に、水のない渇いた地の中に導かれ、火打ち石のような岩からあなたのために水を流れ出させたもうた、かれはあなたの父祖たちの知らなかったマナであなたを養われた。それはかれがあなたを悩まし、試み、あなたにあなたの後の終りに善いことをなされるためであった(申命記8・15、16)。

 

 

ここでは『荒野』は試練の中におかれている者がその中へ陥ってしまうような剥奪と荒廃を意味している。かれらが四十年の間荒野を旅し、さまようことにより、戦う教会のあらゆる状態が記されているのである。ヨハネの書における『荒野』に逃れた女により教会の試練以外には何ごとも意味されてはいないのであって、それは以下のように記されている―

 

 息子を、男の子供を生んだその女は荒野へ逃れた―そこに彼女は神から備えられた所をもっている―彼女はその荒野へ、彼女の場所へ逃れるために、大きなわしの二つの翼を与えられた。蛇はその女の後から水を洪水のように口から吐き出して、彼女をその洪水により流れ去らせようとした。しかし地はその女を助けた、なぜなら地はその口を開いて、その竜がその口から吐き出した洪水を飲み込んでしまったからである(黙示録12・6、14−16)。